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第1話 〝面接〟

最初は私、皇帝チキンがスタートを決めようと思います(^-^)/

 川崎幸久(かわさきゆきひさ)は、人生初のバイト先、喫茶店の前で呼吸を整える。


 やはり、緊張する。


 生まれつき、あまり人と喋らず内気な彼は、両親に「どこでもいいからバイトをしてコミュ力を磨きなさい」と言われ、近所にあるここを選んだ。


 もう高校生だ。バイトの経験のひとつやふたつしてもいい時期だ。


 (自分に接客業なんて出来るかな)


 幸久の頭の中はそれでいっぱいだった。


 まだここで働くと決まったわけではない。今日は面接だ。


 クラスメートとさえまともに話せない彼にとって、接客業はロッククライミングに等しい。履歴書に手汗がにじむ。


 だが、自分を変えるためだと腹を括り、喫茶店に向かって足を進めた



「志望理由は?」


「い、家が近いからです」


「採用!」


 もっと長引くかと思われた面接は、一瞬で終わった。


 それなりに面接練習してきた幸久は度肝を抜かれる。


「家が近いなら、緊急でも呼び出せるから有難いよ」


 幸久の履歴書を見て爽やかに微笑む。


 背は高く、爽やかな細い目に、爽やかな口。そして爽やかな顔立ち。全てにおいて爽やかな店長は、見るものを爽やかにしてしまいそうだ。


「私は店長の平泉爽太郎。初めは慣れないかもしれないけど、楽しい職場だから頑張ろう」


 ふっと微笑み、幸久の前に右手を差し出す平泉。随分とフレンドリーな人だと感じる。


「店長」


 部屋の外から女性の声が聞こえる。入って来たのは、幸久と同い年くらいの少女だった。


 黒い髪は短くまとめられ、どこか寂しそうな目をした彼女は、仏頂面でこちらを見る。


「新しいバイトの子だよ」


「か、川崎幸久です」


 ぺこりと頭を下げる幸久を、つまらなさそうに見つめる少女。


凪原唯葉なぎはらゆいは


「へ?」


「名前、凪原唯葉」


 短く述べると、そのまま部屋を出て行く。幸久にとっては苦手なタイプだ。自分も喋らない方なので、クラスで2人組を作るとき、どちらも話さず気まずい空気が流れるからだ。


「ユイちゃんは根は優しい子だし、同い年だから仲良くしてくれ」


「は、はぁ」


 悪い人じゃないと思うけど、あんなブスッとした女の子とは仲良くしたいとは思わないので、極力関わらないようにしようと決める幸久。


「店長、要件伝え忘れてました」


 再び扉が開き、唯葉が入ってくる。


「掃除などは全て済ませておきました。次は新人さんに仕事を教えます」


「おー、助かる。指導頼むよユイちゃん」


 相変わらず仏頂面な唯葉だが、そういう気配りもできるところを見ると、やはり根はいい人なのかもしれない。


「新人……いえ、幸久君は客から注文を取って私に伝えてください」


「え、あ、はい」


 いきなり下の名前で呼ばれるとは思わず返事に遅れてしまう。


「曖昧な受け答えはお客様に悪いイメージを与えるので注意した方がいいですよ」


(アンタがそれを言いますか)


 心の中で思うが、あえてツッコまない。


「私が手本を見せます。あ、丁度よく客が来ましたね」


 カランカランと音を立てて扉が開き、2人組が入ってくる。


「いらっしゃいませ☆何名様ですか☆」


 その途端、客の前で満面の笑みになり、可愛らしい仕草をする唯葉。


「2名です」


「こちらにどうぞにゃん☆」


『にゃん』って……あのさっきまで無表情で愛想のない彼女が『にゃん』って……。


「ユイちゃん凄いだろ?一見無愛想だけど柔軟に対応できるんだ。うちの自慢の子だね」


 いつの間にか横に立っていた平泉は頷く。


 キャピキャピの笑顔でも本来唯葉の真面目さは抜けておらず、テキパキと動いている。


「ですね……」


 女性って、つくづく怖いなーと思った幸久。




 こうして、幸久の波乱のバイト生活は幕を開けた。

さぁて、始まりましたリレー小説、『喫茶店ファミリア』

今後、幸久君はどのようなバイト生活を送るのでしょーか!?全く予想もできませんな。

そんなわけで、次はみずまっちゃんさんに交代です(^-^)/


皇帝チキン ➡︎ みずまっちゃん

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