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俺たちの目的

ウィル「お、早いな」


リリア「当たり前よ。」


約束の10分前に来たが噴水広場に既にリリアはいた。


リリア「まず昨日はありがとう、助かったわ。」


ウィル「いいよ、別に。俺のやりたい事をやっただけだから。まぁでも今は聞きたい事がありすぎてそっちの方を聞きたい」


リリア「そうね、場所を移しましょう。店の予約はとってあるわ」


そう言ってリリアは歩き出す。


ついた先は英語で書かれていたので分からん。


ウィル「せ、せふた?」


リリア「・・・セプテットよ。」


ウィル「へー」


リリア(大丈夫かしら・・・この人)


ウィル「顔に出てるぞ。普通はセプテットなんて読めないの。日常で使う英語じゃないだろ?」


リリア「いや、読める方でしょ」


リリアはため息こそ吐かなかったが呆れていた。


店は喫茶店だが内装はファンタジー世界になっていた。


店員に名前を伝えると2階に通されるとそこは個室だった。


店員「注文はそちらのタッチパネルから行えます。それでは失礼します」


ドアを店員が閉じるとリリアと二人きりになる


椅子に座りテーブルのタッチパネルをリリアが取り


リリア「急な決闘に対応してくれたお礼と言う事で奢るわ。

好きなの頼んでいいわ」


渡して来た。


ウィル「お、マジか」


このゲームの食事は完全に再現されてると言ってもよく

現実とそう変わらない。


これは女王AIアルケーのおかげと言われていて膨大な情報で再現している。


俺はコーヒーとチーズケーキ、リリアは紅茶と苺のショートケーキを注文する。


ウィル「さて、色々聞かせて貰えるんだよな?」


リリア「ええ、何でも聞いていいわ。けど答えられないものもあるからそこはごめんなさい」


ウィル「じゃあまず昨日の決闘は何だったんだ?リリアはグループだの傘下だの言ってたけど」


リリア「その前に懐誠グループについて知ってる?」


ウィル「それぐらい俺でも知ってる。あれだろデッカいグループで日本で一番大きいグループ」


確かこのゲームを開発したアムネジアもこのグループの傘下だったはず。


リリア「そのふわっふわっした情報でよく知ってるなんて言えたわね。まあ間違ってはないわ。私が参加しているのはその懐誠グループのレクリエーションなの」


ウィル「レクリエーション?」


剣と魔法での決闘がレクリエーション?


リリア「まあそんな反応になるわよね。けど事実なの。」


ウィル「穏やかで楽しいレクリエーションでは無さそうだ」


リリア「そうねこのレクリエーション・・・頂点戦争はグループ傘下の選ばれた会社員の子供が競い合ってトップを決めるものよ」


ウィル「頂点戦争って・・・」


もうちょいいい名前なかったのか?


リリア「私が命名したわけじゃないわ。会長直々の命名よ」


ウィル「つまりグループ内で争って格付けするみたいな事?」


懐誠グループが主催ということは多くの参加者がいる事だろう。


その中で競争して誰が一番になるのか、みたいな話か?


リリア「そうとも言えるわ、けど話はそう単純じゃない。」


頭を回し理由を考える


ウィル「・・・トップになった時の景品がとっても豪華とか?」


リリア「豪華なんてもんじゃないわ。そんな言葉で収まることじゃない」


ウィル「どんな報酬だよ・・・」


リリア「懐誠グループの会長になれる」


ウィル「え?」


リリア「それが景品よ。」


ウィル「・・・あの、いまいち想像がつかないんだけど」


一般人にグループの会長になれると言われても出てくるのは


美人な秘書に豪華な飯食ってるイメージしか浮かばない


リリア「そうね・・・分かるように例えるなら何でもできる様になるわ」


ウィル「な、なんでも?」


リリア「ええ、ビルも人も宝石も土地もなんでも出来る絶対的な権力が得られるわ。私はそれが欲しい」


ウィル「欲しいって・・・そんな権力があるのか?それにそんな事をして反対の意見は無かったのか?」


リリア「懐誠グループは会長の懐誠直人から始まったわ。会長は投資家で傘下のグループのほとんどは会長から投資を受けて成長してきた企業よ。このゲームを作ったアムネジアもその一つよ。」


ウィル「投資してくれた恩人だから逆らえないって事?」


リリア「そういう威圧じゃなくて契約だったのよ。投資する代わりに会長の指示に従う事ていう契約で今回それが使われたの。」


ウィル「なるほどだから反対の意見が出なかったのか。」


リリア「心の内はどうかは分からないけどね。」


ウィル「てか、頂点戦争は会長が提案したのか?」


リリア「当たり前よ。というか会長本人しかこんなの提案できないわ」


ウィル「はあ?絶対的な権力を自分で手放すのか?」


リリア「会長もそろそろ歳でね。交代するのよ、そして開催されたのがこの頂点戦争。」


ウィル「なんでわざわざそんな面倒いことするんだ?」


リリア「考えてもみなさい。そんな立場が手に入るなら野心を持つものなら何が何でも手に入れたいでしょ?・・・たとえ殺してでも」


ウィル「!」




リリアの表情が硬くなる。


その顔から読み取れるものは少ないが彼女はその争いの被害者なのだと察してしまった。


リリア「てな訳で色々過激になりそうだから会長が提案した頂点戦争で白黒はっきりしょうと言うわけよ。会長が言うにはゲームという新しい環境で課題を最後までこなせるものが一番相応しいとのことよ」


アナザーオンラインはもう一つの世界とも言っていい。


その世界でグループ内で一番を取れるなら誰も文句はないだろと言うことか。


ウィル「なるほど、それじゃあ昨日戦ったのは?」


リリア「私の知り合いよ。仕方なかったわ」


グループ内で交流もあるだろうし戦う相手は顔見知りが多いのか


ウィル「ん?これってグループ内の戦いなんだよな」


リリア「そうよ」


ウィル「俺参加して良かったの?」


別に俺の両親も懐誠グループの社員とかじゃあなかった筈。


リリア「大丈夫よ、ルールに違反はしていてないわ。けど不利である事には変わりないわね。頂点戦争は二人一組で参加するんだけど組むパートナーは利益を重視する事が多かったわ。」


リリア「大手の会社と組めばサポートも手厚いし付いてくるひとだっているでしょね、勝利に近づけるし、組む相手によって命運を左右すると言ってもいい」


ウィル「そんな大事な選択を俺で済ませたのか・・・もしかしてリリアって」


人望ない・・・


リリア「それ以上何か言ったらブツわよ」


ウィル「ダマリマス」


いや、ゲーマーとしての腕を信用してくれるのは嬉しいしゲームなら負けない自信はあるが流石に100人と戦えとか言われたら負けるよ俺。


リリア「単に私の会社が小さくて誰も組みたがらないかったよの。私と組むぐらいなら他の人と組んだ方がマシだから」


ウィル「それって一番下って事?」


リリア「人が濁した事をはっきりと言うわね!そうよ!会社としては下よ!下!」


ウィル「悪いつい本音が・・・」


やっぱりこうゆう話し合いは苦手だ。


すぐに本音が出てしまう


リリア「全く!それで他に聞きたい事は?」


もちろんある。


ウィル「聞きたいことっていうかたとえ会長の座についても恩があるのは懐誠直人本人だろ?その座についたって誰も従わないんじゃあ?」


リリア「それも契約で会長の座に着いたものに従う契約になっているわ。他には?」


そこは抜かりなしか。


次は黒服達と封筒についてだ。


ウィル「俺の安全性についてだ。そんな決闘に巻き込まれて俺は安全なのか?」


リリア「もちろんよ。この頂点戦争を管理してる決闘管理員てのがいるの。あなたも見たでしょ?あの仮面の黒服よ」


アイツらか。


ウィル「監視員の間違いじゃないのか?決闘終わってすぐに俺の家を特定できるとかヤバいだろそいつら。」


リリア「言ってなかったわね、ごめんなさい。それと監視員てのはあってるわ。決闘管理員は頂点戦争で不正がないか監視してるもの。」


ウィル「て事はリリアも?」


リリア「もちろんよ。どんなに会社が大きくても監視員の目を逃れる事は出来ないわ。管理員達はあなたの生活に影響を及ぼす事は無いと言っていいわ。」



ウィル「ふーん。そいつらが封筒を渡して来たんだが知ってるか?」


リリア「いえ、それは知らないわ。何が入ってたの?」


嘘だ。リリアの顔見たら目の奥に一瞬だけ迷いが生じた。


俺の行動予知は相手の感情や目や癖、今までに溜め込んだ知識から行動を予測するためその観察眼を生かせば相手が嘘をついているかどうかなどが分かるのだ。


おそらく封筒の中身もそれを管理員が渡した事も知っているんだろう。


ウィル「家も名前も特定してるしリリアのパートナーになったからには逃げんなよ的な手紙。てか何で特定されてんだよ」


リリア「懐誠グループにはこのゲームを販売してるアムネジアもいるからそこからじゃあないかしら」


ウィル「それいいのか?個人情報流出だろ」


リリア「頂点戦争のルールに違反してないからセーフよ。禁止されてるのは殺人や脅しだから、それに管理員が何をしているか私たちも知らされてないの。」


ウィル「・・・それ以外勝つ為ならそれ以外何でもしていいって事かよ」


リリア「そうよ。それがこの頂点戦争よ。それで改めて聞くわ私と一緒に戦ってくれる?」


リリアがこちらに手を伸ばす。


ウィル「俺の家族には危害は無いんだよな」


リリア「もちろんよ。管理員達の目はどこにでもあるから危害は加えられないはずよ」


ウィル「リリアは会長になりたいって言ってたけど何のために?」


リリア「復讐よ。奪われたものを奪い返しに、私が味わったものを奴らに味合わせるたげよ」


ウィル「親はそれを分かってるのか?」


リリア「もういないわ。」


ウィル「なるほど敵討ちか」


リリアはまだ何かを隠している。


それが何なのかはまだ分からないが決意を決めた目と復讐と言う名の夢は本物だ。


彼女一人ではこの頂点戦争ではとても太刀打ち出来ないだろう、けど俺がいるなら彼女は上に行ける。


俺はそれがしたい。


得意なゲームで人の役に立てるのなら最高だ。


ウィル「一緒にやろうリリア。俺のゲーマー魂に賭けて君を一番下から一番上まで押し上げてやるよ」


俺はその手を取った。


リリア「ありがとうウィル。さて言質とったわ」


ウィル「ん?」


リリア「あなたにはこれから馬車馬の様に働いてもらうわ」


ウィル「ん?」


リリア「私の前で迂闊な発言をしたのが命取りよ。」


ウィル「あれもしかして選択ミスった?」


そのタイミングで店員さんがケーキと飲み物を持ってくる。



リリア「さあまずは食べましょ」


ウィル「お、おう」


アルケーによって味は完璧に再現されているはずだが


選択を誤ったかもしれないと言う後悔であまり味はしなかった。


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