プライドバトル
???「あれぇ?クソ武器売れてんじゃん」
人の神経を逆撫でするような声が出て来た方を見ると防具を統一した6人の集団がいた。
その厳つい集団を見てエクスが思わず呟く。
エクス「炎龍騎士団か・・・また面倒な相手だ」
???「あれ?誰かと思ったらペルセポネの魔法使いじゃーん。あはは!もしかしてあのクソ武器買っちゃた?」
エクス「クソ武器てなんのことだよ。つうか相変わらずだなライズ」
ウィル「知り合い?」
コソッとエクスに聞いた
エクス「炎龍騎士団、俺が所属してるギルドの・・・まあライバルみたいな奴らだ。アイツはその一人だ。」
ライズ「ペルセポネの魔法使いに覚えてもらえるなんて光栄です。まあテメェの名前知らねぇけど。うんん?あれあれお前の背にあるそれクソ武器じゃん!!」
ライズと呼ばれたその男は俺の背にある白亜の剣を指差した。
こうゆう奴は苦手だ。
まあ得意な奴はいないだろうが。
面倒だしさっさと行こう。
ウィル「・・・行こうエクス。これ以上関わり合いたく無い」
無視して去ろうとすると
ライズ「あれぇ!逃げるんすか。ダッセ、雑魚だな」
雑魚。
その一言が俺のゲーマー魂に触れた。
ウィル「は?」
そこまで言うのならコイツは強いんだよな。
ライズ「あれ怒りました?でもその背にあるのがクソ武器なことには変わりないんで、だって全財産はたいて作ったのがクソ武器て!あははは!!笑える!」
ライズも周囲の取り巻きも大声で笑った。
テオの方を見ると俯いて悔しそうに拳を握っていた。
もしかして剣を見ていた時他の武器を薦めたのはコイツらに馬鹿にされたからか?
ライズ「いやぁ、これまでプレイしてこんな駄作見た事ないぜ!前見た時も笑わせてもらったわ」
ライズ「お前も可哀想だよな。きっと騙されたんだろ?
最強の武器ですて!」
確定だな。
ウィル「エクス、通報てどうやるの?」
ライズ「お?いいんすか?俺たち炎龍騎士団すよ?俺たちの仲間が容赦しませんよw」
エクス「ウィルやめとけ。相手にするだけ無駄だ。行くぞ」
エクスは肩を叩いてこの場から去ること促した。
でも怒りは収まらない。
炎龍騎士団がなんなのかは知らんがこの剣と剣を作ったテオを馬鹿にされるのは無性に腹が立つ!
ウィル「・・・だ」
ライズ「あ?なんだって?」
ウィル「決闘だ。クソ野郎、テメェが馬鹿にしたこの剣で負かしてやるよ」
ライズたちは顔を見合わせたあと
ライズ「あはははははは!!!」
ライズ「初期装備の雑魚が俺に勝つ?アホなんじゃねぇのお前」
ウィル「俺が勝ったら装備全部置いてけ、俺が負けたら・・・まあなんでもしてやるよ」
ライズ「聞いたかお前らなんでもしてくれるそうだぞ!」
テオ「やめてくださいウィルさん、僕のためそんなことしなくていいです。」
ウィル「違う君の為じゃ無いよ。ただ俺がそうしたいんだ。」
エクス「心配はしてないが、いけるのか?」
メニューを開き決闘モードを選ぶ
ウィル「楽勝よ、それに試し斬りにはちょうどいい。」
対戦相手を目の前のライズに設定する。
ウィル「ルールは道具なし、闘技場サイズは普通、制限時間は5分でいいな?」
ライズ「なんでもいいよどうせお前雑魚だし」
ウィル「キャンキャン、よく吠えるな。弱い奴ほど吠えるって本当なんだな」
ライズ「テメェ殺す」
ウィル「図星か?」
アナウンス「決闘が成立しました。専用フィールドを展開します。」
そして露店の前から俺とライズの中心からフィールドが広がる。
展開されたフィールドは半径50mでその範囲内にいた通行人やテオなどはいなくなり、露店なども消えていた。
決闘が成立すると設定したサイズの簡易フィールドが展開され建物やオブジェクトなどは一時的に消えるが俺たちにしか影響しない。エクスなどからは通行人や露店などは普通に見てえいるだろう。
フィールドの展開が終わるとお互いの名前とレベルが表示される
レベル1ウィルVSレベル23ライズ
ライズ「レベル1の雑魚じゃねぇか!」
ウィル「テメェはそのレベル1に負けるんだよ」
テオ「レベル23!?」
エクス「あれでも攻略組の最前線にいるギルドの一人だからな。武器も防具も一級品だろうな」
テオ「どうするんですか・・・あ!もしかしてお互いのステータスが釣り合う様に調整されるとか?」
エクス「いや、これは試合じゃなくて決闘だからな。
そんなものはない。」
テオ「そんな・・・負けちゃいますよ!」
エクス「いいから見とけよ。アイツはゲームだけは得意だからな」
アナウンス「カウントダウンスタート。10、9」
さて状況を確認しよう。
まず俺の使える戦闘スキルは
大剣スキルがレベル1で取得する、<スカルクラッシャー>
<ラウンドエッジ>
盾スキルがレベル1で取得する、<シールドバッシュ>
<カウンター>の四つ。挑発もあるが今は使わない。
行動スキルは回避スキルだけ
職業スキルは無し。
装備は初期装備の盾と防具。
武器は白亜の大剣。
対する相手は武器は大剣一本。
防具も、明らかに格上だろうな。
スキルレベルも相手の方が上だし、ステータスも上。
これでダメージ入らなかったら逃げに徹するか。
勝率はあるが油断すると一気に負ける。
良いのを貰わない様にしないと。
大剣を右手に持ち肩に乗せ、左手で金属製のヒーターシールドを前に構えるディスプレイで何回も見てきたものを真似して構える。
アナウンス「3、2、1、スタート!」
ライズ「おら!さっさとくたばれ!」
ライズが大剣を抜き一気に距離を詰めてくる
ウィル(まずは様子見だな)
距離は近くなり、ライズが大剣を振りかぶる
それに合わせて盾を構える
ガンッ!と金属同士がぶつかり響き渡る
ウィルのHPはほんの少し削れた。
ウィル(相手の攻撃力とこっちの防御力に差があるせいか盾でガードしてもやっぱり結構入るな。相手に長期戦をする理由はないし、こっちも早く癖を読まないと)
最初の攻撃をガードしたもののライズの猛攻は止まらない。
ライズ「おらおら!さっきまでの威勢はどうした!」
俺はそれを見切り盾で受け流したりガードするので手一杯だった。
テオ「あのままじゃあ、ウィルさん押し切られちゃいますよ!」
エクス「今は防戦一方て感じだな、まあいつも通りか」
テオ「え?いつも通りって?」
エクス「今アイツは相手の癖を読んでるんだよ。ウィル曰く癖を読むことで相手がどう動くのか、どの攻撃に自信を持っているか、隙はどこか、などいろんなことが分かるそうだ。防戦一方に見えるがあのガードを崩せないと後々こっちが不利になっていくのさ。手一杯に見えるのは観察もしているからだろうな」
テオ「じゃあ今ウィルさんは・・・」
エクス「アイツの計画通りの展開て訳だな。」
ライズ「くそ、いい加減落ちろ!」
ライズが大剣を腰の位置で構えるとオレンジ色のエフェクトが大剣に纏った。
ライズ「くらえ!」
ライズが踏み込んだあとぐるん!と回転斬りを放った。
大剣のスキル<ラウンドエッジ>だ。
ウィル「!」
それに素早く反応して脳に命令を送ると脳波がスキャンされ発動したいスキルを出すと一瞬だけ体が青色のエフェクトに包まれる。
そのスキルを発動した瞬間に大剣が俺の体を両断しようとした・・・が
その斬撃からはダメージを受けなかった。
ライズ「チッ!<回避>スキルか!」
回避スキルは字面だけを見れば攻撃を自動で避けてくれるスキル様に思えるが、実際は無敵時間を発生させるスキルである。スキルを発動させると青いエフェクトに一瞬包まれる、この間に攻撃を受けるとその攻撃が通過する、または終わるまで無敵なるというスキルだ。
エフェクトの時間はスキルレベルで変わるがレベル1だと
ほんの一瞬である。
CTは20秒と気軽には使えないがこの回避スキル攻撃を受ける瞬間、いわゆるジャストタイミングで発動すればCTは短縮され10秒になる。
受付時間は一瞬だが、それだけリターンは大きい。
そして<ラウンドエッジ>は発動したら1秒程度の硬直時間がある。
それを待ってた!
ウィル「お返しだ!」
瞬時に盾を背中に直し、大剣を両手持ちにする。
肩にかけていた大剣を頭の上に持ってくるとスキルを発動した。
紫のエフェクトと共に斬りかかった。
ウィル「<スカルクラッシャー>!」
スキル<スカルクラッシャー>は力一杯に大剣を振り下ろしモンスターや人には必ずある弱点に当てるとダメージが上がり、相手を1秒スタン状態にできるスキルだ。
CTはスキルレベル1で20秒と大剣のスキルにしては短く大剣使いのメインスキルとなる。
攻撃倍率も高くスタンも付与できるが、攻撃が分かりやすく縦攻撃なので回避もされやすいのが唯一の弱点だろう。
人の弱点である頭目掛けて振り下ろす。
ズガガッ!と弱点に命中して時の効果音が鳴りそのまま体を切り抜けた。
ライズ「クッ!まぐれ野郎が!」
ライズはスタン状態になる。
スタンの状態異常は行動が出来なくなる状態異常だ。
スキルを発動させることも、手を動かすことも、
逃げることもできない!
このスタンの1秒で次のスキルに繋ぐ
ウィル「<ラウンドエッジ>!」
体を切り裂いたあとそのまま体をぐるり、剣と共に回り始めた後オレンジのエフェクトが剣に満ちる。
狙いは弱点の頭一択!
再びズガガッ!と気持ち良い音が響く。
<ラウンドエッジ>は回転切りを放つ範囲技で発生は速いが放った後の隙が1秒程度あるのが弱点だ。
<スカルクラッシャー>ほどの威力はないがCTはスキルレベル1で15秒と回転率も高い。
放った<ラウンドエッジ>は確かにライズの頭を確実に捉えたが、
ライズ「へ、やっぱり雑魚だな」
<スカルクラッシャー>、<ラウンドエッジ>を弱点に命中させたがライズのHPは2割しか減っていなかった。
ウィル「・・・これは」
テオ「スキルを弱点に的確に命中させたのに少ししか削れないなんて!」
エクス「流石前線組の防具、スペック高いな」
テオ「どうするんですか?あのままじゃあ・・・」
エクス「信じろ、ウィルは負けない。」
エクスは自信満々にそう言った。
ウィル(さて、どうすか・・・)
奴の防具は俺と同じ重防具だ、物理防御は高いとは思っていたが、これほどとはな・・・なら作戦変更だ。
アイツの癖をはもう分かった、ここからは攻める。
???「相変わらず変態ね」
明「それだけだと俺が度し難い変態みたいだから、ゲームセンスがとか、キャラコンが、とかつけてくれ。」
???「はいはい、しかしこうして見るとあなた自身は人付き合い苦手なのにどんどんあなたの元に人が集まってるわね」
明「謎なんだよなー。と言う事でスキル紹介のコーナー!」
???「また急に始まった。」
明「今回は<回避>スキルだ!」
???「作中にも説明はあったけど回避動作無しで攻撃を無効ができるは強いわね。」
明「お気に入りのスキルだしこれには何回も助けられた。」
???「あなたの軸となるスキルよね、本来なら軽戦士などの防御力の低い前衛職が持つスキルなんだけど変態が使うこの通り」
明「変態はやめてくれ」