生徒会総会 第五議案
バキュイイン!!
そんな音がした。
会長のあいさつの後。会長のマイクから出たその音は、会場に異様に響く。
慌てて、ほかのマイクを借り始まった。
「あっ。あああ。マイクテス、マイクテス。皆さん聞こえていますか?」
もちろん聞こえている。
「第五議案は、風紀委員長に説明してもらいましょう。風紀委員長。」
ようやくだ。
この長い戦いが幕を下ろした。
去年よりは、購買部部長として楽をできたことについては。俺は感謝をしなければならないな。
「カッキー。」
「ナンダ。」
「そんなに眠そうな顔をして眠りにつこうとしたら駄目だよ?だって、君が輝けるのはこれからなんだから!!」
「スーパスターになった覚えはない。」
「地方の売れない歌手だよ。どっちかというと。」
面白い事は。
「この第五議案にあるのか…。めんどくさい。」
「僕は面白いよ?」
「俺はめんどくさい。」
経験則のめんどくささという奴か。
「かっきーは、想像上のめんどくささにストレスをためるのが好きなのかい?」
「想像上じゃない。経験上だ。おれの中の統計学を基にしためんどくささだ。」
「カッキーの中の統計学基準か。偏るわけだ。」
会場の雰囲気は、不満だという表情は少し、。やっぱりメインの部活動を取り下げたのがあるのだろうが、それ以外の連中は満足といったような感じ。
隣の友人は、これから楽しむといった感じであった。
「でもさ。偏りで思い出したんだけど。僕らの理由。本当にこのままでいいのかな?」
「さあな。っていうか、なんで急にあの事を?」
友人の表情は、少し、ほんの少し、寂しさを感じるほほえみだった。
「僕はね。この光景を見ているとさ。僕たちの理由が間違っていると思うんだ。」
「何で。…とは言えないか。確かに。でもな。」
俺たち購買部の…。存在しなければならない理由。
「俺たちは。理由を知っている。」
「だからこそ。部活をやめるわけには行けない…ね。それに、外から見れば部活なんだよね。」
「中から見てもだろ?」
「そう。僕らの活動は…ただの部活だ。」
「気楽にいこうぜ?」
「だね。そろそろ始まるみたいだし。この話はおしまい。今は。」
堂々とした風貌で、会長から渡されたマイクを持ち、風紀委員会委員長。
「これより、第五議案についての説明を行う!!」
津崎ミグルの話を聞こう。
「わが校の風紀は!ここ数年乱れている傾向にある!!これを見てもらおう!!」
画面に画像が映る。
その画像は、またしてもグラフ。
しかも棒グラフ。
「このグラフは、我々風紀委員会が押収した、校則違反物の量を統計したものである!!」
「風紀委員会の活動にそのようなことがあったか?」
「少なくとも僕は知らないけど。たぶん増やしたんじゃない?ミグルちゃんだから。」
「ミグルちゃんなら仕方ないな。」
「それは冗談だけどさ。たぶん設立当初からあったと思うよ?ほら風紀委員会の女の子来たでしょ?この前も。」
「あいつか。」
「いやぁ。大変だったけど。」
「主に俺らがな。」
風紀委員という名にはふさわしい行動であるが、どれくらいの規模でやぅているのか。
「令状とか作っていたりして。」
「教頭先生に許可取ったりしてな。」
「この三年間!!わが校の風紀は乱れに乱れている!!!その証拠がこのグラフである!!!」
「お隣さんよりはいいがな。」
「お隣さんは、本当に乱れに乱れているからね。」
「購買部!!!」
「はい!」
急なご指名。
驚きを通り越して寒気。
汗が背中に流れ、濡れているという絶対的な感触。一気に出る。
驚き
今の会話が聞こえていたか?ミグルちゃんの熱弁にさらされるのは嫌だぞ。
「先ほどから会話が弾んでいるようだが、それはわが校の風紀に関する話なのだろうな?」
「ミグルちゃ。いや委員長。その通りです。」
「どのような話で盛り上がっていたか。ちょうどいい機会だ。ここで話してもらおうか?」
「いや大丈夫です委員長。どうかお話を続けてください。」
「いや?俺が大丈夫ではない。」
「俺は大丈夫です。」
その時手を上げたのは
「僕がどんな話をしていたか言うよ。」
わが友人である
「ミグルちゃん。」
購買部副部長でもある。
「ほう?」
更井 凛空である。
「僕らが話していたのは、このままでも別にいいんじゃないの?ってこと。」
「このグラフを見てもか?」
「そのグラフを見てもね。今僕らの高校は三つあることは分かるよね?」
二木柳高校
桜高校
梅雨高校
「この三つの風紀を現すとこんな感じだ。」
二木柳高校 乱れている
桜高校 規律はある
梅雨高校 規律しかない
「僕たちの町にある三つの高校は、両極端になっているわけだよね?僕たちの高校は、その両側に行ったり来たりしているわけだ。」
「そうだな。」
言いたいことは分かったといった感じか。
「確かに、凛空の言う通りではある。でもだからこそだろ?風紀が乱れているなら直さなければならない。元の普通の規律に戻す。だろ?それはこちらでも理解した。だから最後まで聞いてくれるか?」
「分かっているよミグルちゃん。」
「あとお喋りはするなよ?カッキー。」
「理解した。」
ミグルちゃんと話すとき、委員会長として接するのはまだ慣れていない。
彼は目がまじめすぎるからか知らないが、委員長と普段の顔でだいぶ違う。性格を操作しているんじゃないかというほど。
「ああ。続ける。このようにわが校の風紀は乱れている!!だから正さねばならないのだが、問題がある!!その方法だ!!」
見回す
「わが校の最大の特徴は何だ?」
委員会と部活動がうるさい事である。
「そう!!購買制度である!!!」
委員会と部活の対立だろ。一番特徴的なのは。購買制度なんておまけだおまけ。一番は図書委員会と総務会計委員会の戦い。三つ巴のなぶりあい。
そして運動部と文化部の戦い。
運動部は、なぜ文化部如きに部費が下りるのだという発言。彼らは、金を集めることに執着した、汚いハイエナ共である。
文化部は、なぜ運動部に我々が稼いだ金をやらなければならないのか。彼らは、洋々と遊んでいるわけではないか。汚いハエ共が。って感じで。
「この購買制度。購買部が主に行っているこの活動は、用件をまとめるとこのようになる。」
画面が切り替わり、でかでかとした購買制度の文字。
「まず。文化部、一部運動部で作られた物。それを生徒会を通して、また購買部の方で売るかどうかを決める!」
その文字を眺めるようにして続ける。
「承認されたものについては、そのまま購買部として売られる!それが購買制度である。しかし、ここ最近。その購買活動において、重大な問題があるのが分かった。」
重大な欠点?
「その欠点というのは?」
凛空の質問
「これを見てもらいたい。」
それは一つの本。だが。
おいこれ映していいのか?
その本は俗にいうR18であった。
エロステック…。という感想。ではない。生徒席では男共の歓声。女子の喚き声。
先生方も何人かは立とうとし、諭され、座らせられる。
「これは、押収されたものの一部である。」
「俺にくれ!!」
「俺も欲しい!!」
「何映してんのよ!!!」
会長ぷんぷんまる。
「あんた。風紀委員長でしょ!!こんなの映していいと思ってんの!!」
「…? サンプルとして掲示しただけだが?」
「だから映していいサンプルと映しちゃいけないサンプルがあるの分からない!?」
やべ
ミグルちゃん。変なところで。
「だからほかの奴にしなさい!!」
「…これとかか?」
うおっ
今度は別な意味のR18
「あんたは加減が分からないの!?」
「こういう物しか無かったんだからしょうがないだろ?」
「この学校バカしかいないの?」
会長。それは違う。
ミグルちゃんは変なところで天然なだけなんだ。
決して悪い子じゃないんだ。ただ、その、なんというか。とにかく天然なだけなんだ。馬鹿じゃないんだ。
「進めていいか?」
あきらめる。会長はその選択をする。
どうぞと一言。
その顔には疲労の顔。お疲れ様です。
「このような小説漫画。違法ぎりぎりの、たぶん工業化の設備を使ったのであろう機械類。その数400点。」
400ね。
「もちろん。それだけではこんなことは言わん。問題はすべてのものに。」
ためる
「生徒会公認のハンコが押されていたことだ!!」
何!!!
そのような声が生徒諸君からちらほら聞こえる。
それって。やばくね?
しかしだ。
承認の現場は、俺たち購買部も立ち入るわけだし、それに公認のハンコは…。
「もちろん。生徒会長はこのような事にハンコを押していない。そうですね。」
「あんな破廉恥な物に、承認野ハンコ押すわけないでしょ!?」
「という事は、誰かが承認し、生徒会公認物にしているわけである!!」
ちょっと待って。
「質問良いか?」
「名前と所属。」
「購買部だ。カッキー。」
「どうぞ?」
「それは物理的に無理だろ?だって承認印は、生徒会の金庫に保存されているはずだ。」
「そうだ。しかもそのカギは、生徒会長に一任されている。そして、会長は、そのカギをいつも職員室にわざわざ返しているんだ。失くしやすいからな。」
「その方が安全でしょ?」
「それで、借りることができるのは会長しかいないんだろ?」
「だから、俺は考えた。」
生徒諸君のざわざわ声をかき消すように。
「生徒会承認のハンコが、二つあるのではないか!!」
おいおい。
「金庫が開けられた可能性の方が高いだろ。」
「無理よ。」
「何で。」
「意味ないもん。」
意味がない?
「生徒会公認印がもう一つあるのならば。この件は生徒だけにはとどまらない問題である。だが、我々風紀委員会としては、生徒諸君だけで、解決してもらいたい!!そこで!!」
「そこで!!我々風紀委員会は提案する!!この問題に対する対抗策として!!」
おい何でこっちに顔を向けるんだ?まさか!!
「おい」
「何?」
「これが面白い事か!!!」
「購買部の部長、副部長を代表とした!!」
「そうだね。とっても楽しい事でしょ?」
「楽しくはないわ!!!」
「対策委員会を設立しようと思う!!」
拍手喝采。
そのようないらないもので俺は祝福された。
「賛成の者は挙手をお願いします。」
比賛成者が出ることは、俺以外にはなかった。