1-22 守るもの
「おうおう、朝からお熱いこったなぁ」
20人ほどの肉々しい男たちがいる教室の中で、一番ガタイのいい男がニヤつきながらそう言った。
「さっすが王太子も従える美貌の魔女様だな?」
「まっさかこの農学部に来るなんて。なんか間違ったんじゃないの?」
「キツい汚い危険の三拍子のお仕事しかないぜ?その細っこい腕で何すんだよ」
「ほら、外国語学部はあっちだぞ?送ってってやろうか?」
ガヤガヤと嘲笑うように大声でしゃべる男たちは、思い思いの言葉を発したあと、ガハハハと笑った。そして、一笑した後、ガタイのいい男はまた私の方をじっと見た。
「……で、ほんとにこの学部に入る気かよ。卒業間近だからって、他の学部みたいにぬるくねぇぞ。何たって生き物に春休みなんてねぇからな?」
『もちろんです。宜しくお願いします』
「……声が出ねぇってのは本当かよ。そんなんでよくこの学部に入ろうと思ったな」
男はボードの文字を見てハッと呆れたように笑った。だるそうに足を組み替えた大きな足が、机にあたってガン!と音をたてる。
「別に止めねぇけどな。逃げ出すなら早くしな。泥まみれになっても助けてやらねぇからな」
『問題ございません。私はシャルロッティです。少しの間ですがご一緒させてください』
「……物好きだねぇ」
男が呆れたようにそう言うと、教室はなんとも言えない空気で静まり返った。
あまり歓迎ムードではないが、仕方がない。とりあえず端っこの席に座る。
暫くして、先生がやって来た。……びっくりするぐらいおじいちゃんの先生だった。
「え〜短期留学生が来ている。みんな仲良くするように。じゃあ期末テストを始める」
まさかの自己紹介もなくテスト開始だった。よく考えたら、ここは成人が多い職業別の高度教育の学園だ。別に幼稚舎のように仲良しこよしする必要はないと言うことだろう。
そう思考を巡らせていたら、先生がヨロヨロと寄ってきた。
「え〜シャルロッティさん。テスト受ける?」
『もちろん受けます。ありがとうございます先生』
「そう。無理しないでね」
あまりやる気のないその感じに、まぁ短期だししょうがないのかなと小さくため息を吐いた。そしてテスト用紙を見る。この内容であれば、なんとか解けそうだ。私は少しさみしい気持ちになりながらも、テスト用紙に答えを書いていった。
そして2限目。
私は真新しいつなぎの作業服に、長靴を履いていた。
「え〜ではいつも通り牛舎の世話をお願いします」
「うぃーっす」
使い古されたつなぎを着た男たちが、ドカドカと牛舎に入っていく。私もそれに続いたが、内部の様子に顔を顰めた。
「っはは、驚いたか?牛にはトイレなんてもんねぇからな。そこらじゅうウンコだぜ?」
一番ガタイのいい男がニヤニヤとしながら私を見下ろした。作業服のつなぎにカイザーと書いてある。どうやらそれがこの男の名前のようだった。
「無理しねぇで、お嬢さんはもう外でお紅茶でも飲んどけば?」
「ヒュー!優しいじゃんカイザー」
「さっすが数少ない貴族。ジェントルだねぇ」
「没落寸前の貧乏貴族だが嗜みぐらいはあるぜ?」
「雌牛さんにもお嬢さんにも優しいってか?」
「ギャハハハ!」
優しいだと?これが?男たちのふざけたその態度に頭が来て、思いっきり睨んでやった。
「おぉこわ、すみませんねぇ」
「事前にここを綺麗にして差し上げてからお呼びすればよかったですわぁ」
「うわっキモ。変な言葉遣いすんなよお前」
ギャハハハと笑う男たちを無視して素通りし、糞尿でベタベタの通路を通って授業に使っているらしい壁の黒板の前に立つ。そして、チョークを手に取り、これでもかと大きく文字を書いた。
『牛舎衛生管理向上プロジェクトを開始します!』
そしてバァン!と大きく手を広げた。本当は思いっきり黒板を叩きたかったが、牛たちを驚かせる訳に行かず、ジェスチャーで何とかみんなの気を引く。
「はぁ?衛生管理向上プロジェクト?」
「いやだからさぁ、牛ってのは」
『国際畜産連盟の指針では牛舎の清掃は一日3度の実施となっています。ここの牛舎の清掃頻度や清掃手順を記載したマニュアルを見せて下さい』
殴り書きをしてキッと男たちを振り返った。男たちは怪訝な顔をしながら顔を見合わせる。
「……マニュアルなんてもんねぇよ。そういうのは牛舎の親方のやり方をみて覚えるもんだろ」
「これだから素人のお嬢さ『農業先進国フィンティアの牛乳の質が最高品質と言われる所以は、衛生的でストレスのない飼育環境を国を挙げて整備し共通化をはかっているからと言われています』
男たちの言葉を遮る勢いでガリゴリと黒板に殴りがいていく。やや荒ぶった文字だが許してほしい。書き上げて男たちを振り返ると、皆悩むような変な顔をしながら黒板を眺めていた。
「まぁ……あの国は確かにすごいけど」
『衛生的でストレスのない飼育環境を整えると、病気は少なく、牛は長生きし、牛乳の質もよく、販売価格も上がります』
そしてビシッと近くの牛を指差した。
『この牛!乳房炎になりかけていますね?普段から、このような牛が多いのではないですか?』
「………今月二匹目だ」
『それは寝床が不衛生だからです。乳房炎は外部からの汚れで起こることが殆どです。あなたがた、このように病気にばっかりなってる牛舎を運営なんてしたら、乳質も悪くなるし治療費はかかるし最悪ですわよ』
「まぁ……それはそうだがよ………大変だし………」
そのしょぼくれた男たちを一瞥してから、私はざっと文字を消し、プロジェクト名の下に大きく副題をつけた。
『牛も人もハッピー大作戦!!』
「牛も人も………?」
私はニヤリと笑った。
*****
数日後。
講義室からうおおぉぉというムサい男たちの声が響きわたった。
初日の期末テストの採点結果を受けとった私は、筋肉隆々の男たちに囲まれていた。
「満点!?」
「あのテスト鬼難しかったよな!?」
「おい、なんだよこれ、答案用紙に補足と参考文献付いてるけど……」
「まじかよ………」
なんだかいたたまれない気持になりながら、みんなが見えるように大きく文字を綴る。
『この文献は非常に素晴らしい示唆に富んだ内容なのです。フィンティア語なのですが翻訳してぜひみなさんにも読んでほしいと』
「フィンティア語!?読めるのあれ!?」
「マジやべぇ」
「そりゃ牛舎もピカピカになるわな」
「あの通路におが屑敷いといて、汚れと一緒に一気に魔道具で掃除するの、感動した」
「わかる。早いし楽だし牛も喜ぶし」
「寝床や柵もちょっとの違いで牛がのびのびと嬉しそうにしてさぁ」
『大切な仲間ですから、ハッピーに暮らしてほしいじゃないですか。牛も、みなさんも』
「「「っ姉御ぉぉぉ!!!」」」
『その呼び方止めてください……』
沸き立つ講義室は妙な熱気に包まれていて、初日のトゲトゲしさはもう感じられなかった。でもちょっと恥ずかしいし困ったなとはにかむ。
「でも本当にお前はスゲェわ。もっと早く会いたかったぜ」
「おっなになにカイザー、くどいてんの?」
「は!?違うわ!!」
「俺知ってんだぜ、初日に偉そうに足組み替えた時にうっかり机蹴っちゃって、後でやりすぎたってクヨクヨ悩んでたの」
「オメェだって女の子がこのクラスに来るって気合入れて眉毛整えてただろうがよ!」
「うるせぇなどいつもこいつも浮足立って優しくできなかったくくせに!!」
『喧嘩はやめなさい』
「「「ごめん姉御」」」
ムキムキの男たちに一斉に謝られると怖い。私はヒクヒクと苦笑いをしながらその光景を眺めた。
「あ!姉御、アニキがお迎えにきてるぜ!」
その声に振り返ると、講義室の一番後ろのドアから、デュークがなんだか曇った顔でこちらの様子を伺っているのが見えた。どうしたんだろう。何かあったのかな……とデュークの表情をよく見ようとしたのだけど。ムキムキの男たちは人の気を察する事はなく、ドカドカとデュークのところへ寄っていく。
「アニキー!搾乳の魔道具修理してくれてありがとうございましたー!!」
「めっちゃ搾れます!!」
「開閉柵もいい感じです!」
「あぁ……うん、よかった……」
デュークが男たちの圧にやや押されながらぼそりと答えた。そう、先日搾乳器の確認をしたら保守点検も微妙で分解掃除をし、動きが悪かった部分があったのでデュークになおしてもらったのだ。
「じゃあ姉御、気をつけてな!」
「アニキー!姉御を宜しく頼みますよ!」
「あ!これ、俺のお気に入りの筋トレ道具なんで良かったら」
そして謎の重い何かを持たされたデュークと教室を後にする。
てくてくと校舎の廊下を進む。デュークと二人だけになった今は、さっきとはうってかわって、とても静かだ。
デュークはちらっと私を見下ろしてから、何か迷うように口を開いた。
「………ほんとに完璧に馴染んだというか……従えたな」
何となくテンションの低いその言い方が少し引っかかりつつも、とりあえずコメントを返す。
『そういうつもりじゃ無かったんだけどな』
「農学部の教授たちも感動してたよ。俺にもお礼状届いたし」
『牛たちの様子見てたら我慢ならなくて』
「まぁ……フィンティアの最先端を知るものとしてはこの国はかなり遅れてるだろうからね」
ほんのり笑って私を見下ろすデュークに苦笑いを返す。後悔はしていないが、やり過ぎてしまった感はある。
でも、デュークのこのテンションの低さはどうしたんだろう?不安な気持ちでデュークを見あげる。
『何かあった?』
「いや…………」
『言わなきゃわからないよ』
煮えきらないデュークをつっつく。すると、デュークは少し気まずそうに、ボソリとつぶやいた。
「……ちょっと、妬いた」
『え?何を焼いたって?』
魔術の講義で炎の魔術でも使ったのだろうかとペンを走らせた時。不意に背後から可憐な声が聞こえた。
「デューク!」
カリーナ様が階段を降りてこちらにやって来る所だった。制服を上品に着こなしたカリーナ様は、階段を降りる時も綺麗な所作だった。
「引き止めてごめんなさい。シャルロッティさん、先生が感謝してらっしゃったわ。素晴らしい知識を共有してくださったって」
『お役に立てて嬉しいです』
そう返すと、カリーナ様はニコリと笑った。
「それで……申し訳ないのだけど、少しデュークをお借りできるかしら」
「……何かあった?」
「今日魔術実習の最後の授業でしょう?先生が最終日はぜひ来てほしいって……今更デュークが習うことは無いかもしれないけど、この学園としては帝国の魔術師が留学してきたっていう実績はしっかり残したいそうよ。大使としても、ぜひ」
なるほど、サボりか。じぃっとデュークを見ると、若干バレたみたいな顔をしながら、視線をずらされた。まったくこの人はと、ため息を吐きつつボードに文字を書く。
『カリーナ様、私からもお願いします。デュークを連れて行ってください』
「まぁ、ありがとう。ふふ、シャルロッティさんは勤勉で助かるわ」
「嫌味か」
「今日来てくれたら私も先生も何も言わないわよ」
クスクス笑うカリーナ様はやっぱり上品で、可愛らしかった。なんだか眩しいなと思って、その可憐な姿を眺める。
「シャルロッティさん、せっかくだから見学できるようにテラスにお茶を準備させたから。良かったらそちらから見学なさって」
『ありがとうございます』
「別に一緒に行けばいいだろ」
なんだか不満そうなデュークに、キョトンとしたカリーナ様が首を傾げた。
「流石に魔術実習を魔術師以外が近くで見学するのは危ないんじゃないかしら……」
「…………」
何だか納得できない様子のデュークを不思議に思いながら、ボードに文字を書く。
『大丈夫だよ。のんびりお茶して待ってる』
「………見えるところにいろよ」
妙に私を心配するデュークにニコリと微笑んでプラプラと手を振る。そしてカリーナ様の新しい侍女の方に案内されて、テラスへと向かった。
傾いてきた日が差し込むテラスには、柔らかな風が吹いていた。白い椅子とテーブルは優しい風合いで、席につくと演習場が見えた。
沢山の生徒が演習場に並んでいて、そこにデュークとカリーナ様も加わる。
「ああ見えてね、カリーナもこの国ではかなりの魔術の使い手なんだよ」
その声にハッとして振り返ると、アルフォンス殿下が向かいの椅子に腰掛けるところだった。
「といっても癒やし系の魔術だからね。演習では戦力じゃなくて、うっかり傷ついた人のケア要因だけど」
『そうなんですね。カリーナ様のような癒やし系の魔術の使い手でも、演習は危なくはないんですか?』
「実践でも癒し手を守らないといけないからね。もう最終学年の大人ばかりだし、きちんと生徒たちが守るから大丈夫だ。特に今日は、デュークもいるからね」
『デュークってそんなに魔術がすごいんですか?』
「そりゃぁ、かの魔術大国から来てる魔術師だからね。格が違うというか。それに………カリーナをデュークが守らないわけないだろう?」
その言葉に、息を飲んだ。
今まで、敢えて聞かないようにしていた関係が、言葉になって現れたようで。
ズキリとした胸の痛みに、思わずペン先が止まる。
「なんて、他国の者を褒めてばかりだと悔しいから言わせてもらうけどね。これでも、我が王家の血筋だって魔力は強いんだ。私もこの国の中だとかなり魔力が多いんだよ?」
アルフォンス殿下は、いたずらっぽく微笑むと、さらりと金髪を風に揺らめかせた。
その少し優しさが交じる表情に、あぁ、これはわざと話題を変えてくれたんだと察する。
アルフォンス殿下は再び演習場に視線を戻すと、懐かしむように目を細めた。
「私も本当は一緒に参加したかったんだけどね。魔術学部は飛び級で先に卒業してしまったんだ」
『弊学で学ばれていたんですか?』
「そんな感じかな。それでも同年代との交流も大事だからね。今は法学部にいるよ」
なるほどと頷くと、アルフォンス殿下はくくっと可笑しそうに笑った。
そして手を宙に向けてスッと薙ぎ払うように振った。
「本当に……過保護だね、君の主は」
『何ですか?』
「ほら、こっち見てるから手を振ってあげなよ」
視線を演習場に戻すと、遠くの方で不機嫌そうな雰囲気のデュークがこちらを見ていた。おーいと手を振ると、何となくムスッとした様子で頷いたのが見えた。
横でそれを見ていたカリーナ様がクスクスと笑っている。
「……君だって、そこまで無力じゃないだろうに」
不意に聞こえたその言葉が、何を意味するのか分からず、アルフォンス殿下に視線を戻す。アルフォンス殿下は演習場に視線を向けたままで、静かに答えた。
「牛舎の改善。あれは国力にも影響を及ぼすほどの改善だった。一次産業の強さは侮れない。君がこの国にもたらした知識は、この後もこの国に利益をもたらすだろう」
そう呟いたアルフォンス殿下は、私の方に顔を向けると、かすかに微笑んで、私を真っ直ぐに見つめた。
「君はあの知識をどこで手に入れた?」
核心を突く問いに、思わず動きを止めてアルフォンス殿下を見返す。アルフォンス殿下は私をじっと見つめたまま、また静かに口を開いた。
「君は誰だ?」
ほんの一時、見つめ合ったのち、私は困ったように微笑んだ。
『分からないんです』
「………分からない?」
『私はすべての記憶が戻ったわけではありません。朧げで、知識はあっても思い出はひどく断片的です』
「知識はあるが、自分が何者か分からないと?」
『えぇ。どこかの国の者だったとは思いますが、自分の名前は思い出したのに、他のことは思い出せないんです』
「……………そう」
アルフォンス殿下はニコリと笑った。多分、これは信じてない顔だ。でも、問題ない。証拠なんて、どこにもないんだから。
そうハッタリをかましてアルフォンス殿下を見返す。アルフォンス殿下は、優しい顔をしているけど。何故か、その瞳の奥に、暗いものが見えたような気がした。
「わぁぁぁ!!」
「っ逃げろ!」
突然の叫び声に、ハッとして演習場を見る。そこには、大きな黒い塊のような巨大な炎が浮かび上がっていた。
「何をしているの!今すぐやめなさい」
「っう、あ、ああ、ああああ!!!」
一人の男が、錯乱したように叫びながら巨大な炎の球に魔力を注ぎ込んでいる。一体、何が。
「誰か!魔封じの拘束具を―――」
「ああああああ!!!」
黒い炎が放たれた。それは、周囲に熱を撒き散らせながら火の粉をまとい空気を切り裂く。
その先にいたのはカリーナ様だった。
ガタリと立ち上がり、危ない!!と叫ぶ。でも、口からは周りの空気をかすかに動かす程度の吐息しか出なかった。
逃げて!!そう心の中で祈った時だった。ザァと風が動き、炎が止まる。それから黒い炎の玉はぐるぐると回転したように見えた後、ぼふん、と消えた。
その消えた炎の先には、デュークが立っていた。カリーナ様がデュークのすぐ後ろにいて、震えるようにデュークの制服を掴んだ。
「うあぁぁぁあ!!」
男がめちゃくちゃに腕を動かして新しい魔術を発動させる。それは、無数の氷の刃だった。まずい、ここもきっと危ない、そう思ったときには四方八方に氷の刃が飛び散った。
串刺しになる―――恐怖にぎゅっと目を瞑った。
でも、痛みは何も起こらなくて。何か包み込まれるような感覚に、そっと目を開いたら。
私は、アルフォンス殿下の腕の中にいた。
「――――ふぅ、危なかったね。大丈夫?」
優しい表情で私を覗き込む空色の瞳を、呆然と見つめながら、コクリと頷く。
「良かった。ほら、男は拘束されたみたいだよ。もう大丈夫だ」
言われるがままに演習場を見ると、錯乱した男が倒れていて、複数の生徒に押さえつけられていた。
「肝が冷えたよ。カリーナは―――デュークが命がけで守ってくれたみたいだ」
一番近くにいたからだろう。デュークの目の前の地面には、沢山の氷の刃が刺さっていた。先程と変わらず、カリーナ様はデュークの後ろにいて、縋るように、デュークの背に手をかけていた。
デュークが振り返るように、カリーナ様に何か話しかけている。大丈夫?きっと、そんなふうに声をかけているんだろう。
それは、お互いを大切にしている、恋人同士のようだった。
「ほら、シャルロッティ、行こう。ここは危ない。―――カリーナはデュークがいるから大丈夫だ。事後処理の邪魔もになるから」
まるでその光景を私に見せないように、アルフォンス殿下が私の背を押した。
そう、邪魔したらいけない。何をショックを受けているんだと、頭を振る。怪我人も出なかったのだし、本当に良かった。そう思うのが当然だ。
――醜い欲に塗れたくないと言ったのは、自分だ。
だから、もう行こう。
私は自分に言い聞かせるように、その場を後にした。
お読み頂いてありがとうございます!
ブクマご感想いいねありがとうございました!
どれもとても嬉しいです!!!!!
マッチョたちを従えたシャルロッティですが、デュークに見向きもされなくてショックを受けちゃったみたい……?
「いや絶対何かの間違いでしょ!?」と思ってくれたデューク信頼度の高い読者様も、
「なんか、なんか嫌だアルフォンス!!」と王家に背く方針を固めた読者様も、
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