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1 出会い

前作のたぬきとは関係ありません。

仕事もあるので更新頻度は遅いです。

 ある晴れた日、村の木に登っている少年。

「コータ」

「はーい!」

 村長に呼ばれ枝に足をかけて降りていく。


 コータは村で採れた野菜と麦を手押し車に乗せて押していく。

 届け先は治癒の魔女だ。

「いってきまーす!」

 リーシャさんは丘の上の一軒家に息子さんが亡くなってからは1人で住んでいる。

 エルフの民からも尊敬されるほどの薬を作ることが出来るんだ。

 白銀の軽いウェーブのかかった髪を束ね、エプロンをしている貴族様みたいな上品な人、あと焼き菓子をくれる。


 もうすぐ登り道なので精霊さんの力を借ります。

 両手で水をすくうように受け皿を作り魔力を溜めて、思いを込めて空に撒くように飛ばす。

「荷物を運ぶ力を」

 手押し車が微かに光って軽くなりました。


 魔女の家まであと少し、コータは勢いをつけて手押し車を押していった。



 ▽▽▽



 リーシャはクッキーをオーブンから取り出し、お皿に乗せていく。

 お茶はレモンバームにしましょう。

 香ばしい香りと爽やかな香りが広がってきます。

「そろそろコータ君が来る頃ね」

 彼女の周りを精霊の光が漂っている。


『トントン』

 タイミング良くドアがノックされ、リーシャが返事をする。

「はーい、入ってちょうだい」

「リーシャさんこんにちは、野菜と麦を持ってきました」

「はい、コータ君こんにちは。荷物を置いたらお茶にしましょう」



 お茶の間はコータ君がクッキーを食べながらアルン村の様子を話してくれる。

 大工のドーグさんがまた飲みすぎて奥さんに怒られた話。

 コータ君のお兄さん、ダイスケ君が森のイノシシを狩った話。

 村の人たちの調子を聞いて、時には薬を持って行ってもらう。


 とても偉い医者の先生みたいな感じで大人達が緊張してしまうので私は基本村へは行かない。

 前の配達係のダイスケ君や、コータ君はお菓子の成果か親しい関係だと思う。

 治癒が少し出来るだけでこんな感じで少し寂しさを感じる。


 残念だけどもうすぐ日が傾いていく時間ね、暗くなる前に村へ着かないと危ない。

「楽しかったわ、クッキー持って帰って皆で食べてね」

 手押し車を押して帰るコータ君を手を振りながら見守る。



 明日はエルフの民へ納品する薬を作っておかないとと考えながら家の中へ戻るリーシャだった。



 ▽▽▽



 自分はタヌキである。丘の家の近く、森の外周付近で暮らしている。

 近くに村もあり、人間に注意する必要があるけれど肉食の奴等が人間を恐れて来ないので、人間が来ない夜に活動する自分は安全だ。


 ここら辺の草が大好物なのだが、丘の人間も食べるのか取っていく。森のちょっと奥で沢山生えている場所があるので、自分はそこの草をたまに食べに行く。


 日の当たる場所で寝転がっていると精霊がいたずらしてくる。

 特に草を食べると自分に集まって来るので困る。

 風を吹かす位ならいいけど水はやめて欲しい。



 ぽかぽかしてうとうとしてると精霊の様子がおかしい。

 飛び起きて周りを調べる。獣の匂いだ、こっちに来ている。

 うわっ!ダッシュで逃げる自分を追いかけてくる熊。

 普通ならそこらに食える物は沢山あるから自分なんて追ってまで食べようとしないはずなんだが、様子がおかしい。

 目が真っ赤でスピードが速い、自分がフルスピードになる前に追い付かれ爪で背中を引っ掻かれる。

「キャン!」


 背中が熱くて痛い、横になって死んだふり。

 ゆっくりと近づいてくる、怖い。

 隙を見て(やぶ)に飛び込み必死で逃げる。


 呼吸が苦しい、疲れた、怖い。

 寒い、逃げられた?大丈夫?


 よろよろと足を止めるともう動けない。

 体をまるめて横になる。


 もうあの草を食べれないのかなぁ……。



 ▽▽▽



 午前中は家の裏のハーブ園でお手入れし、薬を作っていく。


 数日おいた小さい壺を取り出す。

 中はオリーブオイルに浸した細かくしたドクダミとヒール草、ローズマリーが入っている。


 壺に魔力を込めていく。

 濾したオイルと湯煎している蜜蝋を混ぜて、後は冷まして軟膏の完成!


 次はヒール草の丸薬ね。

 あら、ヒール草の残りが少ないわ、取りに行かないと。

 貰った野菜でサンドイッチを作って持って行きましょう。


 リーシャは(かご)を背負ってエルフの森へと入っていった。


 ―――



 途中でサンドイッチを食べ、籠一杯にヒール草を入れて帰るリーシャは精霊が集まっている場所を見つける。


「何かしら?」


 精霊の所に歩いていくと血に濡れたタヌキが横になっていた。


「あら、大変!」


 タヌキを抱えるとリーシャは家へと帰っていった。


 家へと帰るとタヌキに軟膏を塗りながら魔力を注いでいく。

 治癒の魔女たる所以(ゆえん)である、魔力による治癒の向上。

 精霊では出来ない生物への干渉、彼女の力。


 絶え絶えだった呼吸が安定し、軟膏の香りに鼻をひくひくさせ、眠るタヌキに命の危機は去ったとリーシャは安堵するのであった。



一般の魔法は精霊を媒体とした生活魔法程度とお考え下さい。エルフの森と近い影響かもしれません。ヒール草は森にしか生えないチート薬草です。

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