表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/62

その瞳から見えるもの

「ただ住むには良い街だな」

 グレニア学園の屋上でログが空を見上げ呟く。そよ風が吹いてログの髪が揺れた時、一瞬視界にピンク色の長い髪が見えた

「フランは優しいな。放っておけばいいのに」

 長い髪が見えた先に目線を向けると、ログの背後にいたフランがログの言葉を聞いて驚いた顔をして、肩に乗った

「マオさんとの会話を私の目を使って見ていたんですね」

「フランは僕の使い魔だからね」

「それは、そうですが……」

 ログの返事を聞いて不満そうなフランが頬を膨らませる。その様子を横目で見ているログがフフッと笑う

「次はどこに行こうか」

「本当に行くんですか?せっかく学園に通っているのですから、せめて空を飛ぶ術を得てからにしませんか?」

 フランの言葉を聞いたログが、肩に乗るフランをつかんだ。ログの手から逃れようとフランがジタバタと動いていると、二人の後ろからまたクスクスと笑う声が聞こえてきた

「どこかに行くのなら僕の家にでも来ますか?」

 声が聞こえてきた方にログが振り向く。その時、つかんでいたフランも手放して振り返ると、ユグスがコツっと靴の音をたてながら一歩近づいた

「ホームルームとはいえ、お二人とも、ご飯ばかり食べず、ちゃんと話を聞いて下さいね。さすがに評価に響きますよ」

「見ていたんですか?」

「ええ、君の使い魔がご機嫌でお買い物をしているのを見たので、ちょっと術をかけさせてもらいました」

 そう言うとニコリとフランを見る。ユグスと目線が合ったフランが、目が回ったように頭をクラクラと左右に動かす

「お二人して私の目を……」

「同時にかけれたのは、フランの不注意だ」

「それはそうですが……」

 フランがはぁ。とため息をつきながら、ログの右肩に乗り座ると、まだ少しクラクラするのか目を閉じたり開いたりしている

「大丈夫か?」

「ええ。ですが、急に二つの術が解かれたのでツラいですね」

 返事をしながら、ふぅ。とため息をつくフラン。ログが肩に座っているフランを抱きしめると、ユグスがまた一歩二人に近づき右手を伸ばした

「それで、どうするんですか?僕の家に来ます?」

 ニコニコと微笑むユグスを見てログが機嫌の悪そうな顔で顔を横に向いた

「一人暮らしも大変でしょうし、どうですか?」

「遠慮しておきます。住んでいる所から近いですし、旅に行くという感じでもないですから」

 ユグスを背にしてそう言うと、屋上から飛び降りた。その直後、ふわりと吹いたそよ風でユグスの髪が揺れ、一人残った屋上で、またクスクスと楽しそうに笑った

「そうでした、旅でしたね。記憶探しも程ほどにしてほしいものですね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ