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悔しいのうww悔しいのうww

シリアスです。

真面目で真剣なシリアスです。

「"繋ぐ者"?」


「今はそれ以上教えることは出来ん…が、教えても信じるわけではないのだろう?」

「…まあ、正直なところ荒唐無稽な話だとは思うな。」


俺の言葉を聞いたpersonaペルソナがため息をつき、呆れたように話し出す。


「ならば今はこの世界を楽しむといい。次はいつ戻れるかわからないのだからな。」



…次はわからない?


「おいpersona、次はわからないってどういうことだ?」

「そのままの意味だが?」

「そのままって…それならなんで俺達5人をこっちに戻したんだ?そしてなんで俺に戻れないことを教えたんだ?」

「荒唐無稽なのだろう?ならば知らなくてもいいんじゃないか?」

「なら、なんで教えたかだけは答えろ。」

「それはだな…」



カンカンカンカン…


personaの言葉を遮ったのは、俺の病室に近づく足音だった。


「時間切れか、ならば行くとしよう。」

「…っ待て!」

「理由などすぐにわかるさ。ではな、我が遣いよ。」


その言葉を発すると共に、部屋の扉が開いた。



「お兄ちゃん、おはよう。…ってもう夕方だけどね。」


その声は心地よく、先ほどまでの不快な話し合いを忘れさせてくれるようだった。


「久しぶりだな、βベータ。声を聴く限り元気そうだな?」

「うん!お兄ちゃんは…変わらないね。」


βはそれを申し訳なさそうに言った。


「そんな声を出すなよ。今から散歩するんだろ?」

「…うん!」


嬉しそうな様子(声しかわからないが)でβは俺の後ろへと回り、車椅子を押し始めた。

横を通るとき漂った薄い柑橘系の香りはβが昔から使っている香水のものか。


「昔お兄ちゃんが好きって言った香水なんだけど、覚えてる?」

「あ、ああ、もちろんだ。」


忘れてた、なんて言えるわけない。


「よかった~…忘れてたらどうしようって思ってたんだ。」


ワスレテナイヨーホントダヨー




 ……

   ………



それから他愛もない話をしながら、俺とβは病院内を回った。

数年ぶりというのに俺のことを覚えていた人もいたし、なかなか楽しい時間だった。



中庭でβと話すまでは。




「お兄ちゃん、どうだった?」


不安げにβは聞く。


「んー、久しぶりに外の空気を吸えたから、満足かな。怖がられもしなかったし。」



それを聞いたβは笑っている…気がする。


「別に前も怖がられてなかったんだけどね…」


何か呟いた気もするが、丁度よく吹いた風によってうまく聞き取れなかった。


「そうそうお兄ちゃん、私も明日から始めるんだよ!」


「始めるって…もしかして【After Ragnarøk】か?」


「そうだよ!これでまたお兄ちゃんと遊べるね!」


それを聞いた俺は何とも言えない表情になっていたかもしれない。

少なくともいい表情は出来なかった。


「お兄ちゃん?どうしたの?」


その声は真正面、それも息がかかるくらい近くで聞こえた。


「…なんでもないさ。それより、近くないか?」


だが、βからの返事は無かった。



「β?どうした?」



俺は不安になって聞くと、その返事が返ってきた。




ただし、俺に抱き着く形で。



俺は茫然としていたが、それを変に解釈したのか



「お兄ちゃんは私のこと嫌い?」


そう言った。

その声は震えていた。

だから



「嫌いなわけないだろ。嫌いになる理由がない。」


「でも…お兄ちゃん、あんまり戻ってこないから、私のこと嫌いなのかなって…」


「なんでそう思うんだ?俺が戻れないのは体が良くないからであってお前のせいじゃない。」


「でも…」


「むしろなんでそれで嫌いになるんだ?」


「…じゃあ、もうちょっとこうしててもいい?」


「ふふっ」


「お兄ちゃん、なんで笑ってるの?」


「いや、ネリネとそっくりだったから「ネリネさんって誰?」


…怒ってる気がする。


「【After Ragnarøk】のNPCだよ。まあ、NPCっていってもあのゲームだと本物の人みたいだけどな」


「…お兄ちゃん」


「?」


「【After Ragnarøk】ってNPC殺せたっけ?」


「どうしてそうなる!そもそも俺の幼馴染NPCだから!新PTメンバーだから!」


「私がそこに入ればいいんでしょ?」


「そんなことしたら…本気で嫌いになるぞ?」


「殺さないし仲良くする!」


うん。仲良くしてくれるならなによりだな。


「しかし…本当は俺は【After Ragnarøk】をもうやらないつもりだったんだがな…」


「なんで?すっごい楽しんでたんじゃないの?」


「なんていうか…やな感じがするんだよ」


「私はお兄ちゃんと一緒に【After Ragnarøk】やりたいな…って思うんだけど、だめ?」


…妹にそう言われて断れる兄がいますか?

否。断じて否。


「わかったよ。でも、現実をおろそかにはするなよ?」


「うん!」




personaのあれは、俺に【After Ragnarøk】をやらせるための言葉か…

βが来るならもしもの時のために俺もついてくると。

personaにまんまと乗せられたわけだ。

…まあ、βに言われただけでも行くかもだが。



(m9^д^悔しいのうww悔しいのうww)


personaが馬鹿にしているように感じるが、気のせいだろう。



…まあ、ネリネがいるからどうせいかなきゃならないんだろうな。


正直言って現実が思っていた以上に過ごしやすかったので、もう【After Ragnarøk】をするつもりは無かった。


でも、ここまでお膳立てされればやるしかないだろう。


俺は病室に戻った後、一度眠ってから【After Ragnarøk】を起動した。

シリアスを書いていたと思ったら脱線していた。

何を言って(ry

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