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魔女との出会い1

小さい頃からゲームが好きだった。


初めて触ったゲームは格闘ゲームで、子供にはまだ早かったがそれでも夢中になった。


そしてどうしても勝てない相手がいた。


それはネットの海に広がる無数の見知らぬ人たちだった。


何度挑んでも返り討ちにあう。


普通なら子供だから仕方ないと諦めるけど俺はそれが楽しかった。


自分の全身全霊をぶつけてもなお、勝てない。


それが悔しくて、悔しくて仕方が無かった。


けど勝てた時は今までの悔しさが喜びに変わった。


それがとても楽しかった。


要は負けず嫌いなだけだったんだけど。


でも勝てる回数は少なかった。


だから相手の動きをみた。


相手の動きを予想した。


相手の動きがどこまで届くのか観察した。


相手にどうやったら攻撃が当たるのか試行した。


それを何千、何万回した。


そして気がつくと、連敗が連勝に変わった。


勝ち続けるのは楽しかった。


何回やっても、全力で挑んで尚且つ勝利する。


楽しかった。


でもそれは最初だけだった。


今度は逆に負けなくなった。


負けてやり返した時のあの達成感、壁を乗り越えた時のあの感覚、全てが無くなった、消えてしまった。


満ち足りなくなった。


相手からはズルやチーターなど言われ、通報される様になった。


でも俺にはゲームしか無かった。


それしか無かった。


夢はもう無い。


だってゲームはもう極めてしまったから、夢は達成してしまったから。


俺にはそれしか無いのにもう最高点まで行ってしまった。


俺には何が残った?


夢はない、未来に何かを見出すこともできない。


だって俺はゲームしかできなかったから。





・・・夢が欲しい。


そうすればまた何か出来る気がするから。


・・・でもそれは今まで手に入らなかった。











アナウンス「勝者が確定しました。勝者ウィル」


観客「「うぉぉおおおおおおおおおお!!」」


観客「レベル1が勝った!?」


観客「チートじゃねえあれ?いやありえないな。」


観客「あんなにイキがってたのに負けやがった!」



ウィル(とりあえず勝てたな。・・・やっぱり満ち足りない。)


テオ「ウィルさーん!!」


テオが小さな体を動かしながら近づいてくる。


それにVサインで返す。


ウィル「やったぜ、テオ」


テオ「凄い、凄いです!ウィルさん正直負けちゃうと思ってましたけど、最後<アルブストライク>で決めたところすっごくかっこよかったです!」


ウィル「あはは、どうも」


エクス「今回もやりやがったなウィル!あんな変態みたいなキャラコンしやがって。何回武器パリィやら回避やら何回成功させるんだよ!」


ウィル「まだ簡単な方だったよ。あと人を変態扱いはやめてくれ」


興奮するエクスを宥めたあと後ろから


ライズ「・・・ぇ」


うん?


ライズ「チーターだろお前!じゃねぇと俺が負けるわけがねぇ!!」


指を俺に指して声を荒げたのはライズだった。


エクス「違ぇよ。このゲームでチートが絶対出来ないて、プレイヤーのほとんどは知ってるぞ」


ウィル「まじで?出来ないの?」


チートをやりたい訳ではないが絶対と言い切ったのが気になった。


エクス「超高性能AI女王については話したろ?女王は3つあってアナザーオンラインにはそのうちの一つがまるまる使われてるんだ。女王・・・ゲームに使われてるのはアルケーで、それが常に監視してるし、検出するとそのアカウントは停止だしで、アルケーを使う事で強力なチート対策をしてるのさ。そもそもバタフライ2自体にも対策が入ってるし、このゲームでチートするなら宝くじを特賞を狙った方がマシなぐらいだよ。」


ウィル「つまり?」


エクス「超ヤベェAIが常に見張ってるからチートは無理だ。まだソシャゲの発出率1%の最高レアを100回連続で当てる方がまだ確率はある。」


ウィル「大体分かった。」


なるほどそれは無理だ。


ウィル「だ、そうだけど何か反論は?」


ライズ「ふざけんじゃねえよ!!ならアレはなんなんだよ!?」


ライズが俺に詰め寄り胸ぐらを掴もうとしたその時だった。


???「なにをしているお前ら!」


凛々しい声が聞こえたと思ったらライズたちと同じ防具を着た集団がこちらに向かっていた。


ライズ「! 団長!?」


エクス「お、龍のご到着か」


ウィル「龍?」


エクス「炎龍騎士団団長、ジークさ。」


その集団の戦闘にいたのはいかにもリーダーといった感じの男だった。


いかにもイケメンで紅く煌めく髪をかき上げるというイケメンにしか許されない行為を平然としている!


間違いなく、陽の者だ!


ジーク「お前たちこの騒ぎはなんだ!何をした!」


ウィル「あれ?てっきり、ぐへへ俺たちの子分を可愛がってくれたなお礼に俺が相手してやるよ。みたいな展開だと思ってたけど?」


エクス「炎龍騎士団にも派閥があるんだよ。ガンガン進んで攻略情報や新スキルの情報を発信してギルドの地位を上げる、そのためならなんでもするセラム派閥、騎士としての誇りを持ち効率的にボス攻略やサブクエストなどの幅広い攻略をするジーク派閥。対立て、訳じゃないけどまあ仲は外から見てもあんまり良くないな。」


ウィル「なるほど、あのライズは横暴なセラム派閥であのいかにも騎士っぽいのがジーク派閥のリーダーて訳ね。

てか詳しいな」


エクス「まあね。アドバイスオンラインからの付き合いだからね」


俺たちがコソコソ話をしているとジークを含む集団が俺たちを囲んでいた。


ジーク「説明してもらえるよな、ライズ」


ライズ「ちが、コイツがチートを使って」


エクス「おーっと!手が滑った!」


エクスがちょちょいとウィンドウを操作すると音声が流れ始めた。


ライズ「あれぇ!逃げるんすか。ダッセ、雑魚だなやっぱり」


ライズ「あれ怒りました?でもその背にあるのがクソ武器なことには変わりないんで、だって全財産はたいて作ったのがクソ武器て!あははは!!笑える!」


ウィル「あっちゃあー」


流石弁護士の息子、証拠を集めることに慣れてやがる。


ていうかいつ録ったんだ?


ライズ「お?いいんすか?俺たち炎龍騎士団すよ?俺たちの仲間が容赦しませんよw」


ライズ「やめろ!」


ウィル「俺が勝ったら装備全部置いてけ、俺が負けたら・・・まあなんでもしてやるよ」


ライズ「聞いたかお前らなんでもしてくれるそうだぞ!」


エクスが音声の再生をやめたあと


エクス「で、ウィルにこっぴどくやられて逆ギレしてるてわけだ。ジーク」


ジーク「エクスか!久しぶりだな、それでこの音声本当か?」


エクス「本当だよ、一番の被害者はそこの小人族のテオだ。」


それを聞いたジークはすぐさま


ジーク「うちのギルドメンバーが大変申し訳ないことをした!誠に申し訳ない!」


頭を深く下げた。


ジーク「お前たちもだ!」


そしてライズたちの頭も一緒に下げさせた。


テオ「わわ、もういいんですよ。ウィルさんが綺麗にやっつけてくれたのでスッキリしましたし、私はなにも気にしてませんから。」


ジーク「ありがとう。君のその寛大な心に感謝しかない」


ジーク「お前らこの件は次の会議でしっかりと議論する。それまで・・・わかるよな」


ライズ「・・・はい」


しょぼくれた犬の様にライズたちはおとなしくなった。


エクス「あ、それと約束は守ってもらわないとな」


エクスがまた音声を流す。


ウィル「俺が勝ったら装備全部置いてけ、俺が負けたら・・・まあなんでもしてやるよ」


エクス「な?口約束とはいえ、ちゃんとした約束だ。炎龍騎士団なら守ってくれるよな?」


うわあ、自分で提案したとはいえ少し可哀想だな。


あの装備、ゲーム開始から一ヶ月しか経ってないから統一防具を作るのにはかなり時間がかっているはずだし、性能もかなりいいはず。


それに一人とは戦力を無くす様なものだからな炎龍騎士団にとっても痛手だろうな・・・


まあでも、テオの一ヶ月の結晶をあんなに馬鹿にしたんだ。


お咎めなしにするにはちょっと罪が重いな。


ジーク「・・・ライズ、渡せ。」


ライズ「団長!?」


ジーク「これはお前の過失だ。自分の罪は自分が償え。しない場合は炎龍騎士団をぬけろ」


ライズ「そ、そんな」


ウィル「ああ、いいよ。そっちも反省してるみたいだし流石にもう懲りただろうし、装備はいらないよ。・・・でも」


ジーク「?」


ウィル「アレは完全に無かったことにはできない。だから貸し1で」


ジーク「・・・ありがとう。それで済ませてくれて、大きな貸しができた。」


ジークは再び頭を下げた。


ジーク「君をスカウトするチャンスを失ったことが残念でならない。」


ウィル「決闘ならいつでも受け付けるよ」


そう言ってジークたち炎龍騎士団とは別れた。




ウィル(初日から大変な目にあった・・・けど決闘は少し楽しかったな。余計に時間食ったし、ポーションとか買って早くレベルあげよう。)


テオ「改めてありがとうございます。ウィルさん、エクスさん」


ぺこりとテオは頭を下げた。


エクス「いいよ、いいよ。俺たちが勝手にしただけだし」


ウィル「まあな。いい武器を作ってくれたお礼てことで」


そう言うとテオは嬉しそうに笑った。


テオ「それでもありがとうございます。・・・それでそのお二人ともフレンド登録しませんか?」


ウィル「いいのか?俺、あんまりこうゆうの慣れてないから迷惑かけるかもしれないけど」


エクス「心配しすぎだ。こうゆうのはいいよ、の二つ返事 で返すもんさ」


エクスにそう言われ、フレンド登録をした。



テオ「ありがとうございます」


エクス「なんかあったらまた呼んでくれよ、ウィルなんかは武器の試し斬りとか評価とかなら出来ると思うし。」


ウィル「まあそれくらいなら」


会話も終わり、回復ポーションを買いに行こうとしたその時だ。


???「あなた、ちょっといいかしら?」


声かけられた。振り向くとそこには白髪のエルフがいた。


ウィル(凄い美人だな・・・このゲームのアバターってここまで出来るのか)


エルフは腰まで伸ばした新雪の様に美しい白髪、

凛々しさの中に少女の面影を残す顔に翡翠の目、

ワンピースの様な服装に背筋をしっかりと伸ばしている姿は一瞬で刻まれた。


ウィル「俺?」


???「そうあなた。あなたの強さを見込んで頼みがある。時間がないから簡潔に言うわね、私と一緒に決闘にでて、戦って欲しいの」


ウィル「え?」


決闘?なんで?正直に言うとこのエルフの子が決闘を自分から進んで挑むとは思えない。


いや、ただの偏見かもしれないが。


???「時間がない、とりあえず来て!」


手首を掴まれ、強引に引っ張らられる


ウィル「ちょ、ちょ待てよ!」


???「ごめんなさい、本当に時間がないの!」


エクス「あ、ちゃんと返してよー!レンタル料500Gねー」


???「分かったわ!」


ウィル「俺はレンタルビデオか!?」


そのまま強引に路地裏に連れ込まれ、路地の迷路を進んでいく。

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