015 討伐証明と冒険者
2025/6/21 改稿
二人が戻ってくると改めて、アルフが天馬を紹介した。
「急遽、同行してもらう事になったテンマだ。よろしく頼む。テンマには俺と一緒に前を見る。後ろは変わらずに頼む」
「同行させてもらう天馬と言います。よろしくお願いします」
「私はリーフ、射手。さっきの助太刀は助かったわ。おかげで、コレの援護に集中出来たから」
リーフはマリオを指さして、そう言った。言われたマリオは、
「コレって、酷い言われ様ですね。改めて、魔術師のマリオです。先ほどは失礼しました。気にせずに居て貰えると助かります」
「先ほど、何かありましたか?」
マリオの言葉に疑問を返した天馬に、
「気づかなかったなら、それはそれとして、よろしくお願いします、テンマ君。討伐証明はどうしますか?」
「討伐証明?」
「討伐証明って言うのは、そのままの意味だ。ゴブリンなら右耳がそれに当たる。テンマは職探しでゴメナに行くんだろ? 冒険者に成れば、討伐報酬が貰えるぞ。それだけでなく、Fランクから始められるはずだ」
マリオが言った「討伐証明」に首を傾げた天馬。アルフが天馬に説明した。アルフの説明によると、ゴブリン1匹を討伐し、討伐部位を提出すれば銅貨1枚。そして、単独でゴブリンを5匹の討伐する事がFランクの昇格条件らしい。
説明を聞いた天馬は、討伐証明を『亜空間収納』に収納した。それを見たマリオが驚きの声を上げる。
「ええーっ、アイテムボックス持ちですか? テンマ君」
「ええ。容量は少ないですが」
「羨ましいですね。なるほど、荷物が少ないのも納得です。これでアルフの疑念が1つ解消しましたね」
「言うなよ。だって、おかしいだろ! 『魔の樹海』、あの『不帰の草原』の方から出て来る奴なんて。持ってるのは剣1本、見慣れぬ恰好。そんなのを疑うなと言う方がどうかしてる!」
「アルフの判断を責めてませんよ。でも、テンマ君が身軽な恰好の理由が分かりましたね」
天馬は自分が疑われていたことを知った。だが、『魔の樹海』や『不帰の草原』という言葉が何を指すのか分からなかった。分からないことは聞くに限ると、天馬は問いかけた。
「『魔の樹海』や『不帰の草原』って、何ですか?」
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