表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/36

第三十二話 時間の花

内容が難しすぎて完全にAI任せです。自分の色を出す隙は1ミリもありませんでした


研究所の実験室に、いつもと違う空気が漂っていた。

普段は各自の作業場で黙々と研究する直人が、珍しく研究員たちと肩を並べて何かの実験をしている。テーブルの中央に、見慣れない装置が置かれていた。金属製の箱で、内部が透明なガラスで覆われている。配線が複雑に絡み合い、計器盤が並んでいる。

「もう少し出力を上げてみてください」直人は研究員に言った。「慎重にお願いします」

研究員がゆっくりとダイヤルを回した。装置が低い唸りを上げ、内部のガラスが微かに光り始めた。

直人は計器盤を見つめた。数値が変化していく。

「止めてください」

研究員がダイヤルを戻した。装置の唸りが消えた。

直人はメモを取りながら「もう少しだ」と呟いた。

扉が開いた。

美代とララが入ってきた。

「何してるの?」美代は装置を見て言った。「また新しい発明?」

「実験中」直人は振り返った。「ちょうどよかった、見てて」

「何を?」

直人は研究員に目を向けた。「花を持ってきてもらえますか?」

しばらくして研究員が戻ってきた。手に、白い花が一輪ある。摘み取られたばかりの、みずみずしい花だった。

直人はその花を装置の中に入れた。もう一輪、同じ花を装置の外のテーブルに置いた。

「同じ花だ」直人は言った。「摘み取った時間も同じ。このまま放っておけば、同じ速さで枯れていく」

「それが?」美代は首を傾けた。

「装置を動かしたら変わる」直人はダイヤルに手をかけた。「行くよ」

装置が唸りを上げた。内部のガラスが光る。

全員が装置の中を見た。

一分が過ぎた。

テーブルの上の花が、ほんの少し萎れ始めた。

装置の中の花は、さっきと変わらない。

五分が過ぎた。

テーブルの上の花は、明らかに萎れていた。花びらの端が茶色くなり始めている。

装置の中の花は、まだ白いままだった。

美代が息を呑んだ。「直人くん、これって」

「装置の中の時間の流れを遅くしている」直人は言った。「外では五分経ってるけど、中では一分しか経っていない」

「時間を遅くした?」

「局所的にだけど」直人はうなずいた。「この装置の中だけ、時間の流れが変わっている」

ララが装置に近づいた。計器盤を確認し、配線を眺め、静かに言った。「エネルギー消費量が膨大ですね。この大きさの装置でこの消費量ということは、船全体に応用するには」

「今の技術では無理だ」直人は正直に言った。「でも方向性は間違っていないと思う」

研究員の一人が言った。「理論的には、この技術を船全体に応用できれば、乗組員にとって50年の航行が数日に感じられることになります」

美代はしばらく装置の中の花を見ていた。白いまま、時間の外に置かれたような花。

「すごい」美代は呟いた。「でも怖い気もする」

「怖い?」直人が聞いた。

「だって」美代は言った。「船の中では数日でも、外では50年経ってる。地球に戻ってきたら、みんな50年分老いてるってこと?」

実験室が静まり返った。

直人は少し黙った。その問いは考えていなかった。いや、考えないようにしていたのかもしれない。

「そうなる」直人は正直に答えた。

「じゃあ」美代は直人を見た。「直人くんが華僑の人たちを新しい星に連れて行ったとして、地球に戻ってきたら」

「お母さんは」直人は言った。「50年分老いてる」

沈黙が続いた。

ララが静かに口を開いた。「だからこそ、時間圧縮だけが答えではないかもしれません。空間と時間、両方のアプローチが必要かもしれません」

「両方?」直人が聞いた。

「空間を縮めつつ、時間の流れも調整する。二つを組み合わせることで、乗組員にとっても地球にとっても、ロスが少ない航行が可能になるかもしれません」

直人はメモを取った。ザイロンに話したい、と思った。博士にも。

「ねえ直人くん」美代が言った。

「うん」

「これ、タイムトラベルにも使える?」

実験室の研究員たちが顔を上げた。直人は少し考えた。

「理論的には」直人は言った。「時間の流れを操作できるなら、可能性はゼロじゃない」

「じゃあ」美代は装置の中の花を見た。「未来も、過去も、行けるかもしれないってこと?」

「まだ全然そこまでは」直人は苦笑いした。「今は花一輪の時間を遅くするだけで精一杯だよ」

美代は笑った。「でも始まりはいつも花一輪からじゃない?」

直人は美代を見た。それから装置の中の花を見た。白いまま、時間の外で静かに咲いている花。

「そうだな」直人は言った。「始まりはいつも小さいところから」

ララが微笑んだ。「素敵な実験ですね」

研究員たちがまた作業に戻り始めた。装置の唸りが再び響いた。

実験室に、静かな熱気が戻ってきた。

窓の外に、青い空が広がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ