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間違えても大丈夫なように

「間違えた場所はここですね、ここは間違えてはダメな場所です。どうして見落としていたのでしょうか……」

 フランが魔方陣の前で本を片手に一人呟く。隣で一緒に魔方陣と本を交互に見るマオが首をかしげている

「でも、間違えても大丈夫だったから、このまま練習する?」

「いえ、これは……」

 二人が話をしていると、ガチャと玄関の開く音が聞こえて振り向くと、ログが門を開け出ようとしていた

「あれ、どこかに行くの?」

 マオに声をかけられ足を止めたログ。フランも本を読むのを止め、マオの肩に乗り、ログを見た

「散歩ついでに夕飯の買い物をしてくる。フラン、留守番を頼んだ」

「了解です。マオさんもいますし、任せてください」

「くれぐれも家は壊さないようにな」

「分かってますよ。ご主人様こそ、食後のデザートを買い忘れないようにしてくださいね」

 フランの言葉を聞いて、返事の変わりにため息をついて出掛けたログ。門を閉め、姿が見えなくなると、マオの肩に座っていたフランが魔方陣の元に戻っていった

「さて、書き直しますか。間違っていた場所はここですね」

 本と交互に魔方陣を見ながら地面を指差したフラン。マオも交互に見ながら間違えていた場所を確認する

「ここ?こんな呪文が書いてたかなぁ?魔方陣もこんな感じで書いてた?」

 フランに指摘された場所や本を食い入るように見ながらマオが一人呟く。その間にフランが魔方陣をくるりと一周して見渡した

「マオさん、この魔方陣を消せますか?」

「うん、大丈夫だと思うよ」

 読んでいた本をパタンと閉じ、フランの側に行くと、本をフランに渡し、目を閉じふぅ。と一つ深呼吸をした。マオが魔方陣を消すために、ゆっくりと呪文を唱えはじめると、ログの家の庭に書いた魔方陣がうっすらと地面から消えはじめ、フランがまた魔方陣の周りを見渡していると、間違えていると言われた場所が、陽炎のようにユラユラと揺れて見えた

「えっ、ちょっとマオさん、まってください」

 慌ててフランがマオを止める。まだ間に合わず魔方陣から熱い風が吹き、フランが慌てて逃げる。やっと異変に気づいたマオが目を開け魔方陣を見ると、消していたはずの魔方陣はさっきよりも大きく、マオやフランの足元まで魔方陣が広がっていた

「マオさん、早くここから逃げてください」

 マオの肩に乗ったフランが家の門を指差す。急いで門を抜けると、マオが庭に書いた魔方陣がログの家を囲うように広がり熱い風が門を越え二人が困ったように顔を見合わせた


「これは困りましたね。後程、君の家の修理費を頂いても構いませんかね」

 少し離れた建物の屋上で、家のある方を見ていたログの背後からクスクスと苦笑いをする声が聞こえてきた。ログが不機嫌そうに振り向くと背後にいたユグスがログの隣に移動した

「家は後で魔術で直します。それより何の用ですか?」

「大会出場が受理された事を報告と顔を見に来たんだよ。君達が元気そうで良かったよ」

 フフッと笑ってそう言うと、杖をコツンと地面に当てた。ふわりと二人にそよ風が吹いて、ユグスが持っている杖をまたコツンと地面に当て、ログを見てまたフフッと微笑んだ

「僕はもう行くよ。じゃあまた大会でね」

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