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裏購買部の日常は非日常茶飯事である  作者: やマシン?
生徒会と購買活動
5/19

生徒会総会 第一議案

 「今日は五つの議案について皆さんに意見を求めたいと思います!一つ目は挨拶運動について。二つ目は生徒会の委員会制度について。三つめは委員会費について。四つ目は部活動費について。最後に風紀委員会からの要請で、最近の桜高校の風紀についてです!!」


 会場が突如暗くなり。スポットライトが回される。

 演出が相変わらず派手であるが、それらは生徒たちに白熱した気合を持たした。


 隣りの副部長はニヤニヤ顔のままである。


 そう言えば、会場の説明がまだだったような気がしたのでここで説明しておこう。

 体育館のステージ側。今俺達がいるところには、ステージ左手に委員会。右手に部活動のそれぞれ選ばれた二名が座っている。そのほとんどが委員長や副委員長。部長に副部長だが、中には平部員の姿もちらちら見える。

 各委員会並びに部活の前には、机とマイクが置かれている。生徒諸君の前には置かれていないものが…だ。


 「とその前に、校長先生からのお話があります!!」


 スポットライトを浴びながらも壇上に上がるのは我らが校長、糸瀬直一。

 マイクを生徒会長から受け取り、ありがとうと声を出す。

 拍手と、指笛の声に押されるようにして彼はこのように言った。


 「春らしい陽気がどうかとかそういうものは割愛します。生徒諸君。この場は、あなたたちの意見で学校を回すことができる、ほぼ唯一の場所です!日頃何気なく思った意見。そのようなことに対してどんどん議論し、楽しい学校生活を作りましょう!!」


 瞬間

 歓声。

 大統領の演説もかくやというほどの歓声に思わず耳をふさぐ。


 「ただ、あまり熱くならないように。」


 それだ絵言うと、校長は壇を去った。


 「校長せんせー絶好調ってかな?」

 「古臭いし、あんまりおもしろくもないぞ。」

 

 拍手の中で校長先生はステージを下りた。

 

 「今日の議題。カッキーはどう思う?」

 「どうって…普通だろ。」

 「まあそうだよね。」


 そう言ってニヤニヤ顔を崩さない。何なんだこいつ・人を馬鹿にしているのか?とか思っている奴は、こいつの友人は勤められない。これも、こいつの性格のうちの一つだと思わなければやってはいけない。


 「お前の面白い事と関係あるんだろ?」

 「正確にはこの後の展開がね。本当に爆笑ものだよ。」

 「そんなに面白いか。」

 「本当にやばいって。」


 俺たちの会話は、生徒たちの話声でほとんど聞こえていないだろう。

 それほどまでに会場は熱気を燃やし、幻覚かどうかわからないが、気温も上がっているように感じる。たぶん幻覚だろうが。


 「校長先生!ありがとうございました!」


 会長はそう礼を言った。


 「では最初の議題です!まずはこちらをご覧ください!!」


 壇上にスクリーンが下りそこに映像が映し出される。ちょうど俺の真後ろにあるもので、委員会と部活動の部長、副部長は後ろを向きながらその映像を覗き込んだ。

 その映像は、何かの棒グラフのようだった。

 右肩下がりで、どうやら好ましくはないものと分かるがこれは…。


 「この映像は、わが桜高校での求人募集の数です!!」


 何でこんなに下がっているんだ?

 確かに世の中不景気だなんだと騒がれている今日この頃だが、俺たち桜高校は、求人関係はよその高校より良い状況のはずだ。ここ等には進学校が二つあるが、それでも俺たちが劣っているとは思えない。偏差値もいいはずだしな。


 「左端が五年前。右端が去年のデータです。これによると、最近の求人募集が減ってきていることが分かります。そしてその前。二十四年度まではこのような事は起こらず、逆に右肩上がりだったそうです。そして五年前に何が起きたか…これです!」


 副会長が、リモコンを操作しその画像を現す。

 

 「この画像は当時の新聞部の記事です。これによると五年までは挨拶運動というものがり、それによって中小企業の求人も増えていたそうです。しかし、これを見てください。」


 映像がまた切り替わり、今度はでかでかと見出しが書かれた新聞が移される。

 そのタイトルは


 風紀委員会設立。

 挨拶運動廃止へ!!


 「このように、風紀委員会が設立され挨拶運動が廃れました!そしてそれ以外目立ったことはありません!つまり私が言いたいことはこうです!!」


 少し貯める。


 「挨拶運動の復活!!」


 場内にどよめき。


 「この挨拶運動というのは、朝早く登校し生徒諸君に挨拶を行い、学校でのあいさつの意識を高めることにあります!」


 ちょんちょんと叩かれる。


 「何だよ。」

 「挨拶運動が廃れた原因知ってる?」

 「分からん。」

 「この挨拶運動って、五年前は生徒全員参加だったんだ。しかも電車も関係なく遅刻したら怒られる。貴様は意識が足りないのだなんだのって。だから当時の生徒会総会で廃止が決まったんだよ。その代理案として風紀委員を作ってね。」

 「なんでそんなに詳しいんだよ。」

 「従弟に聞いた。」

 「ここの高校だったのかよ。」

 「いや。別だったけどね。その従弟の友達がよく愚痴をこぼしていたんだよ。挨拶運動はめんどくさいってね。」

 「風紀委員会が出来たら求人数が落ちたが?」

 「そこまでは考えていなかったようだけどね。まさか、五年後に復活案が出されるとは思われなかっただろうね。」

 「というか、会長はそこらへん分かっているのか?それの考えなしで復活になったら…」

 「めんどくさい事この上ないよね。」


 まあ俺は廃案派だな。

 凛空の話を聞いた限りではそういう奴が多いだろう。

 話を聞かなくても、ほとんどの生徒はこの案に反対するだろう。

 なぜなら、面倒事だからだ。

 部活動の連中も、朝練が出来なくなるなどという理由で。文化部でも批判があがりこれは…


 「駄目そうだな。」

 「駄目そうだね。」


 おれと凛空の意見はあっているようだ。


 「代案があればいいけどね。」

 「むしろ、風紀委員にやらせばいいんじゃないか?」

 「それこそ彼らから批判が来るでしょ。なぜ我々だけなのかって。」

 「そりゃあ。風紀委員だから。」

 「しかも、それにかかわらないっていう条件で彼らは設立されているはずだ。」

 「そうなのか?代案なのに?」

 「挨拶運動を強要しない代わりにそのような委員会が監視する。」

 「マジかよ。」

 「おおマジ。まあ、昔の事だけどね。今は…」


 これじゃあ、あの時と同じではないか。

 人は変わらないものだなという事が、今回の事でよく理解できた。


 「これが面白い事か?」


 面白いというのはこの事なのか?


 「いや。これは僕が知らない事。彼からも聞いていない事だよ。」

 「そうか。」

 「そうさ。」


 長いどよめきがひと段落した後。

 会長はそれを待っていたかのように言葉を続けた。


 「廃れた理由!それは過酷な労働状況にありました!!」


 どうやら会長もそれをわかっていたようである。


 「通勤の時間。場所。関係なく、遅刻したものには指導がありました。しかも当番制。しかし、周りから見れば挨拶を普通にしている、良い高校。求人があがった理由も納得でき、廃れた理由も納得できます。新しく出来た風紀委員会がやればよかった。こう思われるかもしれませんが、叱咤激励という名の指導が風紀委員に来るだけです!!この問題は、ここではありません!!」


 一呼吸を置き、生徒全体を見渡す。


 「この活動の問題点は、生徒会指導の下行われていなかった事です!!」


 その姿は…まるで…


 「まるで演説家だね。」


 俺の感想であるが俺は言っていない。


 「この活動は、主に先生がたがたの手によって行われていました!!なぜ先生主体で行われていたか!それは、我々生徒が興味のない活動を、軽視し、すべてを先生任せにしたためです!!先生方々が悪いんじゃない!わたしたちが興味がなかったから!それが原因です!!」


 「そうだな。」

 「生徒会長に選ばれるだけはあるよ。」

 「確かに。」


 「そこで!!私は提案します!!この挨拶運動を!!」


 息を吸い


 「風紀委員会の活動にすることを!!」


 会場からのざわめき。


 「活動目的は、生徒主体での挨拶運動により学校の活気をあげる事!さらに、生徒諸君らのモチベ-ションを上げる事です!!」


 お祭り騒ぎのように賛成の意見。


 「学校を作るのは誰か。学校の個性を作るのは?それは先生ではない!私達です!」


 盛り上がりが激しくなる。


 「賛成の方は挙手を!!」


 ほぼすべての生徒が手をあげる。

 それはこちら側でも同じ光景であり、議案は半数以上で可決となる。

 つまり。


 「では、第一議案!!可決です!!」

 

 熱い熱気はその声と共に強くなりそれは体育館を揺らした。多大な歓声はその声を響かせる。

 

 「お祭り。」


 ボソッと俺が言った声は、うるさい声にかき消されたかと思ったが俺の友人は聞いていたようで、そんな顔するなよと言われた。


 「ほとんど祭り状態になることは先刻承知の助だろ?いまさら、休みを取っとけばよかったなんてそんなこと考えていちゃあだめだよ。」

 「本当にめんどくせえよ。」

 「どうやっても慣れるしかないからね。」

 「お前みたいに楽しめればいいんだが、俺はこの状況を楽しめない。」

 「心の底から楽しんでいないよ。ただ、楽しもうとする以外に暇をつぶすことができないんだ。」

 「意味が分からん。」

 「分かんなくていいよ。」


 意味が分からんを言う友人は、その興味を全校生徒の活気に移したようである。それにしてもこの熱気はすごいな。初めてではないが。

 これは序章という感じなのだが、これからさらにうるさくなると思うと、めんどくささが積もりに積もる。こちらは何もしていないのだが。いや、これからこの熱が、自分にくると思うからめんどくさいだけなのか。

 生徒会総会という名の決起集会のような印象である。


 しばらくして画像が切り替わった。

 アニメ―ジョン部が作ったのであろう。何かのかわいらしいキャラクターがハンコを押す場面である。そこに書かれていたのは可決という文字。

 それだけで会場は大盛り上がり。

 

 「では!次の議題に移りたいと思います!!次の議題は!!」


 そのかわいらしいアニメーションから切り替わり、今度はでかでかとした達筆な文字に切り替わった。たぶん書道部か?

 そこに書いてある文字は…


 「生徒会の委員会制度についてです!!」


 分かってはいたが、これまためんどくさそうなやつが来たのである。


 



 





 

 



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