新しい防具と少女の決意
私の目の前には両親がいた。
寡黙だが心優しい父と私の事をいつも見てくれて褒めてくれる母。
私はそんな二人が大好きだった。
お父様「ほら、聖羅おいで」
私はお父様に駆け寄り抱きついた。
反対からはお母様が抱きしめてくれた。
この時間が好きだった。
とっても、とっても大好きだった。
パチッと何かを感じた。
火だ。
何かが燃えている
お父様「アツイ・・・アツイ!!!」
お母様「アァァァアアア!!!!」
大好きな両親が苦しみながら燃えている。
私の事を抱きしめながら。
顔も燃えて再び私の目を見たのは
あの、あの時のアイツの顔だった。
「もう俺のものだ。会社もお前も」
聖羅「ッ!」
最悪の目覚めだった。
聖羅「はぁ・・・・・・」
ため息を一つ吐いた。
悪夢を見るのには慣れたが毎回寝起きが最悪なのは勘弁して欲しい。
カーテンからは日がでており時計を見ると朝の8時だった。
聖羅「寝過ぎた・・・」
昨日決闘に勝利できたおかげで計画が大きく変わった。
そのせいで計画を再び練る為につい夜更かしをしてしまった。
悪夢を振り払う為に洗面台に向かう。
あの騎士・・・ウィルには感謝しかない。
しかし彼に全てを話す訳にはいかない。
私の計画の為に、私の復讐の為に彼を利用させてもらう。
顔を洗った後部屋に戻り写真立てを取る
そこにはまだ中学生の入学式の時に撮った家族写真があった。
聖羅「必ず仇を討つわ、その為ならなんだってやってみせる。だから見ててね。」
写真立てを置き机に向かう。
まだウィルと会うまで時間はあるもっと先の計画まで練っておかないと・・・
ウィル「ごっめーん!テオー待ったー?」
テオ「ウィルさん!お待ちしてました」
現在午前8時だがアナザーオンラインは相変わらず賑わっている。
その中にはこのゲームでの初めての友達テオもいた。
あの攻略班の二人に追いかけられてうやむやになったが
短剣の注文はしていたので完成してるのか確認したらもう完成しているとメッセージ機能で返信が来た。
のでウッキウッキで取りに来たと言う訳だ。
ウィル「んで!スキルはどうなった」
テオ「はい、こちらをどうぞ!」
テオの小さな両手に乗せらていたのは鞘におさまった短剣だった。
ウィル「おお!」
早速手に取りステータスを確認する。
森の牙
カテゴリ 短剣 STR+1 VIT+1
パッシブスキル 森の加護 風魔法耐性を上げる
アクティブスキル 牙の一撃
短剣を素早く突き出し攻撃する。相手の防御力を一時的に下げる
ウィル「気に入った!特にデバフかけれるところが!」
テオ「良かったです!それとアレも準備出来てますよ」
ウィル「マジか!」
ログインした時に連絡を入れていた。
アレとは昨日の攻略班との騒ぎで姿が割れているので新しい防具を借りる事になっていた。
用意されたのは初心者用の防具とは違いしっかりとした鎧だった。
まさしく騎士といった鎧で右の肩に青い小さなマントがついている。
ウィル「ありがとうテオ!悪いな商品借りちゃって」
テオ「いえいえ、ウィルさんの為ですから!」
ゲームに入った時に白亜の大剣はインベントリの中に入れてある。
早速メニューを開き装備画面を開き装備する
名前は表示されるがそのままよりはましだろう。
ウィル「おお、いい感じだな」
初期装備よりも少し性能がいいくらいだがそれでもとても嬉しい。
これと白亜の大剣をインベントリに仕舞えば名前を聞かれないかぎりは誤魔化せるだろう。
まだリリアと約束した時間まで余裕はある。
サブクエストだもこなしてくるか。