005 使ってみる。その2
2025/6/14 改稿
鑑定魔法がMPを消費しないこと、そして「鑑定」と唱えるだけで「鑑定魔法」が使えることが分かった天馬は、他の魔法も使ってみようと思った。次にどの魔法をどこで試すか、しばし考えて、城壁らしきものに向かうことを決める。そして、天馬は右手をまっすぐに突き出して、
「風刃」
呪文を唱えた直後、天馬は何かが減ったと感じた。
天馬がイメージしたのは、足首ほどの高さで幅1mの風の刃が、地面を這うように走り抜ける事だった。そのイメージ通りに魔法は発動する。風の刃は、目の前のザッツ草を刈りながらおよそ25mほど進んだところで、大気に溶けるように消え去った。
すぐにステータスを確認すると、MPが10ポイント消費されている。
「属性魔法はMPを消費するのか。さっきのがMP消費の感覚? だとしたら、鑑定魔法はやはり特別なのか? 魔法はイメージの具現化なのかもしれない。ならば、『収納』」
今度は『亜空間収納』を意識しながら「収納」と唱える。すると、「風刃」で刈られたザッツ草が、足元から10mほどの範囲まで一瞬で消えた。先ほど感じたMP消費の感覚は一切なかった。
天馬はステータスを再び確認し、MPが消費されていないことを確認する。すると、ステータス画面に『収納物』という新たな項目が増えていることに気づいた。そこをタップすると、
『ザッツ草×25,323』
と表示されている。さらに『ザッツ草×25,323』をタップすると、
『 』とテンキーが現れた。
試しに『1』と入力してエンターキーを押すと、今度は『展開』と『廃棄』という選択肢が表示された。『廃棄』を選ぶと、さらに『YES/NO』の確認画面が出る。
『YES』を押すと、『ザッツ草×25,322』と表示が変化した。
次に、同じ要領で『25,322』と入力し、『展開』を選ぶと、足元にザッツ草の小山が瞬く間に現れた。同時にステータスから『収納物』の表記が消える。
再び『亜空間収納』を意識して「収納」と唱え、『収納物』の表記が出現したことを確認する。その状態で、右手に雑草を一本だけ出すイメージで「展開」と唱えると、まさにその通りに1本のザッツ草が出現した。
次に、収納した物を廃棄するイメージで、右手のザッツ草に「収納」と唱える。ステータスを確認すると、そこには再び『ザッツ草×25,322』と表示されていた。
「『亜空間収納』は、中に何があるか分かっていれば数量を指定して取り出せるのか。『廃棄』はステータス画面からじゃないとできないってことかな? 『収納』の射程は10mくらいか。これって、盗みにも使えるな。偽装で消した方がいいかな? 次は身体強化を確認してみるか?」
そう言って天馬は、その場で跳んでみた。