028 晩御飯と職種(ジョブ)
2025/7/6 改稿
天馬が、階下に降りると、リーフの声がした。
「こっち、こっち」
声のする方を見ると、リーフが立ち上がり、手をぶんぶんと振っていた。天馬はリーフのいるテーブルに向かう。
テーブルにはサラダ、串焼き、から揚げ、ステーキ等々、たくさんの料理が並んでいた。料理を見た天馬は「鑑定」を使いたい衝動に駆られたが、ぐっと我慢する。
魔術の発動に気付ける人がいる世界、安易に魔法を使う事の危険性、天馬は、それを恐れて『鑑定』を使わなかった。
「今日はテンマ君の御祝いだから、楽しんで。お酒はエールとミード、ワインがあるけど、何にする?」
「お酒以外は無いんですか?」
「あるけど? 飲める歳だよね。冒険者に成れたんだから」
リーフによると「冒険者に成れる=(イコール)成人年齢に達している」らしい。理由は「冒険者は、自己責任の稼業」だから。天馬は、それを聞いて「もっともな考えだ」と納得した。
「皆さんが揃ったら、エールを貰いたいと思います」
リーフに答えると、後ろから声が掛かった。
「俺とマリオも、エールな」
「遅いよ、アルフ」
「大蛇」との面々が席に着き、頼んだ飲み物が来ると、アルフの音頭で、
「テンマの新しい門出に、乾杯!」
と一同が声を揃えて、
「乾杯!」
天馬も木製のカップに口をつけ、人生で初めてのアルコールを喉に流す。エールは温かったが、芳醇な香りが口の中に広がる。「冷えていたら、さらに美味しいのだろう」、と天馬は思った。
テーブルの上の料理を各々が口に運ぶ。アルフはステーキに齧り付き、マリオは串焼きを取り、リーフはから揚げを口に頬張った。そんな中で天馬はサラダを口にする。シャキシャキとした歯ごたえが心地良い。続いてから揚げを口にすると、下味が付いているのか、冷めていても美味しかった。その後の天馬は「大蛇」と一緒に食事を楽しんだ。「大蛇」と天馬の胃袋が満ちた時、漫画のように空の皿が山と積まれていた。
食事に満足して、追加の飲み物とつまみを注文する。
「テンマ、ガルフからギルドカードの説明は受けたか」
アルフが尋ねると、天馬は正直に「アルフに教えて貰えと言われました」と答えた。
「かぁ~、やっぱりか。そんな事だと思ったんだ。テンマ、職種は何だった? まあ、あれだけ剣が使えるから、剣士だろ?」
「剣士じゃなくて、魔剣士と書かれてました」
「ホントかよ。ギルドカード、見せてみ。ありゃ、ホントだ」
天馬が出したギルドカードを「大蛇」の面々が順番に回し見る。
「テンマ。魔剣士ってのは、剣士の上級職の一つだ。普通は、Dランク以上で出現する職種で、剣と魔術が使える奴に現れる。って事は、テンマは魔術もそれなりに扱えるって事だな」
「職種は選べないんですか?」
天馬の質問に、「大蛇」の面々が答えてくれる。
『職種ついて』
職種は、「鑑定」の結果と本人の能力値、ランクによって決まる。
職種の種類は、大きく戦闘系、魔術系、特殊系の3つに分かれる。
・戦闘系:剣士、槍士、拳闘士、戦士、騎士、盾士、射手、etc
・魔術系:賢者、魔術師、妖術師、魔道師、学者、治癒師 、etc
・特殊系:盗賊、密偵、暗殺者、調教師、召喚師、錬金術師、付与術師、呪術師、 etc
上級職(確認された者:冒険者ギルドの記録による)
例:剣士⇒剛剣士、魔剣士、撃剣士⇒剣豪、魔導剣士、撃剣家⇒剣匠、剣王、剣聖
:射手⇒猟師、速射手、弓使い⇒狩人、散射手、狙撃手⇒マタギ、レンジャー、弓聖
※魔術系は、魔術師ギルドに倣う。ただし、例外も存在する言われている
※特殊系に上級職は、確認されていない
「ちなみに、俺は剛剣士。リーフは弓使いだ。この上は、ランクを上げないと成れないと言われている。ただ、Aランクになっても、必ず最上位職に成れる訳ではないらしいがな」
「そうなんですね。アルフさんがBランクって聞いていましたけど、リーフさんのランクを聞いても良いですか?」
「かまわないわよ。私はCランク。こいつもね」
天馬の言葉にリーフが答え、マリオを指さす。
「だから、人を指さない。私もCランクです。職種は、魔術師ですね。これ以上の成長は、難しい歳になってしまいました」
マリオが言うには、属性を増やせるのは25歳くらいまでが上限らしい。それ以上の年齢になると属性を増やすことができないそうだ。だから、魔術師ギルドは、才能のある者を探し、積極的にギルドに勧誘しているという。ゴメナの最年少所属者は5歳と言う記録もあるとの事。ちなみに、マリオはアルフと同じ25歳。リーフは22歳だとマリオが教えてくれた。
「へぇー、そうなんですね」
相槌を打った天馬。対面に座ったリーフが
「女性に歳の話しは厳禁よ」
と微笑んだ。思わず作り笑いを返した天馬。
この時、天馬は気付かなかったが、リーフに脛を蹴られたマリオが痛みに耐えて顔を伏せていた。
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