表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/85

053 冒険者ギルド(アルフ Side)

報告と御礼(2025/5/10)


 読者の皆様、ありがとうございます。

 累計PVが10万を超えました。総合評価も1,000ptを超えております。これからも頑張って、書いて行きたいと思います。今月中には、区切りの良い所とまでは書き進めたいと思っています(汗)。


 文才の無い身ながら、頑張ります。


 感想、誤字報告を下された方々には、この場を借りて、お礼を申し上げます。厳しい感想もありましたが、筆者としては、有難く思っております。


 ブクマが増えたり、リアクションを頂く事。感想やレヴュー、評価を頂ける事は、執筆の励みになります。今後とも、宜しくお願いします<m(__)m>。

 誓約書を教会で作って貰ったアルフとリーフは、魔術師ギルドの前でマリオと別れ冒険者ギルドに向かった。

 

 強制(コンパルソリー・)依頼(リクエスト)を明日に控え、ギルド内はピリピリとした空気が漂っていた。武器の手入れをする者、女性冒険者に声を掛け、必死に口説いている者、併設されてる酒場で酒を煽る者。皆が、明日の強制(コンパルソリー・)依頼(リクエスト)に対して何かしら思っている。そんな中、(イキオ)いよく扉を押し開けて入って来た者に視線が向かう。今回の騒動の発端と言える人物が姿を現した。剣呑な視線が、入って来た人物に向かう。


そんな、視線を気にもせずに開口一番、


「アルフだ。マスターは? どこに居る?」


 そう言いながら、カウンターに近づく。アルフの後ろをリーフが、目立たないよう、少し距離をおいて付いて行く。


 アルフがカウンターに肘を付き、身を乗り出して受付嬢に、


「マスターは? どこに居る?」


 と再び問う。受付嬢は、顔色を変えずに微笑んでいた。もう一度、先ほどより大きな声で、


「マスターは?どこに居る?」


すると奥から


「聞こえているぞ。アルフ。今度は、何だ? コボルトの群れでも見つけたか?」


「ガルフ。それは、笑えねぇ冗談だ。折り入って相談がある。場所を変えて貰えないか?」


「ふん。お前が持ってくる話しは、ろくなもんじゃねぇからな。良いぞ。部屋で聞いてやる。リタ、コイツと後ろのお転婆娘を連れて来い」


 リタと呼ばれた受付嬢が、カウンターを回ってアルフの前に立つ。アルフは、リーフを見て顎をしゃくる。リタに付いてギルドの廊下を歩く。一際、重厚な扉を開け、リタがアルフ達に入室を促す。部屋に入ると、執務机に座ったガルフが口を開く。


「で、今度はどんな厄介事だ?」


「厄介事・・・、かも知れんが、それ以上に有用な話だと思っている。この国にとって」


 アルフの言葉を聞いたガルフが、訝しんだ目でアルフを睨む。


「国とは、大きく出たな。内容を聞いてから、判断してやる。話せ」


「話すのには、条件がある。誓約書に署名(サイン)を貰いたい。貰えなければ、このまま部屋を出ていく。文句は、一切、聞かない。因みに大蛇(サーペント)は、同じ誓約書に署名(サイン)している。多分、魔術師ギルドの学長も。どうする?」


「俺が、断ったらどうする?」


「当面は、どうするも無いだろ。明日には、脅威度Cの討伐があるんだ。ただ、将来的には、断ったアンタは、まずい事になると思うぜ。


 同じ話をマリオが魔術師ギルドに持って行ってる。向こうは、間違いなく誓約書に署名(サイン)して、情報を得る。その恩恵もな。そうなった時、俺は、今のやり取りを皆に話す。


 ここ以外のギルドでもな。そうなると、冒険者ギルドに不利益を(モタラ)した犯人は、アンタになるんじゃないか?」


「俺を脅すつもりか、アルフ。Bランクの一冒険者が?」


「違うぞ。脅しじゃない。事実を話している。それに、俺は、交渉しているつもりだ。だって、今、ガルフに不利益は無いだろ。ただ、誓約書に署名(サイン)をしなかっただけで」


「それを・・・・・・。わぁーたよ。署名(サイン)する。誓約書を出せ」



 アルフは、誓約書を出し、ガルフに渡す。ガルフが、誓約書を一読して、


「テンマ。アイツが関係してんのか?」


 アルフが、何も言わないので、ガルフは、黙って誓約書に署名(サイン)して、その上にギルドカードを置く、1枚目が光の粒子となって霧散した。残った1枚を取り、残りをアルフに返した。


「ガルフ、誓約書を知ってたのか?」


「当たり前だ。ギルド職員の役付きは、全員、俺と誓約書を交わしている。俺も国の冒険者ギルド本部のマスターと交わしている。それで、テンマがどうした?」


「そっか。まぁ、これを見てくれ」


 そう言って、天馬が『素材強化』『材質強化』『防刃』を『付与』した長袖を取り出し、ガルフに見せた。それを見たガルフは、


「普通の長袖じゃねえか?これが何だって言うんだ?」


「そう思うだろ。ナイフを貸してくれ。見た方が早い」


 ナイフを貸したガルフは、アルフが何をするのか分からなかった。アルフは、机の上に長袖を広げ、ナイフを長袖の上に当てる。


「机に傷が付いたら、許してくれ」


 そう言って、ナイフを一気に引いた。


「ちょっ、待てえぇーーーーー」


 ガルフの絶叫が、部屋に響く。ナイフは、机に3㎝ほどの傷をつけた。そのナイフをガルフに返して、アルフは、長袖をガルフの目の前に広げて見せる。


「はっ?」


 ガルフは、長袖と傷が付いた机を交互に見て、もう1度、


「はっ?」


 と口にする。それを見て、リーフが噴き出して、アルフは、楽しそうに笑う。


「そんな顔になるよな。これが、テンマが『付与』した『防刃』の効果だ。俺達は、この長袖の購入にも立ち会っている。テンマが買った時は、普通のトップスだった。それが、こうなった」


「信じられん。アイツは付与魔術師だったのか?」


「いや、良く分からない。魔術師ギルドは、俺達よりは、把握してると思うが。ただ、これだけじゃないんだ。今朝、テンマが、これを俺らに見せて、俺らの装備へ付与したいって言ってきたから、預けてきた。それが、午後には、終わって試せるらしい。それで、ギルドの修練場を貸し切りにしてもらいたい。ダメか?」


「ダメじゃないが・・・。他にどんな『付与』するか知っているのか?」


「ああ、効果は分からんが、俺の剣には『素材強化』、『材質強化』、『防錆』、『内部靭性上昇』、『鋭刃鋭利上昇』。鎧は『素材強化』、『材質強化』、『防刃』、『防汚』、『防腐』、『防水』、『衝撃反射』、『攻撃反射』が付くらしい。リーフ、お前は?」


「私は、弓に『素材強化』、『材質強化』、『防腐』、『命中精度上昇』、『威力増大』。矢に『素材強化』、『材質強化』、『防腐』。50本ずつ『貫通力上昇』と『炸裂』を付けるって言ってた」


「そうそう。マリオの杖にも『魔力操作上昇』、『使用魔力減少』、『魔術威力増大』を付けると言っていたな。アイツ」


 アルフとリーフの話しを聞いて、ガルフは椅子に座り込み、天を仰いだ。口からは乾いた笑いが漏れている。


「えっ~と、ガルフのおっさん。大丈夫か?」


 アルフに声を掛けて貰い、ガルフが帰ってくる。


「ああ、大丈夫だ。で、その付与の威力とかは、分かってるんだろうな? まさか、知らないとか言わないよな?」


「すまん。知らないんだ」


「はっ。知らないで、修練場を使わせろって? 今、修練場に何があるか知ってて、言ってんのか?」


「何があるんだ? リーフ、知ってるか?」


「知らなーい」


「おいおい、昨日、お前らが買ってきた(モン)があるじゃねぇか。明日の糧食が。それに被害が出ねぇか心配してんだよ。大丈夫なんだろうな?」


「すまん。分からない。何せ、付与を施された武器を使うのも、俺自身が初めてだし。その付与だって、マリオも聞いた事が無い様子だったし。正直、どれほどの効果なのかが、分からないんだ」


「そうかよ」


 アルフとリーフの態度にガルフは呆れた。アルフが見せた天馬の付与。その効果は、今までの常識の範疇に収まるモノではない。武器に対して行われた付与が、アルフの見せたモノと同等と考えても、研ぎから戻って来た剣程度、と考えるのは危険に思えた。


「アルフ。マリオと連絡を取れるか? カードで。マリオに魔術師ギルドの修練場を借りる段取りを頼んでくれ。こっちからは、試し切り用の巻藁と矢のマトを持ち込むと伝えてくれ」


「分かった」


 そう言って、アルフはギルドカードを持って、目を瞑る。目を開け、


「一応、送った。あとは、返事待ちだ」


「そうか。それより、テンマって何者なんだ。昨日だって、あんなアイテムボックスもその容量も普通じゃねぇぞ」


「そうだなぁ、何者なんだろうなぁ?正直、良く分からんが、悪い奴で無いのは間違いない。と思っている。アイツは、職探しで、ここに来た。剣の腕があり、身体強化と見紛うばかりの動きでゴブを6匹、撫で切る。金も結構な額を持っている」


「そうそう。テンマ君、お金持ち」


「だから、俺らは、どっかの国の貴族か、イイトコの御曹司(オボッチャン)とか、考えたんだが、・・・・・・アイツ、モノを知らねぇんだ。多分、この国の名前も知らなかったと思うぜ」


「マジか? そんな事があるのか?」


「普通は、ねぇよな。だから、テンマが何者は、分からん。としか言えねぇ。でも、俺らを案じて、付与を申し出てくれるような奴だ。だから、悪い奴じゃねぇ」


「そっ。テンマ君は、素直で良い子だよ。ギルマス」


「そっか。テンマは、素直で良い子か。アルフ、お前の勘も鳴らなかったんだろ? それに、マリオの『嘘看破(ライ・ディテクション)』でも白だったら、当座、信用するしかねぇな。


 ところで、テンマと知り合ったきっかけは? 今までの話しからすると、どっかで拾って来たんだろ?」


「そうそう。『不帰(カエラズ)の草原』の方から出て来た時は、驚いたよね。アルフ?」


「そうだな。アイツとは、帰りの道中、ここから馬車で半日、ゴブの襲撃で助力してくれたのが、最初の出会いだ。さっきも言ったが、アイツはモノを知らねえ。だから、小便しに草叢(クサムラ)に入ったそうだ。だって、俺が言うまで『不帰(カエラズ)の草原』も『魔の樹海』も知らなかったんだからな」


「そうなのか? それでも、お前らは、テンマを信用すると?」


「そう言う事だ」


「それより、修練場の件。どうなった? それと、何時からだ?」


 ガルフに言われてギルドカードを確認すると、丁度、文章が書かれ始めた。それを読んで、


「大丈夫だ。時間は2時から予定していてくれ。俺達は、一度、宿に戻ってから魔術師ギルドに行く。行きがけに声を掛けようか?」


「いや、大丈夫だ。先に魔術師ギルドに行って、向うの学長と話しておく必要があるだろう?」


「そうだな。そうしてくれ。苦労を掛けて悪いな。ガルフ」


「気にするな。じゃあ、向うの修練場で」


「おう、また、あとで」


 そう言って、アルフとリーフは、ガルフの部屋を出で行った。2人が出て行った扉を見つめガルフは、頭を抱えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
テンマに余計な仕事が回ってくることはないための誓約書なんだろうな。何のための誓約書か、違和感を感じます。
側面、●●視点としてサイドを使っているのでしたらスペルはsideになります saidだと喋る意味での「言った」になります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ