嬉しさで微笑みが溢れる
「そうですか、あの後そんなことが」
翌日の朝、試合会場の近くにある建物の屋上でログから話を聞いてたユグスがクスクスと楽しそうに笑う。その様子をログは不満そうにため息をついた
「楽しそうですね」
「ええ、とても」
ユグスの返事を聞いてログがまたため息をついた。そんなログを見つつ一通り楽しそうに笑った後、少し困ったように
「今回の引っ越しだって少々手間がかかりましたし、それに二人だって魔力的に気に入ってますでしょう?」
そうユグスに言われ、返事が出来ず無言になる。その間ユグスは何かを考えるように少し目を閉じた
「まあ出来ないことはないのですが、条件があります」
ちらりと細目でログを見ながらそう言うと、クスクスと笑う
「是非、優勝を目指してくださいね」
「フランに聞いてから返事をします」
「分かりました。今度はもっと気にいる場所を用意しますね」
「すみません、こんにちは」
二人の会話の途中、突然聞こえてきた声にログとユグスが声のした方に振り向くと、グレニア学園とは違う制服を来たマオがニコリと微笑んで立っていた
「グレニア学園の人達ですよね、こんにちは」
「こんにちは。君はマオ君の姉妹かな?」
「はい。姉のミオです」
ユグスに返事をしながら頷くと、ユグスはニコニコと微笑み、険しい表情でミオを見る。ミオがまた話をしかけようと顔を上げた時、背後から近づいてくる足音が聞こえてきた
「ミオさん、何をしているの?」
声をかけられ振り向くと、ミオを探していたマリヤが心配そうに近づいてきた
「試合が始まるというのに探しましたよ」
「すみません……」
マリヤに言われて慌てて謝るミオ。そんな二人の様子を見ていたユグスとログに気がついたマリヤが二人の方を見て少し驚きつつもニコリと微笑んだ
「行きましょうか、不戦敗なんて嫌だものね」
「はい、すぐに」
ミオが返事をしてすぐログとユグスに挨拶する間もなく去っていったマリヤ。置いていかれないように後を追いかけていくミオ。二人が去っていく姿をログとユグスが少し呆気に取られた様子で見ているその背後でマオとフランの試合が始まり、観客の声援の声が聞こえてきた
「マリヤさん、なんだか急に楽しそうですね」
その頃、ログとユグスと別れた後のミオはご機嫌で歩くマリヤを追いかけながら声をかけていた。声をかけれたマリヤは立ち止まり、少し振り向きミオを見てクスクスと笑った
「ええ、楽しいことは待ってはくれないと思ってね」