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僕の妹は依存者?

作者: いさまた

「お兄ちゃーんおはよー!」


元気いっぱいに僕の妹が起こしにきた。


「今、何時だ?」


「6時だよ!」


「早くねーか。」


「お兄ちゃんとたくさん一緒にいたかったんだもん。」


理由が可愛いため僕はいいかと思ってしまった。


「今日から高校生だよね!」


そう、僕は今日から高校生になるのだ。僕は不安と期待で胸がいっぱいでどうかしちゃいそうだった。


「お兄ちゃんなら大丈夫だよ!」


僕の不安に気づいてくれたのか妹が励ましてくれる。


「ありがとな。」


素直に礼を言ったためか妹が照れている。その姿も可愛かった。


「お兄ちゃん、ご飯食べよ。」


そう言い妹は僕の腕を引っ張り食卓に連れて行く。


「じゃーん!」


妹が手をいっぱいに広げ朝食の出来を僕に見せてきた。


「今日はどーかな、おにーちゃん?」


自信たっぷりに期待した目で僕の目で見るが妹の料理はいつも独特で微妙な味と見た目なのだ。そして今日の朝食はパンだが上に乗っている具材がおかしい。


「上に乗っているのはなんだ?」


「ご飯だよ!」


妹は自信たっぷりに笑顔でそう答えた。


「そ、そうか……。」


僕はそれを聞き不安に思っているがそれには気づいてくれない。恐る恐る一口かじる。パンのサクッとした食感とご飯のモチモチとした食感が合わさり微妙な味を作り出していた。


「ね、どう?」


僕は妹だったため遠慮なく素直に感想を述べた。


「今回も微妙で食おうと思えば食えるな。」


「え〜。」


妹はそれを聞き落ち込んだが僕が完食したのを見て元気になる。この時残せば良いが家庭の事情で生活費がピンチでできないのだ。実は両親は訳あって1年前に家から出て行ったのだ。それまでもしょっちゅう家を空けていたので特に大きな変化はなかった。そのため今、妹と二人で暮らしている。そのせいか今日から高2になる妹は反抗するどころかべったりで仲良く暮らしている。もちろん喧嘩もすることもあるがすぐに仲直りする。


「食器洗っとくから学校の準備しときな。」


妹は不安になる程味音痴でご飯パンを美味しそうに食べ終えていた。


「ありがとう、お兄ちゃん!」


そう言い妹は自分の部屋に準備をしに行った。しばらくして制服姿になった妹が食卓に戻ってきた。


「終わっちゃった〜?」


「丁度、おわったところだよ。」


手伝うつもりだったのか妹は残念な表情になってしまった。


「朝、僕やったから夜やってね。」


「うん、わかった。」


先ほどの表情とはかわり笑顔になった。


「そろそろ行ってくるね。」


そう言い、自分の部屋に行き準備をし玄関で革靴を履いた。


「いってらっしゃーい」


元気いっぱいに手を振り僕を見送った。

僕は少し古くなった自転車に乗り入学式に向かった。高校は始めは不安だったが後ろの席の男子と仲良くなり不安が減った。


「ただいま〜」


「おかえり〜 学校どうだった?」


元気いっぱいに妹が出てきた。


「どうにか、友達もできたし大丈夫だよ。」


「それって男?」


「う、うん。」


いつもの明るい感じではなく重々しく聞いてきた妹に僕は恐れを感じ答えるのが遅れた。


「なら、良かった、高校生になったから別の学校になっちゃって見に行けないからね。」


さらっと自然に恐ろしいことを笑顔で言った。もしかして中学の時、妹がたまに見に来ていたのか、そう思うと恐ろしくなった。しかしそう感じたのはこの時だけでその後はいつも通りだった。



「おはよー、お兄ちゃん!」


昨日と同じく元気いっぱいに起こしにくる妹。


「今何時だ?」


「今は5時だよ!」


「早すぎねーか?」


「だって、お兄ちゃんと一緒にいたかったんだもん。」


昨日と同じく嬉しい言葉を言ってくれたがさすがに5時は早く、起きたくないと思った。


「もう一回寝る。」


「だめだよ、起きてよお兄ちゃん!」


僕は妹は布団を引っ張るため起きるしかなかった。


「明日はもう少し遅くても良いからな。」


「うん、わかった。」



元気いっぱいに答えたが翌日の朝。


「起きてよ、お兄ちゃん!」


僕は大あくびをして起きた。外はまだ暗い。


「今、何時だ?」


「3時だよ。」


笑顔でそう言われ、寝ぼけていたこともあり一瞬僕がおかしいのかと思った。しかしあたまが冴え出すと妹がおかしいことに気づいた。しかしこの日もそのまま起きて支度して学校に向かったため授業に集中できなかった。明日こそはちゃんと起こしてほしいと思ったがそうはいかなかったようだ。


その夜。


「お兄ちゃん?」


そう呼び妹が僕の布団に入ってきたのだ。仲が良いが一緒に寝るまでではなかった。


「ど、どうした?」


妹の行動に僕は驚いた。


「一緒に寝よ。」


そう妹が布団に入ってきたため顔が近い。


「やだよ。」


「どうして、私、心配なんだよ、お兄ちゃんのことが。」


そう涙を浮かべ訴えてきたため断れなかった。


「お兄ちゃんと一緒だね」


「そーだね。」


それ以来妹は家にいる間、僕から離れることがなかった。

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