無知、無視、孤独嘆願
『一番怖い生き物って、何なのかな?
私はさ、怖いんだ。他人が、人が。
みんながみんなに嘘をつく。
評価のためだったり、思いやりだったり、敵意だったり、理由はいくらでもあるよね。
どれが本当か、分からないんだ。
あの子の笑顔は真実?彼の声は本物?
ね?分からないでしょ?
先生のお話は本心の言葉じゃないかもしれない。ご立派な台詞でそれっぽく飾っているでしょ?
なんか、ある意味感心するよね、誰一人真面目に聞きやしないのにさ。
欺いて、騙した気になって、騙されたって思い込んで。
私は、そんな人間が一番怖い。
ねぇ、誰か、教えてよ。
何でもいいから、本当の事。
そう思っても、誰も教えてくれない。
分かんないな。
結局、分からなかったな。
もうすぐ零時だ。
嘘だらけの世界にバイバイしなくちゃ。
・・・誰も私の死に様なんか見てくれないんだろうな。
さよなら、私じゃない誰か。
神様、そっちに行ったら、何か一つ教えてください』
「だったら一つ、教えてやるよ。少なくとも、お前のその思いだけは、嘘じゃあない筈だぜ?」
〜fin〜