なんで君
なんで君は、何にでも「なんで?」と聞いてきます。
用事を言つけられて「なんで?」。
ささいな疑問に「なんで?」。
怒られた時にも「なんで?」。
その理由を聞いて「なんで?」。
なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。
なんで君の「なんで」は、いつも尽きません。
そんなある日。
とうとう、なんで君の「なんで」になんで君の親は怒ってしまいます。
「口答えするな!」
「素直に『はい』だけ答えればいい」
「人の言う事は聞け、逆らうな」
「言われた事だけしろ」
こんな風な事をなんで君に言って聞かせました。
その日からなんで君は、なんで君からいい子君に変わりました。
いい子君は「なんで?」なんか言いません。
言われたことは素直に聞いて、「はい」と答えて、言われたことはキチンこなすいい子です。
いい子君は、親の言う事も先生の言うことも素直に聞いて、順調に成績を伸ばし、有名な高校や大学を卒業しました。
そんないい子君の現在は、国の運営に関わる重要な仕事をしています。
いい子君は今日も、上司の言う事に疑問を湧かず、問題を問題と思わず、素直に「はい」とだけ答えて仕事をしています。
いい子君の「いい」は、「都合のいい」の「いい」です。
ついつい、子どもには「良いこと・悪いこと」よりも「大人にとって都合のいいこと」を優先させてしまう人って多いように感じます。
この話のいい子君とは、個人を指すものではありません。
もしも、いい子君が多数を占める世の中になり、もしも社会の中枢を占めてしまった場合に、世の中はどうなってしまうのか。
皆さんはどう思いますか?
僕の予想は変わらないと思います。もちろん悪い意味で。