017 御者台にて
2025/6/21 改稿
備忘録の修正はまだ先の予定です。
アルフと並んで座った天馬は、この機会にいくつか質問をしておくことにした。まずは、冒険者とお金の価値について尋ねてみる。
「アルフさん、冒険者って簡単に成れるものですか? 試験とか無いですか?」
「冒険者なるには、冒険者ギルドに登録すれば良い。登録が済めば、その時点から冒険者として扱われる。一応、年齢制限があって、15歳以上の奴しか登録できない。
冒険者には、G~Sのランクが在って、Gランクから始まって、Cランクまでは、討伐や採取、クエストの達成で上がる。Bランク以上に成るには、筆記と実技、面接がある。大半の冒険者がCランクまでで留まっている。
それとは別に、パーティーランクの規定も在って、同じランク冒険者が5人以上のいるパーティーは、1つ上のランクと認定される。Cランクが5人でBランクパーティーと言った具合だ。それと、Dランク以上の冒険者が在籍しているパーティーが一定以上の依頼やクエストの達成、ギルドへの貢献などが認められると、メンバーのランクがパーティーのランクと認められる。それ以外だと、パーティーメンバーの平均がパーティーのランクに成る仕組みだ。因みに、大蛇は、Cランクパーティー、俺はBランク冒険者だ。凄いだろ?」
「凄いですね。良く分からないけど。冒険者ギルドの他にもギルドって在るんですか?」
「在るぞ。ってか、そんな事も知らないで職探しって、お前、変わってんなぁ」
「僕の育った所には、ギルドなんて無かったので。それより、ギルドについて教えてください」
「ギルドか。仕事の数だけ在る。冒険者。魔術師。錬金術師。商人。傭兵。運搬。鍛冶。木工。薬師。変わり種だと、調教師、何て言うのも在ったか。まあ、ギルドが無い仕事は、町や国、貴族に雇われている兵士や召使とかか。
商人ギルドについてはマーニーさんが、魔術師ギルドに関してはマリオが詳しい。興味があったら、後で聞いてみると良いだろう」
「たくさんのギルドが在るんですね。ところで、変な事を聞くんですけど・・・。銅貨1枚で何ができるんですか? あと、これって使えます?」
そう言って、天馬は、『亜空間収納』から銅貨を出して、アルフに見せた。
「使えるぜ。って言うか、これこの国の金じゃねぇか。安宿で素泊まりなら、中銅貨3枚。朝飯付きなら中銅貨5枚。豪華に飲食いして、銅貨1枚。そんなところだ」
「田舎を出る時に、持たされた中に銀貨もあったんですが、銀貨って、銅貨何枚分になるんですか?」
「銀貨だ! 銀貨は、銅貨1,000枚分だ。銀貨1枚で、3年は暮らせるぞ。因みに、鉄貨っていう小銅貨の下の硬貨もあるが、滅多に目にすることはない。それで、銀貨までは10枚単位で上の硬貨と同等の価値になる。
小銅貨10枚が中銅貨1枚、中銅貨10枚が銅貨1枚、銅貨10枚が、小銀貨1枚とそんな感じだ。その上になると、100枚単位になる。銀貨100枚が、金貨1枚。金貨100枚が、白金貨1枚。白金貨100枚で聖金貨1枚だな。
銀貨を持ってるって、他の奴に言わない方がいい。なんだったら、ギルドで両替して貰うか、商人ギルドに登録して預けるかした方が安全だぞ」
「分かりました。当面の間、黙っています」
天馬は、自覚の無いままに大金持ちになっていた。次は魔鉄について聞こうと思い、銅貨を「収納」して、剣を抱え直す。すると、
「お前も気づいたか?また、ゴブが居やがる。みんな、構えろ」
アルフは静かにそう告げると、馬車の速度を落としていった。天馬もアルフの言葉に促され、周囲に目を配る。道の先で、左右の草が不自然に揺れているが天馬の目にも映った。
天馬の所持金
金貨: 1+5= 6枚
銀貨: 66+9= 75枚
銅貨:402+8=410枚




