あれから十年たちましたとさ
俺がこのゲームを始めて?それともこの世界に来て?10年が経った。
この世界には"レベル"のようなものは存在しない。
だがこの世界で強くなるためには、とりあえず努力すればいい、という適当なものである。
具体的に言うと、●けモンの努力値だ。
例えば俺がそこらにいるゴブリンを殺す。
すると俺のステータスの"物理攻撃力"に+1される。
他にも15歳までは能力が年々増えてゆき、人間なら60歳を迎えると基本的に能力が落ちてゆく。
他の種族に関しても15歳というのは変わらないが、能力が落ちることはほとんどない。
これは人間があらゆる種と配合できる唯一の種であるのが関係しているとかしていないとか。
最後のは考察班(NPCと会話して情報を集め考察する謎ギルド)の考えなので確証無し。
…まあ、話がそれたが何が言いたいかと言うと、俺は強くなった。うん。
前は≪称号≫によってHPとMPを増やしていたが、今はこんな感じだ
PN:村人(person)A
CN:ムスカリ
HP:84132/84132
MP:53825/53825
付与:
物理攻撃力:52116
物理防御力:65789
魔力:76431
俊敏:21792
…俺が連れてこられた魔皇、もとい魔族の国はβテストの時はお目にかかれなかったエネミーが沢山いた。
それももらえるポイントが多かったため、適当に倒していても効率はなかなかのものなわけで。
おかげでβテストの時とほぼ同等まで上げることができた。
ちなみにスキルの方はまだ戻ってはいない。
というのも冒険者ギルド…と呼ぶべき建物で職スキルを貰っていないからだ。
呼ぶべき、というのはこのゲームでは名称が"冒険者戦他亜"とかいう名前なので…
なおプレイヤーからはギルドと呼ばれる模様。仕方ないね。
てなわけでスキルは後回し。
次に現状だ。
「ありがとな、あんたがいなかったら俺は確実に死んでたぜ、ロードさん」
「ふぉふぉふぉ、別にお義父さんでもええんじゃよ?」
「そうですわ!そう呼ぶべきです!」
「...うる...さい...」
「しかし、もう約束の十年か…老いぼれには短いのう。」
「いや、あんたわざわざ見た目老人にしてるだけだよな?何回かその幻術解いたのみてるし」
「…はて、なんのことかの?」
この十年で大きく変わったことはステータスと見た目くらいだ。
まず俺は右目が義眼になった。左目は治してない。
ステータス上げてたら暴走した高位精霊のいたずらでバルったことがあってだな…
他は背が180くらいに伸びて体もそれなりに筋肉もあってなかなかに好青年だ(城のメイド曰く)
髪は大体はあの滅んだ村では一般的な銀だが、魔皇の血の影響か少し黒が混じっている。
左目は真っ黒な包帯をぐるぐる巻きにして、右目は機械がギュンギュン鳴っている。
義眼は自作なのだが、なかなかうまくできたと思う。
「...ムスカリ...?」
「ん、どうした?ネリネ」
「...なんでも...ない...」
ネリネはこの十年で大きく成長した。一部を除いてだが…
幼いころからの美貌は大きくなっても健在で、むしろ成長したことによる…色気?があって…なんだろ?
まあかわいくて美しいって感じだな。
俺よち少し小さいくらいの身長は、160くらいかな?もう少し小さいかも。
…一部ってどこかって?ああ…
ヒント:まな板
これで察する貴方は紳士。ちなみに魔皇は紳士。
「アルさん?アールーさん?」
「...今...私の...たーんだから...邪魔...しないで...」
「邪魔!?私が邪魔!?」
「ネリネもそんなこと言ってやるなって」
「あ、アルさん…」
「真実は時に残酷だろ?」
「真実!真実って言いましたわこの人!」
「...真実...は...時に...残酷...」
「繰り返さないでくださいます!?」
ローズは金髪ツインテールが進化して金髪ツインドリルになっている。
相変わらず無駄に豪華なドレスで着飾るが、大人顔負けの美しい顔立ちは生まれながらにして完成されている。
こちらはまな板ではないが、なんというか…
「ローズ」
「はい、なんでしょうかアルさん」
「お前ってどこか成長した?」
「!?」
「...ふふ...」
「笑わないでくださいます!?」
「いや…身長も小学生低学年から中学年くらいの変化だし…」
「ステータスは魔法特化で上級冒険者を超えてますわ!」
「じゃあ体は?」
「」
「...(笑)」
「…(笑)」
「なんでしょうか…無言のはずなのに笑われている気がしますわ…」
うん。魔族だから…ではなく普通に身長が全然伸びてない。
むしろ早熟の魔族ではステータスだとか希少価値だとか。
まあ、本人のオーラが装飾品を霞ませる高貴(笑)だから身長なんて些細なものかもしれない。
このままいくと合法〇リなのでなんとかしてほしいのだが…
「ふむ…やはりお主らは面白いのう。」
「面白さで飯が食えるか?」
「儂ならば好待遇で迎え入れるが」
「食えちゃったよ」
そして…相変わらず老人(のふりをしているが実際はまだ35くらい)は、魔皇というのを感じさせない。
怒らない限り友人の父親…いや、おじいちゃんだな。
というかまったく怒らないのでほんとにただのおじいちゃん化している。
だからといって今挑んでも勝てるわけがないが。
「しかし、お主らは何故旅立つのだ?」
「いや、15になったんだから冒険者なれるだろ?」
「そうじゃな。それがなにか?」
「冒険者になれば戦友を探しやすいからなんだが…」
「友人?あの村の生き残り…ということかの?」
「…あれ?言ってなかった?」
「何をじゃ?」
「俺とローズの昔の話」
「たしか、この世界を模倣した世界で旅をしていたんじゃったか?」
正確には違うのだが、今はそういうことにしている。
知り合い関係とか知識とか誤魔化すのに丁度いいからな。
「しかし、その時の仲間…この世界にいるのは確かなんじゃな?」
「それは間違いない。それでローズも俺のことを確認したわけだからな。」
「ふむ…なるほどのぅ…」
ロードさんは顎に手を当てて少しだけ思考する
___素振りをみせるが、すぐに白髪をかきながら笑う。
「まあいいじゃろう。転移先は冒険者の街【キキョウ】でいいかの」
「ああ。一応帝国こと【スイセン】が実質支配してるけどな。」
ちなみに支配と言ってもいつでも攻められるだけで、本当に支配されているわけではない。
他には宗教国家【キク】やエネミーの沢山沸く森に隣接する【カモミール】があるが、冒険者といえば【キキョウ】なのは間違いない。
「それじゃあがんばるのじゃぞ…元気でな」
「あんたこそぎっくり腰に気をつけろよ」
「行ってまいりますわお父様!」
「...ありがと...じゃ...」
ネリネの言葉を聞いたロードさんが魔法を唱える。
そうするとまた俺たちの足元に魔法陣が出現し、俺たちは転移する。
その転移が終わるとともに、そこに一人残された魔皇はため息をつく。
「まさか、この時代で半神を見ることになろうとは…」
その言葉は人(魔族)の少ない城で、誰に聞かれることもなく消えて行った。
サブタイトルが思いつかない…なんとかしなければ(焦)