055 巻き込まれた人達の顔合わせ
報告と御礼(2025/5/11)
なんと当日のPVが、5万を超えました。筆者自身が、GW明けからの変化に驚いております。PV累計15万超え、総合評価も2,000ptを超えました。昨日、累計PVが10万超え。総合評価1,000pt超えの御礼を書いたばかりなのに、凄く嬉しく思っております。
今後も、頑張って書いてい行きます。
誤字報告を下された方々には、この場を借りて、改めて、お礼を申し上げます。
ブクマが増えたり、リアクションを頂く事。感想やレヴュー、評価を頂ける事は、変わらずに執筆の励みです。
今後とも、宜しくお願いします<m(__)m>。
今回は、冒険者ギルドのギルマス、ガルフと魔術師ギルドのイオ学長、エルン事務局長が天馬について話しをしています。
時間は少しだけ遡る
午後1時を過ぎた頃、魔術師ギルドに1人の男が現れた。その男は、どう見ても魔術師と見えない男だった。碧眼のスキンヘッド、赤銅色の日に焼けた肌、筋骨隆々の四肢、そんな男が、鋭い視線を辺りに向けていた。その男は、奥のカウンターを見つけると真直ぐにカウンターに向かい、受付の少年を睨んだ。睨まれた少年は、勇気を振り絞り、
「何か、御用でしょうか?」
と場違いな男に問うた。男は「ニカッ」と相好を崩して笑い、
「俺は、冒険者ギルド、ゴメナ支部のマスターを務めているガルフだ。魔術師ギルドの責任者を。用件は、修練場の使用についてだ」
言われた少年は、一旦下がり、代わって奥からエルンが出て来て
「初めまして、当魔術師ギルド、ゴメナ支部、事務局長を務めております。エルンと申します」
「おう。俺は、ガルフ。冒険者ギルド、ゴメナ支部のマスターを務めている。それで、お前さんが、責任者。じゃねぇよな?」
「当たり前な事を言わないでください。これから学長の元に案内いたします。付いて来てください」
エルンの案内で学長室に入るとイオが、ガルフにソファーを勧めた。腰を下ろす前に、
「冒険者ギルド、ゴメナ支部でギルドマスターを務めているガルフと言う。今後の事を含め、宜しくお願いしたい」
「これは、ご丁寧に。ワシは、この魔術師ギルドの学長を務めておるイオじゃ。こちらこそ、宜しくなのじゃ」
部屋にいる皆が、腰を下ろすとガルフが口を開く。
「修練場を借りる事になった原因について、話したいと思うんだが・・・」
そう言って、言葉を切り、エルンに視線を向ける。視線を向けられたエルンは、ガルフの意図を読み取り、
「心配は無用に願います。ガルフ様。私も誓紙に署名をしています」
エルンの言葉にガルフの雰囲気が和らぐ。
「そうか。じゃ、取り急ぎ、情報交換をしたいと思うが、どっちから話す?」
「エルンが、署名をしていると言っても、テンマの名を出さんとは。さすが、冒険者ギルドのマスターじゃ。まぁ、用心するに越した事はないじゃろうからな。心配するでない。この部屋の中は、安心じゃ。なんせ、代々の趣味人が、『防音』に『防諜』、『嘘看破』と『真実看破』の魔道具を作って、置いて行ったからの。
でじゃ、こちらの知っている事を先に話すと、おそらく話が進まんと思うのじゃ。じゃから、そっちから話を聞きたいのじゃが・・・、テンマとは、何者なんじゃ?」
「何者か。それが、分かっていたら良いんだが。
アイツを連れて来たアルフに聞いたんだが。ゴメナに来た目的は、職探し。出身地はもとより素性も不明。身体強化と見紛う身のこなし。剣の腕は、ゴブリンを6匹撫で切る。そんなところだ。あと、テンマはモノを知らないとも言っていたな。この国の名も知らなかったらしい。
で、Fランクの冒険者となったんだが。Fランクのクセに上級職の魔剣士持ち、水魔法と生活魔法を使い、アイテムボックスも持っている。そのアイテムボックスも変わっている。と言うか、あれは、異常だな。
それで、アイテムボックスを持ってるテンマに荷運び人の強制依頼を出したんだが。アルフの奴が、何を考えたんだか、討伐の強制依頼に、大蛇の仮メンバーとして参加させると言い出した。テンマ自身が、どっちも了承したんだろ。それで、こうなったと思っている」
「そうですか。冒険者ギルドは、素性の分からない者でもギルドカードを発行するんですか?」
とエルンに言われ、
「Bランク冒険者の紹介で、腕が良いと言われたんだぞ。そっちも、マリオの紹介だったら、どうせ、ギルドカードを出してんじゃねぇか? 後か、先かの違いじゃねぇか」
ガルフが反論する。それを聞いて、
「そうじゃろうな。ガルフ殿の言う通り、テンマが先にこっちに来とったら、同じ様にギルドカードを出しておったじゃろう。それでじゃ、テンマのアイテムボックスが、異常と言うのは、どういう意味じゃ?」
「分かってくれるなら、それでいい。奴のアイテムボックスは、容量もそうだが、それより、離れた所に在るモノも入れたんだよ。普通のアイテムボックスは、対象に触れていないと入れられないだろ。それが、100個の樽を同時に入れたんだ。その後、2段積みで出してくれと頼んだら、そのまま、100個の樽を同時に、2段積みの状態で出したんだよ。正直、目を疑ったぜ。あれには。
俺も仕事の関係で、アイテムボックスは、見て来てる方だと思っていたが、あんな入れ方も、出し方も初めて見た。イオさんは、そんな事が出来るアイテムボックス持ちに心当たりはあるか?」
ガルフの話しを聞いて、エルンは黙っている。イオは、目を瞑り、何かを考えている様子だ。ガルフとエルンが、イオの言葉を待つ。
「ワシも聞いた事が無いのじゃ。対象に触らずに入れる事ができるアイテムボックスなど。だが、似た事ができる者の事は、知っておる。記録で見ただけじゃがな。
其の者は、『次元収納』と言う、アイテムボックスに似た能力を持っておったそうじゃ。ただ、アイテムボックスと違い、離れた場所にも出し入れが出来たと言われておる。
本当に、テンマのスキルは、アイテムボックスなのじゃな」
「おう、うちのマイルが『鑑定』したんだ。間違いは無いと思うぜ」
「そうか。マイルの鑑定魔術のLvは、幾つじゃった?」
「確か、Lv5だったと記憶しています。当魔術ギルドの中でもトップです。だから、冒険者ギルドに出向させているのですから」
「そうじゃった。では、テンマのスキルは、アイテムボックスと言う事になるのかのぅ?」
「でも、離れた物を入れるとは、ガルフ様の言われるように普通では無いです。どう考えればいいのでしょう?」
イオとエルンの会話を聞いてガルフは、テンマのアイテムボックスが、特殊なモノと理解できた。同時に、一方的に情報を提供している事に気付いて、
「テンマのアイテムボックスが、特殊なのは分かった。それは、あとで論じても構わん。それより、そっちが知ってることを教えて貰いたいんだが」
ガルフの言葉に、イオとエルンが、互いを見合う。
「そうじゃな。テンマに付いて、確実な事は、テンマは『賢者』の等級を持っておる。新しい『魔法文字』を用いた『付与』を行える。
ここからは、ワシ等の想像になるのじゃが、・・・テンマは『鑑定』を使え、その上で『付与魔法』が使えると思っておる。あとな、ガルフ殿の話しを聞いて、ワシは『鑑定偽装』もテンマは使えると思ったのじゃが? どう思う?」
「『鑑定偽装』ですか? まさか?」
イオの言葉を聞き、エルンが聞き返した。ガルフは『鑑定偽装』の意味は分かったが、その言葉とテンマが繋がらないでいる。それよりも、『賢者』の方が、ガルフには、驚きだった。
「あー、すまん。色々と聞きたいんだが、その前に『鑑定偽装』って、文字通りの解釈で良いのか? それとテンマが、どう繋がるんだ?」
「そうですよ。どういう事ですか?」
「エルンも『賢者』の等級が出た時、テンマの嘘を疑っておったじゃろ。今、考えれば、あの時のテンマの答えは、不自然な表現があったと思うのじゃ。じゃが、マイルの『鑑定』も、ギルドに所属する、魔術師達の鑑定結果もテンマが所持するギルドカードと同じじゃった。
じゃが、テンマが『鑑定偽装』を使えると考えると、色々と合点がいくのじゃ。『賢者』の事もそうじゃし、アイテムボックスもそうじゃ。あと、ガルフ殿が、言っていた『身体強化と見紛う身のこなし』も。
『鑑定魔術』で『鑑定偽装』を見破るには、『鑑定偽装』の倍のLvか、『鑑定魔術』のLvが最大で無いと見破れん。もし、テンマが『鑑定偽装Lv3』以上であれば、この町でテンマの偽装を見破れる者は、いない事になるのじゃ。そして、鑑定結果を偽装できるのも『鑑定偽装Lv3』からなのじゃ。Lvが2や1なら隠す事しかできんのじゃから。
それ故、テンマは『鑑定偽装Lv3』以上と考えると、論理的に説明ができるようになるじゃろ。『賢者』もアイテムボックスも。『身体強化』も。どうじゃ」
イオの説明を聞いた2人は、納得はしたが、同時に「なぜ?」と思う。ガルフは、なんでそんな面倒な事をする必要があるのか分からない、と思い。エルンは、思った事を口にする。
「なんで、そんな事をするのですか? 『賢者』って事は、全属性の魔術を使える証。そんな面倒な事をする意味がありますか?
魔法が使える事を隠すなら、まだ、理解はできます。でも、それは、隠さずにおいて、『身体強化』を隠す。アイテムボックスも隠していれば良いだけだと思いますが?」
エルンの言葉を聞いて、ガルフも同じ意見らしく、激しくうなずいている。
「それは、テンマにしか分からん事じゃ。ワシも直接、聞いたわけではないしの。あくまで、ワシの想像じゃ。そう言ったであろう。じゃが、論理的に説明できる仮定の1つである事に反対はせんじゃろ。と言うか、反論できんじゃろ」
「ですが・・・」
エルンが言葉に詰まる。ガルフは、他にも気になった事をイオに問う。
「テンマが、新しい『魔法文字』を用いた『付与』を行える? 『付与魔法』ってどう言う事だ。『付与魔術』と何が違う?」
ガルフの問いに答えたのは、エルンだった。
「テンマ君は、おそらく『魔術インク』を使わずに、新しい『魔法文字』を用いた『付与』を行えると思います。それは『付与魔法』を使えると同じ意味と考えてください」
「ガルフ殿、『魔術インク』を使い、『魔法文字』を刻むのが『付与魔術』と言われる魔術、技術と言っても良い。だが、テンマは、直接、言葉を紡いで『付与』を施すらしい。これが、『付与魔法』となるのじゃ。マリオの言葉を聞く限り、テンマが『付与』を施す現場にも立ち会えるじゃろう。今から、ワクワクしてたまらん事じゃ」
イオが、本当に楽しみでならないと言う笑顔を浮かべて、ガルフに言った。その時、扉をノックする音がする。部屋の扉をエルンが開けると受付の少年が、アルフ達、大蛇と天馬の来訪を告げた。




