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機械仕掛けの人形と少女の探検記 作者:ねこぬみ
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1/5

始まり

 とある国の、とある街。
 煉瓦造りの家や工場が立ち並ぶ、風光明媚なところ。
 なんでもない日常が広がっている。

「助けて」
「熱い。熱いよ」
「どこ、お母さん」

 つい、昨日までは。
 この国は戦争に巻き込まれた。そして、そんな火の手がこの街までやってきていた。立ち並ぶ建物は破壊され、辺り一面が炎に包まれる。叫び声が木霊し、異臭が立ち込める。

 地獄。それが、この場所を表すのに一番適切な言葉。

 私はそんな場所にいた。

------------------------------------------------------------------


 さっきまで家でお母さんと料理を作っていた。そんな時、耳をつんざくほどのサイレンが鳴り響く。

「エフィア、早く逃げるわよ」

 お母さんに手を引かれながら、家を出てひたすら走った。
 ただ、ひたすらに。

 空を見上げると、空一面を爆撃機が覆い、空からは爆弾が次々と降ってきていた。
 あちらこちらで悲鳴と、爆発音が鳴り響く。

 ひたすら走っていたそんな時だった、近くで爆発音が聞こえた。耳をつんざく程大きな音で。

 そして、私は気を失った。


 そして目を覚ました。どれぐらい意識を失っていたのかわからない。近くには息絶えたお母さんの亡骸。辺りは炎と叫び声に包まれている。幸いというべきか、爆撃機はいなくなっていた。

 私はそんな地獄で呆然とその場で立ち尽くしていた。

 そんな時だった、あの人に出会ったのは。

「私と一緒に来ないか?」


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 あの地獄から1年。今、私は11才。
 さて、この1年の間に何があったのか少し説明しとく。

 私はたまたま私の住んでいた街に来ていたクラトスおじさんに拾われた。おじさん曰く、「街の近くに来たら爆撃されていたので、攻撃が止んでから街に入って一番最初に見つけたのが君だったから連れてきた」らしい。ちなみに、おじさんは物を作るのが得意な、技術者と呼ばれる人らしい。年齢は50代ぐらいで、ナイスガイって感じだ。

 連れてこられたのは、おじさんの家。私の住んでいた街から、馬で数時間走った所だった。

 おじさんに拾われた後、私はしばらく茫然自失だったらしい。そして、その間に戦争は終わったらしい。らしいっていうのは、正直あんまり覚えてないんだよね。半年ぐらい経った後に、おじさんと会話するようになった。その時に聞かれたことは、

「君は何が作れる?」

 いや、今考えてもおじさんは少しおかしいと思う。その時に私がお母さんから球体人形の作り方を教わったと言うと、

「球体人形!それは素晴らしい。ぜひ作ってくれ!」

 ほんとおじさんは、モノづくりにしか興味がないから。ほんとなんで私を拾ったんだか。私はおじさんの見ている前で、石膏を使って球体人形を黙々と作った。それから数か月して、人形を完成させた。

「おお!これが球体人形か。これはすごいな。いいぞ。これはいいぞ」

 などと言いながら私の作った人形を1日中眺めて、何か図面を引き始めた。そんな状態が1カ月程続いた。

「できたぞ。エフィア!」

 そう言って図面を私に見せてきた。

「おじさん、読めないんですが」
「そうか、なら説明してあげよう」

 というわけで丸一日かけて説明されたわけだけど、半分もわからなかった。

「つまり、球体人形を機械で動かすってことですね」
「そうだ。それに意識のようなものを持たせようと思ってな」
「できるんですか?」
「できるさ。人の想像できるものはなんだって作れる!」



 ということで、あれから1年程たったが、私とおじさんはひたすら機械人形の開発を続けていた。正直、毎日忙しすぎる。嫌いじゃないけどね。

 というわけで今日も今日とて開発話に花を咲かす。

「早く動力の問題を解決せねば、次に進めんな」
「内燃機関を搭載するのでは?」

 動力源に何を使うのかという話になり、最初はゼンマイ仕掛けを考えていたが、おじさんの設計した機械人形を動かした場合数分でゼンマイが切れるということで没になった。いったい何を作る気なんだ、おじさんは・・・。

「もちろん内燃機関を搭載するのは決まってる。というより現在ここにある技術では内燃機関以外の選択肢がない」
「その言い方だとほかの選択肢があるように聞こえますが」
「ある。だが、我々には使えない」
「?」
「これを見てくれ」

 そういっておじさんが私に見せてくれたのは一冊の本。魔法工学入門。中身を見てみるが、何が書かれてるかさっぱりわからない。入門・・・?

「さっぱりわかりません」
「そうか。なら説明しよう」

 おじさん曰く、この世界には魔法と呼ばれる存在があるらしい。魔法それは一部の者だけが使える力。魔力を持つ人だけが行使できるものとされる。その魔法を使って機械を動かせるようにするのが魔法工学。

「魔法なんてあるんですね」
「知らなかったか」
「はい」
「まあ、そんなものか」

 おじさんは本を棚に戻す。

「魔法工学は私たちには使えないんですか?」
「魔法機械そのものは作れるし、ワシも作成したことがある。だが、魔力を持つものが、魔力を機械に注がなければ動かすことはできん」
「なら、魔力を持つ人を探せば」
「無理だ。基本的に魔力を持つ者は特権階級の者がほとんど。ワシらみたいな一般人には縁遠い存在さ」
「ならなんで魔法機械を作ったことがあるんですか」
「それは、なんとかして一般人でも魔法機械を動かす方法がないかと研究していたからさ。ワシも若かったな」

 遠い目をするおじさん。まあ、失敗したんだろうな。

「内燃機関の場合の問題点って何ですか?」
「危険。その一言に尽きる」

 そう言っておじさんはエタノールランプを取り出して、火をつける。

「これをひっくり返すとどうなる?」
「エタノールが滴り落ちて、下の物に引火するのでは?」
「正解だ」

 おじさんはエタノールランプの火にガラスのキャップをして、火を消す。

「今のところ熱を元にピストンを動かす方式を考えているが、安定かつ安全に燃焼させる方法をどうしようかと思っていてな。それも人形を自由に動かしながらだ」
「ガスを使えばいいのでは?」
「もちらん、使えればいいのだが、ここの実験室で生成できても外で入手可能なものというと度数の高い酒ぐらいだろう。だから、酒で動けるようにしたいんだがな」

 そんなこんなで、動力の問題を解決するのに数カ月かかった。
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