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彼方明はゲームに依存してる

質問だ。


君は全てを食べ尽くした美食家はどうすると思う?

全ての山を登った登山家はどうする?

この世の全てを見つけ出した探検家は何をする?

絶対的な強さになってしまった格闘家は何と戦う?


答えはいろいろあるだろうだが最終的には

美食家は今まで食べたきたものをもう一度食べるだろし

登山家はまた自分の気に入った山に登るだろう

探検家はもう一度洞窟の中に潜るだろうし、

格闘家は王者として挑戦者を待ち続けるだろう。


何かを極めてた者はそれに縛られるものだ。


彼方明も同じだった。


ゲームにおいて彼は敵なしで


無敵で最強で絶対だった。



たがそれしか持っていなかった。



そして今、唯一持っていたもの、ゲーマー魂が宿る右腕に

ヒビが入っていた。









医者「骨にヒビが入ってますね。全治三ヶ月ぐらいでしょうか」


明「え?」



診察室からは消毒液の匂いやレントゲン写真を写している

ディスプレイなどがあり、その部屋に俺とその母はいた。


母「手術は必要無いんですね。良かった」


医者「ええ、このまま固定してくっつくのを待ちましょか。通院は必要ですが手術は特に必要ありませんね」


明「・・・固定するてことは右手は動かせないと言うことでしょうか」


恐る恐る聞いた、右手が動かないということは俺にとって死活問題なのだ。


医者「そうですね動かさないでください。まあガッチリと固定するので動かせませんが」


明「・・・そんな・・・嘘だ。」


絶望した。

この世の終わりのような顔をし全身から負のオーラが出るほどだった。


医者「ええと何か不都合が?」


その様子を見てから医者が心配そうに言ったが


母「いえ、この子ゲームが大好きなんですよ。なのでコントローラーが握れなくなるでゲームができないことに嘆いているだと思います。気にしないでください」


母はキッパリと言った。


母「それにただ朝のランニングで転んだだけで右腕の骨にヒビが入るなんて体がしっかりしていない証拠ですから。不摂生な生活を送っている罰ですよ」


明「うぐっ!」


エグい角度で言葉のナイフが突き刺さった。

もうやめてください・・・


日課である朝のランニングをしていたら何もないところでこけて右腕の橈骨にヒビがはいってしまった。


お医者さんも苦笑いにしかしていなかった


医者「あはは、でもVRゲームならいいですよベット上で寝てるだけですしそれなら構いませんよ。」


明「・・・持ってないんですよねVR。」

 

医者「珍しいですね、今時もってないなんて。」


母「買わないわよ」


母が素早く牽制するが


明「いいよVRゲーには興味ないし。」


俺に意味はなかった。しかしこれからどうするか・・・







3月19日午前



ギプスでの固定してもらったあと学校に登校したが遅れて2時限目が終わったところだった。


陽助「よ、重役出勤だな」


明「したくてしたわけじゃない」


からかう様に言って来たのは唯一の親友、鈴原法助だ。


人当たりがよく、優等生でノリも良く、コミュ力もあるそして爽やか風のイケメンである。


かけている黒縁眼鏡が大人しさを醸し出している。


陽助「聞いたぜ、ランニングしててこけて折ったんだって?」


ニヤニヤしながら聞いてくる法助の前の席に座るとそれに返す


明「折ってない。ヒビが入っただけだ。てかなんで知ってるだ?」


腕を怪我したのはギプスと三角巾で分かるがこけてヒビがはいったてのは俺と母と医者しか知らないはず・・・


陽介「ほぼ一緒だろ。授業が終わった時に祥子さんから電話で聞いたんだよ、こけて折ったから申し訳ないけどいろいろ助けてあげててね。」


あの母親・・・!


こけて折ったなんて言わなくていいじゃないか!

そのままサポートしてあげてでいいじゃん!


まあ俺が人付き合い苦手なのを察してだろうな・・・


実際助かるけどさ・・・


明「てか折ってない!ヒビが入っただけだ」


陽助「はいはい。んでゲームはできそうか?」


明「いや、出来そうにない。医者にもあんまり動かすなて言われたし、そもそも動かせん」


陽助「あらら、大丈夫か?生きていけるか?」


明「俺をどんな奴だと思ってんの?」


陽助「俺と同じゲーマーで中毒者」


明「正解」


いつものやりとりをした後チャイムが鳴った。




法助「んで、どうすんだ?ゲームできないんじゃフラストレーション溜まりっぱなしだろ?」


昼休みになると後ろを向き法助と一緒に飯を食べていた。

いつもは弁当だが片手で食べるのでパンにした。


明「VRゲームならいいらしいけど興味ねぇしな。」


陽助「はぁ・・・今時アキぐらいだよ。VRゲームしないでディスプレイでだけでゲームしてるの」


ゲームの中に入れる電脳世界技術が確立されるとVRゲームは一気に市場を占拠した。


一方ディスプレイ型のゲームは廃退の一途を辿った。


しかしVRゲームにはとある欠点があった。


明「VRゲームてほぼ他人の関わるじゃん。リアルでも話すの苦手なのにゲームでも話せなんてなんの罰ゲームだよ。」


そう発売されたVRゲームのほとんどが他人とのコミュニケーションが必要不可欠なのだ。


MMOだったりシューティングだったり電脳世界の技術を活かすべくなるべく他人と関わらせるゲームになっており

それはゲーマーからも好評でディスプレイ型では味わえない連携や触れ合いなどが新鮮で高評価を得ていた。


まだVRゲームをしない理由はあるが主な理由はこれだ。


陽助「食わず嫌いなだけだろ。でもゲームするならVRゲームしかないんだろ。」


明「・・・まあそうなんだけどさ。けど高いだろ周辺機器揃えるの」


陽助「だいたい8万ぐらいだな」


明「・・・無理だ。」


とても高校生がポン、と出せる額ではない。


母もダメだと言ったし・・・本当にゲームが出来ないのだろうか。









学校が終わったあとどうにかゲームが出来ないかを試行錯誤していたが


明「うーんやっぱりダメか」


足で操作したり片手で操作してたが今までの動きが出来なかった。


時計を見ると現在午後の10時でカーテンの奥には夜が満ちていた。



明「もうそんな時間か・・・一旦休憩するか」


目に疲れを覚え椅子から立ち部屋を出ようとした時に鏡を見た。


背は普通で部屋にこもっているため華奢な体

、目にかかる黒髪と疲れた目をしている。


明「髪だいぶ伸びたな・・・いや明日で春休みだし

切りに行かなくていいや」


そう言って部屋をでてコーヒーをとって来ようと部屋を

降りると母さんがいたどうやらもう寝るらしい。


母「明、母さんもう寝るから電気消しておいてね」


明「ん、了解」


母「あとあんまり右手動かしてちゃダメよ。無理にゲームをするのはやめときなさい。治るのに時間がかかるわよ」


明「分かったよ。もうコーヒー飲んで少ししたら寝るから」


母「おやすみ明」


明「うんおやすみ母さん」


母さんと別れリビングにいき電気をつけキッチンに向かう


明「インスタントでいいか、そんなに飲まないし」


愛用のマグカップに粉を入れお湯を入れ

慣れない左手でスプーンでかき回したあとテレビをつける。

丁度CMみたいで明るいBGMと共に商品が紹介される




もう一つの世界がここにある! アナザー・オンライン

アーウェルサに住む人々はフォローAIにより

人間に近い対応が可能。剣と魔法の世界で

君の世界を作ろう!


アナザーオンライン好評発売中!!


アナザーオンライン・・・確かVRMMORPGだっけ。

興味のないジャンルだったからあまり調べていなかったけどかなり人気みたいだ。

確かゲーム会社アムネジアが作ったんだっけ・・・


確か五年前にもVR MMOが流行ったけな。

アムネジアが作ったゲームハードバタフライを使った

ゲーム、アドバンスオンラインだったか。

当時の技術じゃ完成度はイマイチだったそうだが、それでも最先端の技術が使われたゲームということで

多くのプレーヤーが集まったそうで

その経験を活かして作られたのがこのアナザーオンラインらしい。


・・・まあ全部親友の法助の受け売りだが


そのアドバンスオンラインは中学生以上じゃないと遊べなかったらしく悔しがっていたな。


コーヒーをぐびっと飲み干して一息つく、

するといきなりポケットに入れていたスマホが鳴った。

取り出し画面を見ると彼方和也と表示されていた。


明「兄さん?どうしたんだ急に」


彼方和也・・・俺と妹である風香の兄で歳は25で俺と9歳違う。俺と同じゲーマーであり大学を卒業した後すぐにどこかのゲーム会社就職して家を出たはずだが

どうして今?


明「もしもし兄さん?」


和也「やあ我が弟よ久しぶり元気だった?」


明「元気だけど要件は?」


和也「相変わらずせっかちだなー」


はは、と、笑ったあと気を取り直して


和也「まあいい結論から言おうアナザーオンラインをプレイしてほしい。」


そう言った。


明「・・・は?」


何を言ってるんだ?この兄は・・・

いや兄は天才肌なところもあったのか突拍子もないこと

することが多かった。

それに兄とは歳が離れているせいか余り知らない。

俺が小学生になった時には高校生であったが寮生活をしていたためその時から家にいなかった。


大学ではアパートを借りていたし正月やお盆に帰ってくる程度だった。


小さい頃は一緒にゲームをしていたが今は具体的に何をしているかも知らない。


そんな兄だが流石に急すぎる。


和也「いや〜実は俺今アムネジアに雇って貰ってるんだがそこで新しいプロジェクトが開始されてな、実力が認められてか俺もそのプロジェクトに参加することになったんだよ。まあなんのプロジェクトかは言えないんどけどな。

んでそのプロジェクト遂行のために明お前にアナザーオンラインをプレイして欲しいんだ。」


明「・・・つまり理由は聞かずにとにかくアナザーオンラインをプレイして欲しいてこと?」


和也「ま、そうゆう事だな。明日アナザーのソフトと

対応ハードのバタフライ2が朝届くようになってるから

それでプレイしてくれネット利用料金とかはこっちで持つからさ」



明「明日!?まてまて、そんな理由で納得できると思うのか?疑問だらけだし急に言われてな。」



和也「最もだ。だが明だけじゃない選ばれた人たちにこうやって声をかけてるんだ。プレイしてほしいてね。」


明「・・・拒否権は?」


和也「あるよ。でも一度だけプレイしてみて欲しい。

明も気にいるはずさ。あの世界を。それに対人戦もあるぞ」


明「対人戦?」


和也「ああ決闘を申し込めば誰とでも。

してみたくないか?こことは違う世界で

自分で剣を操り相手を薙ぎ倒していく、ディスプレイを

見てコントローラーを握ってプレイするんじゃない

自分自身が戦うんだ。」


明「・・・」


確かにそれは・・・魅力的だが・・・



和也「興味もった?それに母さんから聞いたよ骨にヒビが入ってコントローラー握れないんでしょ?これを機にどうかな、まあ動画サイトにあるPVでも見て決めればいい。」


明「なあ三つ質問いいか?」


和也「どうぞ答えられることは限られてるけど」


明「俺はその世界で何をすればいい?」


和也「好き遊んでくれていい、剣士で魔物と対峙するもよし、魔法で敵を一掃するもよし、騎士ロールプレイをするもよしだ。」


明「了解。疑問はいっぱいだけどなそれで二つ目の質問だが選ばれた人てのは?」


和也「う〜ん企業秘密で片付けるのはアレだから

情報を集めてるからとしか言えないな。」



明「三つ目、最初から狙ってたか?右手を怪我したタイミングで突然してほしいなんて。」


和也「まあ、前から話は出ていたんだ。候補として明の名前がね、まあ俺からの推薦だけど。でもグットタイミングだろ?」


明「まあそうだけどさ。いろいろ分かったよまだ疑問はあるけどな」



和也「悪いな。まあ早めの誕生日プレゼントと思ってくれていい。それじゃまた連絡するよそん時は感想よろしく。明日から春休みだろ?ゆっくりともう一つの世界を味わってくるといいさ」


明「ああ、おやすみ兄貴」


和也「おうおやすみ明」


ツー ツー


電話を切りため息をつく



明「電脳世界ね・・・リアルだけど現実じゃない世界か」


急な話だったが俺はすっかり乗り気だった。

いや、乗り気されられたというべきか。

VRでしかもMMOという今まで触れたことのない

ジャンルに好奇心が刺激されたのかも知れない。


それにゲームをするにはこれしか無い。


カップを片づけ部屋を出るが電気を消し忘れたことに気がつき、AIに呼びかける。


明「アイ、リビングの電気消しといて」


アイ「了解、リビングの電気を消します」


部屋に戻る前隣の妹、風香の部屋のドアをみる。

そういえば前から何も話していない

今日は骨にヒビが入ったから心配はされたが。

いつもは朝と夜のご飯の時に会うだけで会話はない。


明「・・・」


幼少期は仲が良く一緒に良く遊んだもんだが

今となっては関わりは無くなっていた。


まあ、兄と妹の関係なんてこんなものだろう。


そのドアを横目に部屋に入り

その後兄貴に言われた通りアナザーオンラインのPVを

ずっと見ていた。

そして気づけば午後の2時で俺は慌てて寝る準備をした。


明「おっとそういえば消してなかった」


ディスプレイで遊んでいたゲームの電源を消して眠りについた。


消される前のディスプレイには格闘ゲームが写っておりWINの表示があった。


明「始まりました、無双社長。始めまして彼方明です」


???「それだと私が無双してるみたいじゃない。始めまして???です」


明「あ、ネタバレになるから今???になってるから」


???「あら、本当。?????????????????」


明「名前連呼しないで、規制されてるみたいになってるから」


???「遊びはこの辺で、ここでは裏話や話にヤジを飛ばすコーナーよ。」


明「まあ語れないところをちょいちょい語るところかな。」


???「しかしあなた転けて骨を折るって・・・」


明「折れる時は折れるの。そうゆうもんさ」


???「筋トレ増やそうかしら」


明「いや、今は大丈夫だから!という事でこの物語を楽しんでいただけると嬉しいです」


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