宴会への一歩
えー、遅くなってしまい、申し訳ありません。
と、最近いつも書いている気がします。
今回は少し短めです。
ふと、柔らかな物が体を包んでいることに気付いた。
今俺が寝ているのか起きているのか分からない不思議な状況で、目を開く。
そこは一面白い空間で、青い空が広がる…そう、唯一神のいる空間だ。
「お、目が覚めたか。」
横からかかるくぐもった声、懐かしく、恐ろしい響きに顔を向ける。
そこにいるのは当然、唯一神だった。
俺は布団に寝かされており、立ち上がると同時に布団は消失する。
改めて見ると、唯一神は歪だった。
色素が抜けた純白の髪、煤に汚れたような黒い外套、鎧とも普段着ともとれる外套の下の服、そして何より顔全体を覆う真っ黒で禍々しいカラスの仮面。
一つ一つがてんでバラバラで、統一感のない外見だが、それが普通のように"勘違い"させられる。
「あっちのお前は睡眠矢で完全に意識を失って、今は戦他亜の医務室に寝かされてるから心配するな。」
「え、ああ、そうだな。」
禍々しい見た目からは想像できない心配の言葉に返答が遅れるが、訝しむこともなく会話は続く。
「あの亜神についてはこちらの落ち度だな。まさか本体の完全消去を行う間に魂を分けて移すとは思えなかった。」
「分けて、あの…進だっけ?あいつに憑依したって認識であってるか?」
「概ね間違いないな。というか、そのために転移させたようだ。」
「五十鈴は?」
「あっちは既に《転移者》が変異したのと俺が憑依出来ないように手を打ったから問題なかったわけだ。」
「変異?…そういえば、《侵略者》になってたっけ。」
「そうだ、《転移者》と《転生者》はその人間を表す称号となり、一生寄り添う物となる。普段の行いには気を付けるんだな。」
「ふーん…ちなみに五十鈴は?」
「《偽善者》だな。効果としては自他共にメリットのある行為に対し補正がかかる。」
「《偽善者》か…唯一神から見て、俺は何になりそうかわかるか?」
「そうだな…」
唯一神はゆっくりと思案する。
生憎その表情は見えないが、言うのを渋っているのか、考えがまとまらないのか言葉は繋がらない。
と、唯一神が顔を上げる。
「今はまだ可能性が多すぎて絞れないな。恐らくだがお前が"奴"に会う頃…いや、"本体"と会う頃に決まるかな?」
「"奴"ってのは?」
「今はまだ秘密だ。…少なくとも、敵ではない。…━━あー、そろそろ現実戻っとけ。お前の仲間が首を長くして待ってるからな。」
「答える気なしか…」
眼前が白い靄に包まれ、徐々に暗転してゆく。
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完全に暗転した瞬間に目を開くと、天井につるされたランプが目を引く。
唯一神空間で見たような布団の上に俺は寝かされており、体を起こすと横の机にメモが置いてあるのが見えた。
「"戦他亜で神殺し祝いの宴会中"…ね。」
多くの笑い声や歓声がすぐ隣の部屋から響く。
その声の中には聞いたことのある声が多く混じっており、明るい雰囲気がこちらまで伝わってくる。
「宴会をやってるなら…行くっきゃねえよなぁ!」
俺は扉を開き、宴会会場へと足を踏み入れた。
この話で終わるか宴会Partを入れるか悩んでいます。
元々この話は無く宴会につなげて章題回収の予定だったのですが、寝起きのシーンに違和感を感じ急遽予定を変更しました。
現在はこの話で章を完結とし、閑話へと入る予定ですが宴会も話にしてほしい!という意見がありましたらそちらも書くことにします。
ちなみにネリネの過去編が1章分くらいありそうでちょっと頭を抱えていたりいなかったり