007 えっ?
2025/6/15 改稿
天馬が初めて見た『死体』を恐れなかった理由を加筆してあります。
1時間を超えて走り続けた天馬は、足を止めた。頭上でまばゆいばかりの太陽が燦々(サンサン)と輝いている。
「はぁーー。はぁーー。はぁーー。15㎞くらいは走ったと思うけど、やっと半分、いや1/3か? 近いと思ったのに、結構な距離があるな」
流石に喉の渇きを覚え、呼吸を整えると、
「水、水を作るには・・・、水創造」
手で掬う形を作り、天馬が唱える。その手の中に、冷たい水が現れた。その水で喉の渇きを潤し、再び前を見据える。
「まあ、近づいているのは間違いない。夜までに辿り着かないと色々と不安だしな。よし、『鑑定』」
『ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 死体 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 死体 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 死体 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草 ザッツ草』
「えっ。死体?」
『死体』と出たうち、一番近い場所に慎重に近づく。
草の中から、太陽の光を反射して何かがきらめいた。天馬はもう一度、『鑑定』と唱える。
『朽ちた人族の死体』
表示された文字を前に、天馬は静かに手を合わせた。死者の冥福を祈り終えると、覚悟を決めて、その場所に近づいた。
草叢から現れたのは、白骨化した死体だった。その為か、若しくは『スキル』せいか分からないが、天馬は必要以上に恐怖や嫌悪といった負の感情を抱かずに済んだ。そして、その事が天馬に冷静その白骨を観察させた。
白骨死体は、城壁らしきものに向かって倒れていた。その背中に背骨ごと抉られたような傷が3か所、平行に走っていた。これが致命傷だったと思って間違いだろうと、天馬は思った。
天馬は再び手を合わせると、『収納』と唱える。すると、骨以外の全てがその場から消えた。