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024 異世界で初めて見る町

2025/6/29 改稿

~城塞都市ゴメナ~

バルツァ領において領都バルツに次ぐ大きさを持つ城塞都市。名実ともにバルツァ領の第二都市。王国の東側では王都を除いて五指に入る大きさの街。




 ゴメナの門をくぐった天馬の目に飛び込んできたのは、中世ヨーロッパを思わせる街並みだった。石造りの建物は一軒ごとに壁や屋根の色が異なり、パステル調の色合いと石畳が、夕焼けに染まる空と相まって幻想的な雰囲気を醸し出している。まるでメルヘンの世界に迷い込んだかのような光景に、天馬は小さな感動を覚えた。


 門から伸びる大通りには様々な店が軒を連ね、『宿屋 緑の風亭』、『靴屋 ロンド』、『武具の店 アーツ』といった看板が目に留まる。大通りの奥に一際大きな建物があり、その壁には飾り時計が取り付けてあった。


 「時計もあるんだ」時間の感覚が曖昧な世界ではないことに、天馬は安心して、文字盤を見た。そこには地球と同じ時計が、5時40分を指していた。


 天馬が興味深そうに周囲をキョロキョロと見回していると、乗っていた馬車が右に曲がり、青い壁の御屋敷の裏手に入っていった。


「着きましたよ」


 マリオが御者台から降り、天馬にも降りるよう促す。全員が馬車を降りると、屋敷から着飾った女性が使用人を引き連れて現れた。アルフはマーニーから紙にサインを書いて貰っていた。


「お帰りなさいませ、旦那様」


 ドレスの女性がマーニーを迎える。


「ただいま、アリア。今回は大変だったよ。無事に帰って来れたのは、大蛇(サーペント)とテンマ君のお陰だ。アルフ、テンマ君、ありがとう」


「気にすんなよ、マーニーさん。俺らは仕事をしただけだ」


「僕も馬車に同乗させて頂いたので、特にお礼はいりません」


 マーニーの言葉に、アルフと天馬が答えた。


「今日は遅いですから、明日、改めて店に来てください。何かしらのお礼が出来ると思います。セバス、荷物を下ろしておいてくれ。では、また明日」


 そう言って、マーニーはアリアと屋敷に入って行った。


「じゃあ、俺らも移動するぞ。付いて来い、テンマ」


 屋敷を出るアルフに続き、天馬も外に出る。大通りに戻ったアルフは、飾り時計が掲げられた大きな建物に向かう。見失わないように追いかける天馬。そんな2人を見守るようにリーフとマリオが後に続いた。


 アルフが観音開きの扉を勢いよく押し開けて、


「マスター、居るか?」


 と大声で呼びかけた。その良く通る声に周囲の視線が一斉に集まる。興味、怒気、敵意等々。そんな様々な視線を気にも留めずにアルフは中に入っていく。


 そんなアルフに感心しつつ、天馬は「僕は髪の色は人目を引く。つまり、目立つ、らしい。これから冒険者登録をして、また目立つ事になる」と言い、「それが良くない」とも言っていたのはアルフだったはずだ。その本人が目立ってしまうと、一緒にいる僕も目立ってしまうのではないかと、天馬は戸惑いを覚える。


 そんな天馬の戸惑いが伝わったのか、


「アルフにも困ったもんですね。ここが冒険者ギルドですよ。ここからは私とアルフで大丈夫です。リーフさん、宿の手配をお願いします」


 マリオの言葉を聞いたリーフは、無言で踵を返し無言でギルドを後にする。天馬はマリオに促され、奥のカウンターと向かうアルフを追いかけた。


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― 新着の感想 ―
ストーリーはとても面白いのですが、句読点が多すぎて少し読みにくいです。
日本に育つと、時間前5~10分前にという常識が当たり前ですが、 地球でも地域によっては時間にルーズなのが当たり前な所もあるので、 時計があるから乗合馬車が時間守るとは限らないけど、 無いよりは良いです…
在るに毎回「ア」のルビがふってあるのが気になって仕方ない しかもひらがなじゃなくカタカナなんで余計に 今後の伏線か何かですかね
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