023 髪の色と天馬君の扱い
2025/6/22 改稿
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「ああ、この辺ではな。何処かの国じゃ、俺らの髪の方が珍しいらしい」
そう言って、アルフは赤毛をかき上げた。「ここは異世界」と思っていた天馬は、アルフ達の髪の色を受け入れていた自分に気付く。アルフは赤、リーフは緑、マリオは青。因みに、マーニーさんは白髪だった。
「まあ、珍しいってだけだ。要するに、テンマは目立つんだよ。これからゴメナに入って、マーニーさんを店に送ったら、俺らは冒険者ギルドに向かう。そこで冒険者登録をして、Fランクに上がる。それも俺が単独討伐を証明してだ。目立たない方が無理ってもんだ。そんな奴が魔鉄の剣を下げてたら、悪目立ちすると思うだろ? だから、俺の予備武器を貸してやる。それと、今晩は俺らと一緒に行動しろ。いいな」
とアルフは言葉を続けた。なんのかんのと言っても、天馬の身を案じているらしい。
「ご迷惑でないなら、お願いします」
僅か半日ほどの時間しか共に過ごしていなかったが、天馬はアルフ達「大蛇」を信じられると感じていた。だから、アルフの誘いをありがたく受け入れた。
「で、明日は、一番に服や靴を買いに行く。次に武器屋、防具屋を回る。その後は・・・・・・魔術師ギルドか? マリオ」
「そうですね。本当は、一番に魔術師ギルドとお願いしたいところですが、テンマ君は服装も変わってますからね。それで良いですよ」
明日の予定も決まったらしい。アルフとマリオの会話を聞き、天馬はそう思った。実のところ、アルフの説明で魔鉄の剣の普段使いする危険性を知った天馬は、武器を買おうと考えていた。「大蛇」が付いて来てくれるのは心強い。もっとも、魔術師ギルドについては、「仕方ない」と諦めて、
「よろしくお願いします」
と言った。
そんな話しているうちに、城門が近づいてきた。
門の前は、数台の馬車と人々が列をなしていた。馬車はほぼ素通りだった。「ほぼ」と言うのは、城門で兵士が何か確認して通していためだ。「大蛇」の様な恰好の者、背負子や鞄を担いだ者等、色々な身なりの人たちもまた、ほとんどが素通りしていく。しかし、10人に1人ほどが兵士に止められ、門の脇へと連れて行かれる。暫くすると、兵士と共に戻ってきて門から中へと入っていった。
そんな様子を見ていると、天馬が乗る馬車の番が回ってきた。兵士が3人おり、そのうちの1人が馬車の前に立った。残りの2人が御者台へと近づいくる。
「何処から来た?」
「領都バルツから、商人と共に。商人の護衛を依頼された冒険者です」
兵士の問い掛けに、マリオが何やらカードを出して見せる。奥から顔を出したアルフもカードと羊皮紙を兵士に見せた。馬車の後ろでも同じような声が掛かり、マーニーが応じている。
「そっちの黒髪、お前も身分証を」
「身分証? 持って無いです」
「持ってないだと?」
天馬の答えに、兵士の語気が強まる。すると、アルフが兵士に言った。
「こいつは道中で拾ったテンマだ。身元は、Bランク冒険者、『大蛇』のリーダーの俺が保証する。うちの魔術師も確認済みだ。もし疑うなら、そっちでも見てくれて構わない」
「はい。テンマ君には『嘘看破』で、名前と罪人でない事は確認済みです」
アルフの言葉を受けて、マリオが続けた。
天馬は、いつ『嘘看破』を掛けられたか考え、「マリオと初めて会った時だ」と思い至った。しかし、不快には思えなかった。あの時は、仕方のない事だと天馬自身も納得していた。
兵士は、2人の答えに納得したらしく、
「じゃあ、5人分で銅貨1枚、馬車が中銅貨1枚に、荷が有るから銅貨1枚。合わせて、銅貨2枚と中銅貨1枚。誰が払う? 別々に払うか?」
「俺が払うよ」
アルフが兵士に銅貨を渡す。受け取った兵士が前にいる兵士に合図を送ると、兵士が道を譲った。マリオが馬に鞭を入れると、静かに馬車が動き出した。
天馬は、異世界で初めて目にする街にワクワクしていた。
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