036 マーニーさんの店 1階
2025/7/13 改稿
「テンマ、予定と違うが、マーニーさんの店を先に寄っていいか?」
「構いませんけど、マーニーさんの店って、何を売ってるお店なんですか?」
「革製品と魔道具、それと高級品だな。マーニーさんの店はデカくて、1階が革製品と魔道具、2階で高級品を売ってる」
「高級品?宝石とかですか?」
「そうだな。指輪やネックレス、携帯時計も売ってるな」
「携帯時計? どんなものですか?」
「わりぃ。俺は見た事ないんだ。リーフは知ってるか?」
「ごめん、私も知らない」
3人で話しているうちに、マーニーさんのお店に着いた。「革製品と魔道具 ジューエル・マーニー」と書かれた看板が掲げられていた。店に入ると、マリオとマーニーがテーブルに座って談笑していた。3人が入って来たことに気づいたマリオが、開口一番に不平を漏らした。
「3人とも遅いですよ! どれだけ待ったと思ってるんですか? 2時間半ですよ、2時間半! お茶でお腹がいっぱいになるところでしたよ」
マリオの不満を聞いて、3人が顔をしかめた。それを見たマーニーが苦笑いしながら、
「ようこそ、待ってましたよ。今日は、昨日のお礼も兼ねて、何を買われても2割引きにさせていただきます」
「おおー、ありがたい! 早速、テンマのブーツを見せてくれないか? サイズは8、編み上げで探索に耐える物を頼む」
「分かりました。少々、お待ちください」
そう答えたマーニーは、店員を呼び指示を出した。天馬は店内を見て回り、魔法の皮袋や魔法の水袋のコーナーで足を止めた。
魔法の皮袋や魔法の水袋の前で足を止めた天馬に、マーニーが近づいて商品の説明を始めた。
「こちらの魔法の皮袋は、小さい物で樽1つ分、その上、腰袋サイズで樽10個分の容量があります。背負袋は樽30個分の容量になります。どれも重量軽減の魔術が付与されておりますので、実際の袋の重量しか重さを感じません。
でも、テンマ君は『アイテムボックス持ち』だと聞いていたので、必要ないかと思いますが?」
「そうですね。確かに『アイテムボックス持ち』ですが、目立つのではないですか? アルフさんにパーティーに誘われました。それだけ、『アイテムボックス持ち』は珍しく、貴重なのかと思って、最低限の物は、魔法の皮袋から出し入れしたいと思いまして。そうすれば、アイテムボックスもバレないでしょう」
「そうですね。その考えなら魔力登録が出来るタイプを薦めます。この辺がそうですね。若干、値は張りますが。素材は魔獣の革。付与は重量軽減、魔力記憶、防水、防汚、素材強化、時間遅延、盗難警報を施してあります。登録者は最大で5人まで登録できます」
「もし、登録者が死んだら、中の物はそのままになるんですか?」
「いいえ。このタイプは、販売店は誰に販売したか記録を残す事が義務になっております。それに加え、留め具の裏や袋に販売店の印を刻み、どこの店の商品か分かる様にしています。その2つで、誰が購入した物か分かる様になっています。
そして、購入者が亡くなった時、若しくは犯罪にかかわる物だった時、衛士と購入者の所属ギルド、両者の立ち合い下で、売主か、解呪を使える魔術師が中を確認することができます。複数の魔力登録が有った場合は、魔力登録した人が全員が亡くなった時に、この処理をします」
「そうなんですね。では、これを」
天馬は、腰袋タイプでベルト通しが付いている物を選んだ。続けて、魔法の水袋のお薦めをマーニーに尋ねた。
天馬から魔法の水袋のお薦めを聞かれたマーニーは、申し訳なさそうに説明を始めた。
「魔法の水袋は、そんなに種類は有りません。それに、ちょっと使いづらいと言いますか、基本的に使い捨てに近い物なんですよ」
魔法の水袋の説明:魔法の水袋は、魔石の容量分しか水が出ない。水の魔力を魔石に補充する事が必要。補充は魔術師ギルドに依頼することになる。値段は1回毎に小銀貨2枚。出て来る水の量は、同じ金額で買える水の1.2倍。パーティーに水属性の魔術師がいないとランニングコストが高くなる。だから、販売店は最低価格で小銀貨3枚から販売して、銀貨1枚で下取りをする。そのため、冒険者の大半は普通の水袋を買うか、魔法の皮袋を買って水を保存する。
天馬はマーニーの説明を聞いた上で、魔法の水袋を見た。大きさの違いはあっても基本はワイン袋の形であった。そんな中、竹の水筒が目に留まった。革紐が付いていて、肩から掛けられるようになっている。それ以前に、この世界にも竹があるんだと思い、驚いた。
裏を見ると奇麗な水色の石が嵌まっている。ここれが魔石なのだろうと思い触ってみると、何かが吸われた。
「あれ、マーニーさん。魔法の水袋の魔石って、空なんですか?」
「そうですね。ご購入を決めていただいてから、魔石に魔力を充填しています。内には、専属で付与と水属性の魔術師がおりますので、何かありましたか?」
「すいません。これも買います。今、僕の魔力が吸われたみたいなので」
「へっ。テンマ君は、水属性の魔力持ちですか?」
「そうです」
「これは失礼しました。では、こちらは差し上げます。元々、素材の珍しさで取り寄せたのですが、評判も悪く、返品も検討していた品で、売値も最低価格なんですよ。テンマ君が魔力を充填したことで、小銀貨2枚はいただけません。本体価格として小銀貨1枚、ですが2割お引きすると銅貨8枚の利益ですから。今後のお付き合いをお願いするための挨拶と思って下さい」
「そうですか? では、お言葉に甘えます」
「そうして下さい。これの素材は竹。付与は防汚、材質強化を施してあります。長く使える物ですよ」
「ちょっと気になったんですが、付与の数は、素材によるのですか?」
「そうですね。普通の素材だと品質にもよりますが、最大で3つまで。魔獣や魔木なら最大で8つの付与が可能です。伝説級の素材、ドラゴン牙とか皮、鉱石で言えば、アダマンタイトやオリハルコンになると10個以上の付与が出来ると言われていますね」
「そうなんですね。教えて頂き、ありがとうございます」
マーニーに、先ほど指示を受けていた店員が声をかける。
「テンマ君。ブーツの準備が出来たようですよ」
そう言われて振り返ると、テーブルの上に3足のブーツが乗っていた。
テーブルにマーニーと移動すると「大蛇」の面々もテーブルに集まってきた。み全員が揃ったところで、マーニーが商品の説明を始めた。
「こちらの素材は、底板は黒檀、革は火蜥蜴となります。底板には防滑、防汚、材質強化が付与され、革には防水、防汚、材質強化に加え、素材特性の保温と火属性に対しての耐性があります。紐も火蜥蜴の革紐です。
次は、底板は黒檀、革は翼竜です。付与は同一ですが、素材特性として飛翔と風属性に耐性があります。『飛翔』とは、歩行速度、走る速度の上昇、ジャンプ力の増大の効果があります。個人差はありますが、滞空時間の増加も期待できます。紐も翼竜の革紐です。
最後は、底板は翼竜の革を5枚重ねて魔術で1枚にまとめた物を使っております。革は火蜥蜴です。底板には防水、防滑、防汚、材質強化。革には防水、防汚、材質強化。それに加えて、それぞれの素材特性もあります。あと、蹴りの威力が増大します。これは火と風属性の相乗効果ですね。紐は、火蜥蜴と翼竜のどちらかになります。
右から中銀貨1枚、中銀貨1枚と小銀貨8枚、中銀貨2枚と小銀貨5枚の品物になります」
「たっけぇー」
値段を聞いたアルフが声を上げ、リーフとマリオは固まっていた。
「底板が、翼竜の物を試しに履いても良いですか?」
天馬の言葉を聞いた「大蛇」の面々は、驚いた顔で天馬を見る。マーニーは満面の笑みを浮かべて
「どうぞ。3足すべてを試していただいて構いませんよ」
ブーツに足を入れて紐を締める。少し歩いてみて、翼竜の底板の効果を実感する。一歩当たりのスライドが一足分広がり、歩くピッチも普段より早い。それは天馬の意思とは関係なく、履いている本人だけが分かる感覚だった。また、革の底板のためか、足の動きに自然とソールが付いてくる。エーファの店で買った物はどうしても硬い感触があったが、このブーツにはそれがなく、足裏に床の感触が伝わってくるような感覚もあった。
「これ、買います」
天馬が、購入の意思を示すと、「大蛇」の面々は呆れた顔をし、マーニーは、さらに笑みを深めて、
「紐は火蜥蜴と翼竜の物、2つともお付けします。他に必要な物はございますか?」
「携帯時計を見せて貰えますか?」
天馬の言葉に、マーニーが笑顔で答える。
「構いませんよ。その前に一度、お会計をお願いできますか?」
天馬が購入した物
・魔法の皮袋 (腰袋タイプ) :中銀貨1枚
・魔法の水袋 (竹の水筒) :もらい物
・魔獣のブーツ :中銀貨2枚と小銀貨5枚
割引してもらい、合計で中銀貨3枚を支払った。
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