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双子の相談





人で賑わう街の中

白い髪の少年と少女、アルとスハルが買い出しに来ていた


「うわぁ、人多いな~」

「マスターなら絶対に来ませんね」

「確かに。メルさん人混み嫌いだもんな~」


確かに、メルは人混みが苦手である

その理由はいくつかあるのだが、一番大きな理由は、メルが人の多いところを歩くと結構な確率で面倒に巻き込まれるからだろう

本人は平和を好むのに、主人公体質の彼は何かと面倒を引き付けてしまうのだ

難儀なものである


「それにしても、人多いな~。スハル、大丈夫?」

「アルこそ、荷物いっぱい持ってますけど大丈夫ですか?休憩します?」

「そうだね。疲れたし、休憩しよっか」


二人はそう決めると、近くにあった喫茶店に入り、コーヒーを頼む

ちなみに、アルはアイスコーヒーで、スハルはブレンドコーヒーである


「ふぅ……やっぱりアイスコーヒーだよなぁ~」

「確かに、人が多いと暑いですもんねぇ」

「そうだね~。あ、暑いで思い出したんだけど、この前面白い魔法の使い方思いついたんだ」


アルはそう言うと、一口アイスコーヒーを飲んで喉を潤す


「ほら、依頼に行くと暑かったり寒かったりするよね?だから、体の周りに氷魔法とか火魔法でこう……膜を作る感じでさ、快適にできないかな?」

「あー、そう言えば、マスターのローブにそんな機能がついているとか言っていましたね」

「本当!?いいなぁ~~。頼んだら作ってくれないかなぁ~」

「いやぁ……マスターが作ってくれますかね?」

「……あの人、睡眠欲以外ないからな……」

「物で釣れませんもんね」

「そう!そうなんだよ~」


「どうすればいいかなぁ……」とアルは嘆く

放出系の魔法がほぼ使えないアルにとって、使える魔法は身体強化ぐらい

そんなアルは当然魔法式を刻むこともできないのだ

その分、彼の剣術の才能は素晴らしいのだが……


「どうしよ~。あ、スハル作れない?」

「うーん……私一人だとちょっと……エルナちゃんと二人ならどうにかなるとは思うんですけど……」


スハルは難しいかおをしながら、コーヒーに口をつける

実を言うと、エルナはとてもハイスペックで、索敵から魔法。近接戦闘から座学までをかなりのクオリティーでこなすのだ


「あー、確かにエルナって何でも出来るもんな~

 そうだ!エルナで思い出した!」

「何をですか?」

「ずっと言おうと思ってたんだけど、オイラ、気が付いたんだよ」

「何を?」

「ふふ、それはね?」


勿体ぶった言い方をするアルに、スハルはイラっとするが、怒っても話が進まないのでぐっとこらえる

双子でも、精神年齢の差は大きい


「メルさんが、なんでエルナを甘やかすかの理由!」

「え?何ですか?」


アルの話す内容に興味が湧いたスハルは、体を前に乗り出してそう尋ねる

そのときに、胸部の膨らみ(割と大きい)が柔らかそうに潰れたのだが、双子であるアルは全く気にしない


「ほら、エルナって何でもできるよね?それってさ、メルさんが全部教えてるからでしょ?」

「確かに……」

「もしかしたら、メルさんは自分の後継者的な人を探しているのかもしれない」

「……あ、『夜霧』の後継者?」


スハルの言葉に、アルはこくんと頷く

『夜霧』。メルだけの使う正体不明の魔法にして、メルの持つ二つ名

その原理は全く解明されておらず、完全な謎である


「たぶんだけど、『夜霧』を使うには何かしらの条件があって、それを満たしているのがエルナなんじゃないか?」

「なるほど、確かにその可能性はありそうですね……でも、それだと私たちをクランに入れた意味が分かりません」

「そっかぁ……後継者が欲しいなら、条件を見たしている人だけを集めればいいもんね~」


「いい線だと思ったんだけどなぁ」と残念そうに呟いたアルは、大分少なくなったアイスコーヒーを飲む


「でも、『夜霧』を使うのに何かの条件があるって可能性は大きいと思います」

「そうだよなぁ……あー、オイラも『夜霧』使ってみたいなぁ~。なんかかっこいいじゃん。こうぶわぁってなるの」

「実用的ではありますね」


一切の物理攻撃を無効化できる『夜霧』は、確かに実用的である

ただ、クランメンバーのアルとスハルでさえ、『夜霧』のことについて知っていることは少ない

故に、『夜霧』の弱点を知らないのだ


「メルさんに聞いたら教えてくれると思う?」

「無駄でしょうね」

「だよなぁ~」


アルは残念そうに溜息を吐くと、アイスコーヒーを飲み干した後、また溜息を吐いた






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「絵が好きな君と絵を描かない僕」
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