周りのざわめきと共に
最初の試合から数時間後、フランと共に数回の試合を終え、ふぅ。と一つため息をつきながら壁にもたれ座るマオ。その側でフランが心配そうな顔でのみをマオに差し出した
「まだまだ試合はありますが、大丈夫ですか?」
「うん、なんとか大丈夫」
フランに返事をしながら温かい飲み物を受け取る。ふぅ。と一息かけながら飲み物を飲むと、右手に擦り傷があるのに気づいた。そのま右手を見たまま動かないマオを見たフランも傷に気づいて、マオの左手にそっと手を添えた
「大丈夫ですか?すぐに治します」
「ううん、今は治療の魔術を使う魔力すら惜しいから、後で……」
話の途中、騒がしい声が近づいてきて、二人が目線を向けると、少し離れた所でミオが女子生徒達に囲まれ、楽しそうに会話をしながら歩いていた。マオから離れていくミオを見ていると持っていた飲み物がふわりと独りでに浮いた
「マオさんも応援に来てもらえば良かったのに、どうして断ったんですか?皆さん来たがっていましたよ、特にレイカ先生が」
「うーん……。ほら、私達って学園ランク最下位でしょ?それが応援もなくたった三人で勝ち進んでいくって格好いいかなって思って」
「そうですか?」
エヘヘと笑って言うマオの話にフランが首をかしげる。
「魔力回復にお昼ご飯でも食べに行こっか」
「そうしたいのですが、ご主人様が……」
「あっ、そっか。でもずっと見てないね、いったい何処に」
と、ログを探そうと辺りを見渡した時、突然ゴンッと頭に衝撃を受けた
「だ、大丈夫ですか?」
「うん……大丈夫」
驚いたフランがマオの頭に落ちてきた本と頭を擦るマオを見ながら心配そうに聞く。少し痛そうに頭を擦るマオが困ったように微笑みなが答えると、二人の側でクスクスと笑う声が聞こえてきた
「お姉ちゃんらしいね」
と、聞こえてきた方にマオが顔を向けると、ミオが、二人の側に立っていた。フランが慌ててマオと壁の間に移動しミオに見られないように隠れた
「ちゃんと試合に勝ててる?」
「一応ね、ミオも勝っているみたいだね」
「そりゃあね」
マオの話にフフッと笑って答えるミオ。二人が話している側ではミオの応援に来ていた生徒達が、マオの着ている制服を見て、少しザワザワと騒がしくなっていた。フランが生徒達に見つからないようにマオの服をぎゅっとつかむ。それに気づいたマオが手を後ろに回し、フランを隠す。ミオに生徒達が声をかけヒソヒソと話をしはじめた。その様子をマオが見ていると視線に気づいたミオがフフッと笑って
マオに背を向け、近くにいる生徒に話しかけつつニコリと微笑み、少し振り向いてマオに話しかけた
「もっと騒がしくなる前に行くね。決勝戦で待っているよ」