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どうせクリぼっち

 クリスマスを直後に控え、普段よりも活気にあふれた商店街の中で、冬の寒気が隼人の体を震わせる。


「はあ……」


 今年もクリスマスは独りで過ごすことになるのか、寂しい、と隼人は憂鬱な溜息を吐いた。


 活気あふれる街の様子を一人で見るのは虚しくなるような気がして、下を向いて歩いていると、人とぶつかりそうになる。


「あ、すいません」

「こちらこそ、すいません」


 応えたのは、若い女性の声だった。


 自分の謝罪にすぐに応えてくれたのが嬉しくて、隼人は目の前の相手の顔を見る。


 隼人の目の前に立っていたのは若い女性というか、少女だった。


 冬だからか、黒い上着を着ている。それなのに上着越しでもはっきりわかる双丘の主張が隼人の視線を吸い寄せる。


 さすがに罪悪感を感じて視線を下にずらすと、見ているだけで背徳感を感じるような長くて白い脚。


 下が駄目なら上、と少女の顔を見るが、そこにあったのは美しさと可愛らしさを兼ね備えたご尊顔。ついでに透き通った黒髪が肩まで伸びている。


 顔を上げた先にいた彼女は、とんでもない美少女だった。


 隼人は絶句した。


 しかも彼女は、この近くにある県立のトップ高校の制服を着ていた。その高校には隼人もぎりぎり在籍しているので、つまり――


「同じ高校……」

「え、あなたも海神わだつみ高校なんですか?」


 隼人が通っている高校は、子供が考えたのかというくらい中二心をくすぐられる字面をしている。


 少女が口に出した高校名は、隼人が通っている高校で間違いなかった。


「あ、はい。一年の清原隼人です」

「私は一年の住友香澄だよ。よろしく」


 隼人は混乱した。


 『よろしく』ということは、これからもとんでもない美少女の香澄と関わりを持つということである。


 そこで、これほどの美少女ならば噂になっているはずだ、と思って隼人は自身の記憶を辿る。


 そうして思い浮かんだ名前のイメージを目の前の香澄と重ね合わせるとぴったりと一致して、思わず口に出す。


「……海神の聖女?」

「知ってたんだ。あまりその呼び方は好きじゃないんだけど」

「ああ、ごめん。じゃあ、住友さん。こちらこそよろしく」


 香澄は満足そうに微笑んだ。


 その微笑みを見て、隼人はなにかが抑えきれなくなったかのように、衝動的に口を開いた。


「可愛い」

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