開戦
遅くなり申し訳…と書くのは何回目でしょうか…
今回も予定よりもずっと遅くなりまして、申し訳ございません。
なるべく早く次も完成させますが、また遅くなるかもしれませぬ…
━━これは、【After Ragnarøk】で初めて行われた大規模作戦のお話である。
帝国【スイセン】の首都、【ミセン】にて、大勢の冒険者が集まっていた。
広場に密集した人の全てが壇上の"新"皇帝の話に耳を傾ける。
「帝国で革命が起きた直後に下った神託、そこで伝えられた"邪悪なる者達の襲撃"。我々帝国はまだ体制が整っておらず、対応できるほどの国力は無い。」
「しかし、こうして集まってくれた貴殿等冒険者を見て、彼の言葉は正しかったのだろうと思う。」
「私は長い口上を述べることは出来ぬため、この先は"英雄"に言葉を頂こう。」
英雄。
その単語は多くの冒険者を沸き立たせた。
何故なら、その"英雄"は同じ冒険者だからだ。
そして…
壇上に一人の男が上がる。
右目が義眼で、左目が包帯で隠れた男。
左足を真っ黒に設定した半魔族。
髪は銀色で、それに合わせて鎧も白銀で揃えている。
男が口を開き━━
「同氏諸君!防衛線の幕開けだ!」
ウオオォォォォォォォ‼
「武器は鍛えたか?防具は万全か?薬の貯蔵は十分か?」
ウオオォォォォォォォ‼
「ならばよし!作戦通りにやれば、まず負けは無い!この≪真の勇者≫の俺がいることを忘れるな!」
ウオオォォォォォォォ‼
暗い雲が空を覆い、雷鳴が轟く。
だが、ここに集まった冒険者達はむしろその空気に感化され、盛り上がり続ける。
「伝令!北、東、西、南全てにエネミーの軍勢が現れました!」
兵士の伝令を聞いた冒険者は数人が待ちきれずに門へ向かうが、多くは"英雄"の最後の言葉を待っていた。
「まずは対応A!余裕なら対応Kへと移行しろ!その間、俺が指揮官もしくはボスを相手する!…征くぞ…開戦だ‼」
ウオオォォォォォォォ‼
…
……
………
「ふう、こんなもんかな」
村人A…という名前でこの【After Ragnarøk】を楽しむ英雄、それが俺。本名αだ。
帝国の革命に力を貸したことで≪真の勇者≫の称号と合わせて"英雄"と呼ばれるようになった。
ロールプレイをする身としては最高の環境である。
そんな俺のPTメンバーは2人だけ。
本来もっと多いのが普通だが、俺はそこらで仲間を勧誘するのは"野良PT"だけだと思っているので、本当の意味でPTを組むのはこの2人だけだ。
一人目、俺と最初にPTを組んだのは蒼髪でシスターの恰好をした少女、スズランである。
回復系スキルと聖魔法に関してはプレイヤーの中でもトップだが、所謂コミュ障だったため最初の街で詰んでいた。
そこを俺が(半分無理矢理)勧誘して、今じゃ置きヒール等の高等テクニックを使いこなすまでに上り詰めた。
二人目はローズ、魔法アタッカーで真紅のドレスを纏う金髪少女(幼女?)だ。
火力はとんでもない上、〚限界突破級魔法〛という〚超級魔法〛の上の最高ランクの魔法を使える。
だがこちらは見た目が完全にロr…連れて歩くと犯罪臭がするため連れて行こうとするプレイヤーはほぼほぼいなかったり。
そんな2人とともに、今回のイベント〘魔を統べる闇夜の姫〙について話し合う。
「おさらいだが、今回のイベントの詳細は覚えているか?」
「は、はい…えっと、街の防衛線…ですよね?」
「東西南北の門に集まるエネミーを殲滅!ですわ!」
「そうだな。で、恐らくボスと思われるのが"吸血鬼"だと予測されている。」
「確か宝石箱の方達が図書館と聞き込みで集めた情報では…すぐ近くに吸血鬼が封印されている、そうですわね?」
「そうだな。吸血鬼はとんでもなく強いけど、力を削げば封印出来るわけだ。」
「え、えと…ほんとに私達で行くんですか…?」
「安心しろ、俺のステータスは全プレイヤートップな上、≪真の勇者≫の称号持ち、普通に戦えばまず負けないからな。」
「しかし、アルさん?相手はボス、大人数という手もありましたが?何故一騎打ちなんてすると仰ったので?」
「そ、そうですよ、危険ですよ…」
彼女達は素直な性格だから、本当に心配してくれているのだろう。
だが、これも上位陣で話し合って決めたことなので仕方ない。
むしろこれが最善策なわけだからな。
「普通のゲームでは、レイドボスっていうのは範囲攻撃が多くてHPがアホみたいに多いのが普通だ。」
「それはそうですわね、大人数で行くものですから。」
「なら攻撃範囲にはなるべく少ない人数の方がいい、これはわかるよな?」
「でも…HPが多い…ですよね?大丈夫なんですか?」
「そうだな、普通は無理だろうな。だが、昔の文献では≪英雄≫って呼ばれる奴が一騎打ちで封印したらしいからな、問題ない。」
そして何よりソロ討伐したい、これが本音だが…言わなくて良いよね?
ピコン♪
「お、宝石箱がボスの居場所掴んだってさ。」
「…まだレイドが始まって数分ですわよ?」
「北の方で封印の目印を見つけたっぽいから、軽ーく道中の敵を嬲りつつ行くか。」
「ええ、出陣ですわ!」
「が、がんばります…」
to be continue...
宝石箱の一部の会話…
ガーネット「α、まってて、直ぐ見つける。」
???1「むぅ…褒めてもらうのは私、おねえちゃんには負けない」
???2「がーねえもろーねえもどっちもじゃだめなのー?」
ガーネット&???1「それだ」