返却
宇宙探査から戻ったクト星人の宇宙船には、何やら大きな物体が積まれていた。その物体を認めた、上官であるクト星人が、部下のクト星人に聞いた。
「これは一体何だ?」
「はい、地球という星に寄った時、彼ら地球人の文明が少しでも知れるのではと思い、回収した物体です」
「ほう…」
上官は、未知なる物体をまじまじと見つめ、部下に命じた。
「よし、我々の文明文化発展の為、いち早くこの物体の解明を始めろ」
さっそく、未知の物体の解明作業が行われたが、そもそも文明も文化も、生態さえも違う地球とクト星である。解明作業は困難を極め、とうとうクト星人達は白旗を上げた。
「駄目だ、作業を始めて何日も経つが、これが何に使われる物なのか全くわからない」
上官は仕方ないといった様子で言う。
「仕様がない。この物体を地球人達に返すとしよう」
クト星人達は、地球の上空で回収した、彼らには未知の物体である核ミサイルを宇宙船に積み、持ち主と思われる地球の独裁国家に返却した。