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裏購買部の日常は非日常茶飯事である  作者: やマシン?
生徒会と購買活動
3/19

生徒会総会の始まり

 「弁当温めておいて!カッキー!!」

 「三番と四番!?」

 「それと八番!!」


 でかでかと数字が入っているタグを集めながら、叫ぶように言う。

 まるでゾンビみたいに中に入らんとばかりとするお客様を見てるのは凛空で、俺はお弁当をチンして渡すという作業に徹していた。

 その光景はいつもの購買の光景であった。


 「メロンパン。残り一個となっております!」

 「コロネとジャムパン二つずつ!!」

 「ありがとうございます!四点買われたので、袋をお付けしますね!!」


 今日も懲りずな人だまり。

 駆け足で来たらしく、息を切らしながらも商品を取りお金を置いていく。この作業も五月になると、ある程度の規律と慣れが生じている。

 

 「メロンパン売り切れました!!」

 

 凛空のその声に愕然とするため息、何だよという言葉が聞こえた。しかし、その声だけで人だかりは止まることを知らない。それどころか、どんどん人が増えて…そして。


 「完売です!ありがとうございました!」

 「お弁当のお客様は、順番を守りタグを渡してください!!」


 その瞬間。いつもよりも大きい罵声。

 しかし、それは一瞬のうちに納得した声に代わりそして人込みも消えていった。

 

 

 「今日はやけに早いな。」

 「あれだろ。今日生徒会。」

 「ああ。それでか。」

 「たぶん。準備だろうよ。毎年凄いからな。」


 そんな会話を残しながら最後の客も帰ると、購買部前は静かな空間に代わる。

 季節は五月下旬。

 五月といえば浮かぶのが運動会だが、この季節桜高校でそのような行事は行われない。行われるのは、ただ歩かされる、ウォークラリーという行事とこの生徒会総会である。

 生徒会総会といえば、今年の部活動や委員会の予算を決めたり、様々な生徒の要望を決議したり、まあやっているとしてそんなところだろう。うちも例外ではなく、そのようなことを決める。

 ただ、他とは違うのが…その熱気と生徒の関心である。

 自分の部費が少しでも下がったとなれば大声で抗議し、ほかの部が上がるとそれを厳しく非難する。それ以外にも、運動部と文化部の対立や、先生方の”いろいろな意見”。

 ほとんどお祭りである。

 その中でも特に目立つ部がありそれが…

 我々購買部である。




 パン屋の持ってきた箱を端に移し、いつものように閉店と帳簿をしていると…

 

 「すいません。」


 そのように声をかけられた。

 

 「はい?何の用でしょう?」


 一年生。サンダルから見て。

 俺の知り合いではない。ならば目的は購買部?いや、もう閉店ですよ?って言う雰囲気だってこいつも分かっているよな?じゃあ何しに…


 「新聞部です!少しお話を聞いていいですか!?」


 新聞部?取材されることなんて何も…新聞部だよな。広報部ではない…まさか!!


 「里奈の差し金か…。」

 「はい!!里奈先輩から取材を頼まれてきました!!」

 「カッキー。先輩付けなよ。」


 三年生かどうかは関係ない。

 あいつはあまり好きではないというのに…


 「それで?何の取材だよ。」

 「はい!今回の生徒会総会!こちらがつかんだ情報があるのですが、その情報によると荒れるに荒れると思われます!!購買部は、どのような対策をしていらっしゃるのかお聞きしたいです!!」

 「…その生徒会が荒れる情報というのは?」

 「言えません!!」

 「なら対策なんてない。」

 「そうですか!先輩が、先輩ならやってくれるとおっしゃっていたので!」

 「誰先輩が、誰先輩に対してだよ。」

 「もちろん!里奈先輩がカッキー先輩にです!」

 「カッキー言うな!!」

 「カッキー先輩!!先輩が後輩の塚っちを使っていろいろと調べていることは分かっています!!」

 「何も調べてねえよ!!ただの資料集めだよ!!」

 「先輩も今日のことは、本当は分かっているんですよね!」


 きらきらとしたはたから見れば純粋な少年。

 その純粋な心を忘れないで頑張ってください。って終わればいいんだが世の中そうはならない。


 「残念だけど僕たち本当に分かっていないんだ。できればその情報を教えてほしいんだけど。」

 「わかりました!!」

 「教えるのかよ!」

 「先輩が凛空ちゃんには教えなさいって!!」

 「まじかよ!」

 「マジです!」

 

 何でだよ。


 「というわけで先輩!!少し耳を貸してください!」

 「オッケー。面白そうだ。」

 「俺は全然面白くない。」

 「僕が面白そうだからいいんだよ。」

 

 そうでありますか。

 凛空は席を立つと、一年生の方に行った。

 帳簿は見た限り途中である。しょうがないから俺がやってやろうと代わりに俺が席に着いた。


 帳簿をカキカキしていると、二人が笑いあう声が聞こえる。

 それは興味深いねーとか、この事アイツに言わない方が面白いよとかいろいろと聞こえる。

 無心で書きたいが、その声が俺を無心にさせずにただイライラさせる。

 じゃあ後で。先輩にはあとで僕から伝えとくよ、記事の内容っていうかネタをねという声のもとでようやく静かになり…


 「いやぁ。今回の生徒会総会は楽しくなりそうだよ。まさかそんなことになっているとは!!ああ楽しみだ!!」

 「うるさい。それでどんな話だ。」

 「ぶっちゃけ、君には厄介事だね。生徒会の長であり僕らのアイドル「くみっちーがどうかしたのか?」」


 そう被せると、凛空はぷんすかという表情で抗議してくる。


 「被せないでよ。人が話している時に!!」

 「すまんすまん。」

 「もっと心を込めてほしいね!!」


 という表情も数秒後には元に戻った。


 「まあいいよ。でも駄目。」

 「どっちだよ。」

 「許すけど話さない。そっちの方が面白い結果になるし。妨害されたら困るし。」

 「何が起きるんだよ。テロリストでも来るのか。」

 「それよりも面白い事だよ。これは本当に傑作だって思える事さ。」


 本当に何が起こるんだ?

 核でも降ってくるのかよ。


 「運動部と文化部で戦争でも起こるのかよ。」

 「それはそれで面白そうだね。親工業派と親商業派に分かれて代理戦争をするわけだ。」

 「黒幕は校長だろな。」

 「保険室の先生って可能性もあるよ。」

 

 「せんぱーい」


 今度の声は知らないヤツではない。わが購買部の新人である塚川文也であった。


 「塚っち!どうした?」

 「まとめ終わりましたので一応確認してください。」

 「ありがとう。塚っち。」


 唯一頼りになる後輩だ。将来の部長はこいつだな。


 「ねえ塚っち聞いてくれよ。今回の生徒会総会は面白いことになるぞ!!」

 「何がですか?」

 

 凛空の意味不と呼べるテンションに若干引き気味の塚っち。その気持ちわかる。


 「まあ、楽しみたまえ諸君!!ああ…今から楽しみだ!!」

 「とうとう脳細胞が死んじゃいましたか。」

 「あまりにもひどい侮辱!!」


 それほどまでに変なテンションだろ。


 「先輩。あんまり騒がないでくださいよ。」

 「僕は騒がないさ。騒ぐのはほかの連中の仕事。僕は傍観者として最大限楽しむ!!」


 ガッツポーズである。


 「先輩。ほかに二年生も三年生もいないんですか?」

 「残念ながら俺とこいつだけだ。あきらめろ。」

 「何の話だい?」

 「副部長、ほかの人に代わっていただきたい。」

 「残念ながら、この部活の部長の次に偉いのは僕なんだよ。平部員は副部長に逆らえないんだ!」


 ウリウリとほっぺたをつつく攻撃。

 心底いやそうである。

 そして汚いものを見る顔である。


 「そんな顔をしてもだめなのだ―。やめないのだ―。」

 「やめてください。ゴミ。」

 「ゴミじゃないぞ―。副部長なのだ―。」

 「そうか。副部長っていうゴミですね。」

 「生意気なことを~」


 帳簿…はこれで終わり。

 あとおにぎり喰わなきゃ。

 弁当を広げ、そこから自家製の焼き肉おにぎりを二つだす。

 

 「じゃあ俺は帰りますね。」

 「お~。ありがとうな。」

 「カッキ~。そのおにぎり頂戴?」

 「お前また弁当忘れたのか?」

 「今日は作ったのを忘れたの。仕方がなかったんだよ~。」

 「仕方がない事ではないだろうに。」

 「君は素直に渡せばいいんだよ。いただき!」

 「おい!それは特性ツケダレ味だぞ!」

 「市販の調味料しか使っていないのに特性って呼べるのかな?」

 「うるさい!何でもいいから返せ!」

 「やだよ!」


 チャイムが鳴り、上の教室も騒がしくなった。机を動かす音、廊下に出る音。

 その音たちと比べると

 購買部は、まだ平和だった。


 「凛空!おまえのせいで整列の時間だろ!!どうしてくれるんだ!!」

 「じゃあ早く行こう。!おにぎりありがとね!」


 すたこらサッサという調子で購買質を後にする。

 というか、俺部長だから早く体育館に行かなきゃな。

 おにぎりたちを教室に持っていく時間はない。購買室に置いたままにしよう。それが一番いい。

 購買室のカギをかけ後輩が整理してくれた大切な資料を持ちながら、俺は体育館に向かっていった。

 

 



 

 そこは熱気に包まれていた。

 がやがやとした前からの雑音。これから起こる話し合いという祭りのために、ある部活動は部費をあげろと書かれたハチマキをし、二階のスペースにはそれぞれの部活動の旗が掲げてある。

 前方にいる俺としては、その迫力を直で副部長と一緒に感じており、正直うっとうしいかった。


 「今年も気合が入っているね~。」

 

 感心したように凛空が声を出す。


 「まあ。お祭りだからな。」

 「後ろには生徒会総会ってかいてあるけど?」


 俺の発言の通り、俺たちの後ろには生徒会総会と大々的に書いてあった。

 そして、ステージには二人の女性。


 「三島さんもいい感じに副会長しているよね。外見から見るとだけど。」

 「普段はあんなんだけどな。」

 「まあ。知っているのは生徒会のみんなと僕達だけだけだろうけどね。」

 「その点。会長は似合っていない。」


 会長はすぐ後ろでありたぶん聞けているだろうに、凛空は音量を下げない。


 「中身はともかくだけどね。もっとこう…凛々しさがない。」

 「確かに。」

 「凛空君!?」


 やはり聞こえていたようだ。


 「凛々しさがなくて悪かったわね!!」

 「いやだなあ。会長。僕は会長が見た目よりもものすごく年上に見えるなって言っただけですよ。」

 「あんた…!私の容姿が子供っぽいと…?」


 顔は見えないが、握りしめるげんこつは見える。


 「先輩。こいつはあおるのが好きなだけです。無視して早く始めてください。」

 「分かっているわ。カッキー。」


 会長がマイクを取り出しそれは始まった。


 「これより!第五十二回!!桜高校生徒総会を始めます!!一同起立!!」


 幼いが、大きな声で生徒先生が起立。

 一面が制服である黒に染まる。

 激しい戦いが…始まった。

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