026 天馬君 冒険者に成る
2025/6/29 改稿
ガルフは机の引き出しからカードを取り出した。そのカードを机の上に置き、水晶玉に触ると、部屋の中央の水晶が淡く光る。
「テンマ、水晶に触れ」
と言われ、天馬は淡く光っている水晶に触れた。
「よし、動くなよ」
とガルフから声が掛かった。天馬がガルフの様子を見ていると、マイルがガルフと場所を代わった。マイルが水晶玉に触れて何かブツブツと呟いた。その後、再びガルフに代わる。ガルフが再び水晶玉に触れ、机の上のカードを取った。
「もう、良いぞ」
ガルフにそう言われ、天馬が水晶から手を離した。ガルフが天馬に1枚のカードを差し出した。
「これが、ギルドカードだ。魔力登録してあるから、無くすなよ。再発行には、金がかかるから。裏も見てみろ」
天馬は、出されたギルドカードを見ると
『名前:テンマ 種族:人間 年齢:19歳 性別:男性』
『所属ギルド:冒険者ギルド>職種>冒険者(魔剣士)>冒険者ランク(F)』
『称号:無し』
裏に
『保有スキル:水魔法 生活魔法 アイテムボックス』
と書かれてあった。
部屋を出たガルフはホールへと向かった。天馬もその後に続く。
「ギルドカードについては、アルフに教えて貰え。ランクアップとか細かい事も含めてな。それと、今後の活躍も期待してるぞ」
ホールへと歩きながら、「期待してるぞ」というガルフの言葉を他人事のように聞きながらも、天馬は身分証となるギルドカードを手に入れたことが嬉しかった。
ホールに戻ると、アルフとマリオが異口同音に「登録はうまくいったのか?」と天馬に尋ねた。天馬が「はい」と答えると、アルフは天馬の背中を平手で叩いてき、マリオは握手を求めてきた。そんな中、ガルフが天馬の手を取り掲げて、
「今、ゴメナに新しい冒険者が誕生した。名はテンマ。ランクはF。皆、宜しくしてやってくれ」
「おおー」
ホールは歓声に沸き、天馬に視線が集まる。その大半は好意や興味によるものだったが、一部には嫉妬の視線も混じっていた。
その後、各々が討伐証明を提出し、ギルドから報酬を受け取った。天馬はゴブリン10匹分の銅貨10枚を受けとったが、そのうち1枚をアルフに渡し、
「残りは、大蛇の皆さんで使って下さい」
そう言って、残りの銅貨を「収納」した。
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