060 『防刃』の問題点
報告と御礼(2025/5/16)
読者の皆様
皆さまのお陰で累計PV50万、評価ポイント8,000を超え、本日のPVは、12万を超えました。日間、週刊の連載中にてTop10に入れました。読んでいただきありがとうございます。
また、誤字報告を下さった方々、改めて、御礼申し上げます。
感想を下さった方々、頂いた感想は、全て拝読させて頂いております。筆者の無知や設定の穴、甘さのご指摘、句読点の多さ等々、誤字もそうなんですが筆者自身、初投稿がこの作品です。至らない事は重々分かっているつもりです。今しばらく、生暖かい目で筆者と作品を見て頂きたいと思います。今後とも変わらぬご愛顧を宜しくお願いします。<m(__)m>
ブクマが増えたり、リアクションを頂く事。感想やレヴュー、評価を頂ける事は、変わらずに執筆の励みです。
最後に、繰り返しとなりますが、今後とも、宜しくお願いします。<m(__)m>
天馬とアルフ、ガルフが話している中、リーフが1歩進み出て、矢を口に咥え、右手に持った矢を番える。矢を引き絞り、狙いを付けて矢を放つ。直ぐに、口に咥えた矢を番えて、体の向きを変えて2射目を放った。
リーフが放った矢は、真直ぐに飛び、巻藁を射抜いた。それを見ずにリーフは、矢筒から矢を出して弓だけ動かして矢を放った。その矢も真直ぐに飛び、巻藁を射抜いく。改めて、弓を引いて感触を確かめたリーフは巻藁の方へ歩き出した。皆もリーフに続く。
リーフが射抜いた巻藁は、3本とも文字通りに射抜かれていた。巻藁の後ろに矢の先が10㎝ほど飛び出ている。
「お嬢さん、これは、テンマが『付与』を施した普通の矢。・・・だったかのかのぅ?」
「そうだよ、お爺ちゃん。テンマ君が、『付与』してくれた普通の矢よ」
イオの言葉に答えたリーフが言葉をつなぐ、
「それより、この弓。確か、『命中精度上昇』、『威力増大』だったけ。この『付与』のせいよ。だって、矢は、『素材強化』、『材質強化』、『防腐』だけだもん。『命中精度上昇』、これも凄いのよ。使ってる感覚だから、うまく言えないんだけど。・・・狙ったトコに行くのよ。
3射目、弓だけで狙ったんだけど、普段なら肘が外に行くから、どうしても狙いから左に行くのよ。それを加味して狙っても。それが、狙い通り行ったのよ。凄いと思わない?」
リーフの熱弁を皆が黙って聞いていた。何と言葉を掛けようか迷っていると
「お嬢さん、ここから、あれを狙えるかのぅ?」
イオが示したのは、4と書かれた長袖を着た巻藁だった。
「簡単よ。お爺ちゃん」
答えるが早いか、矢筒から矢を取り出して番えて放つ。矢は、真直ぐに飛び、巻藁を射抜いた。
イオとガルフを先頭にしてマトとなった巻藁に近付く、矢は長袖を貫通していた。巻藁の後ろに回ると長袖はそのまま、巻藁を貫通した矢の先が突起を作っていた。
「ふむぅ、貫通しているのぅ。テンマ、どう考える?」
イオに聞かれ、
「あくまで『防刃』ですからね。刺突系の攻撃や武器には弱いんです。多分、アルフさんの長剣なら、似たような結果に。ガルフさんの長剣でも、致命傷を与えるぐらいは、刺さると思いますよ」
それを聞いて、ガルフが長剣を出し、適度な距離を取って、左脇腹に柄を添える様にして水平に構えた。そして、そのままの体勢で、巻藁に向かった。結果、天馬の言ったように深々と刺さり、リーフの矢と同じよう形で止まった。それを見て、イオが溜息交じりに
「そうか、刺突に対しては、大して意味がないのか。残念じゃのぅ」
と零した。それを聞き取った天馬は、
「『衝撃吸収』を『付与』したら、幾分かはマシになると思いますよ」
と声を掛けた。それを聞いてイオの顔が明るくなる。
「テンマ、2と3に『衝撃吸収』を『付与』して貰えんか?」
イオに頼まれ、天馬は『付与』を施す。『鑑定』で確認をして、イオに報告するとガルフが、同じ様に突いて試した。結果は、2が3㎝くらい、3は5㎝くらい刺さった。それを見て、イオが天馬に聞く、
「テンマ、なんで『衝撃吸収』を『付与』しただけで、変わったのじゃ?」
「刺突の衝撃を『衝撃吸収』が、吸収する事で刺突の点が、大きくなったからじゃないかと? 正直、僕も良く分かってないんですよ。すいません、イオ師」
「そうか、そうか。『付与』を施した本人も分からないなら、しかたがないのぅ」
そう言いて、笑った。天馬は、イオが何を求めているのか、察していたが、その答えを口に出さずに、
「刺突に対しては、服の下に鎖帷子着るとか、スパイダーシルクの裏地を当てるとか、他の手段を考えた方が良いと思いますよ。結局、素材の耐久力を超える刺突も斬撃も防げない事は変わりませんから」
と答えるに止めた。天馬は、『付与』の言葉を考えた時に『物理衝撃無効』とか、『魔術攻撃無効』を思いついた。でも、天馬は『付与』にその言葉を選ばなかった。それは、『付与』を施す対象の耐久性を超える衝撃や魔術に意味があると思えなかった事。『付与』を信頼することで慢心する事。何より、己の身を守りたいなら、鎧を着るなり、盾を持てばいいだけと考えたからだった。
「そうじゃのぅ。テンマが言うように他の手段と合わせて使うのが正しいようじゃな」
「お前達、巻藁を使った試しは、まだ必要か? 次に移るか?」
イオと天馬の話が終わるを待っていたガルフが皆に聞いてくる。
「俺達は、十分だ。テンマ。お前は?」
「僕も十分です。それより、次は、岩壁でお願いします。僕もアルフさんも試したい事があるので」
「ほおぅ、2人共、何をするんじゃ?」
「それは、見てのお楽しみですよ。イオ師」
「そうか、そうか。では、岩壁で試すかの? お嬢さん、次は『炸裂』も使ってくれんか? マリオ、お主は、火属性以外じゃな」
リーフとマリオに岩壁で行う試しをイオが指示し終える。巻藁を魔法の背負袋に収納して、イオの話しが終わるのを待っていたガルフが、
「そろそろ、話しは終わったか? 移動しねぇか、岩壁によぉ」
痺れを切らして声を掛けた。
「そうじゃのぅ。移動しようかのぅ」
イオの言葉に従って、皆が岩壁の前へと移動を始めた。




