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第93話 どいつもこいつも王族というのは頭のおかしい奴ばかりなのか?

 取り敢えず無理だろうが、話し合いをしてみるかな。


「えっと……どう言うことでしょうか?」


 俺は再び相手を怒らせないように下手に出る。


 こいつら面倒なんだよ……。


「どう言うことだと!? この僕を誰だか知らないのか!?」


 勿論知っていますよ。


 クソ嫌な方でだがな。


 俺はサラとシューマを相手が手を出せない俺の後ろにゆっくりとさがらせてから言う。


「ごめんなさい存じ上げないのですが……」


 勿論知らない体で行くぞ。


 だったもし間違えていたらクソ面倒な相手なんだもん。


 なら先に名乗らしていた方が安全だ。


「ふん! 知らないのか! 僕の名はアレクサンダー・フォン・クーニヒ・メルドルフだ! よく覚えておけよ、僕はこの国の第3王子だからな!」


 やっぱりかよ、めんどくせぇ……。


 そう、何故かは知らないのだがサラはこの国の第3王子に連れていかれたのだ。


 その第3王子が目の前にいる。


 うざったいサラサラヘアの金髪に、無駄に整っている顔、腹が立つほどに背は高くて筋肉もついており、さながら貴公子にしか見えない。


 勿論外見だけは、と言う話だが。


 本当にこの国の王族は第一王子以外てんでダメだな。


 しかし人間は外見でほとんどのイメージを決めてしまう生物だ。


 実際に周りの女子たちは、


「ねぇアレク様ってカッコいいよね!」


「ほんとにね! 一度で良いからお話ししてみたいわ!」


「あの人たちは折角アレク様に呼ばれているのに逃げるなんて最低ね」


「ほんとよ。しかもアレク様を知らないなんてあり得ないわ」


 ほらな、大抵がこのクズ王子の味方だ。


 まぁ男子は……


「くそッ、あの王子のどこが良いんだよ……っ!」


「顔か? 結局は顔なのか!?」


「俺もイケメンで高身長に生まれたかった……」


「あいつが王子じゃなかったら文句を言えるのにな」


「王子に文句なんて言ったら俺たちの人生が終わるからな」


「ほんとずるいよな……」


「「「「「「はぁ…………」」」」」」


 こんな感じで王子のことは嫌っている。


 と言うか初めに行った奴には俺も同意見だ。


 そいつとは仲良くなれそうだ。


 と現実逃避は程々にし、目の前のいけ好かない王子との会話を再開するとしようか。


「それで第3王子殿下であるアレクサンダー殿下がどう言った御用件でしょうか」


 出来ればそのまま回れ右して帰って欲しいけど。


 しかしそんなことはやはりなかった。


「僕はお前に用事があるのではない! そこの女にあるのだ!」


 奴がサラを指差して言う。


 いやサラを指差すなよ汚らわしい。


 そう思うが決して顔には出さない。


 俺のポーカーフェイスを舐めるなよ。


 俺は沸々と湧く怒りを抑えて言う。


「……サラが何をしたのでしょうか?」


「何故それをお前に教えないといけない! お前は黙ってサラとか言う女をこちらに渡せ!」


 いや頭沸いてんのか。


 逆に何で何も知らされてないのに大事なサラを渡さないといけないんだよ。


「いえ、サラは私たちの大切な仲間でして……理由が分からないのに引き渡せと言われましても、首を縦に振るわけにはいかないのです」


「五月蝿い! お前たち下民は黙って僕の言う通りにすればいいんだ!」


「そうは行きません。大切な仲間なのです。ここで手放したくなどないのです」


 お前たちに渡したらバッドエンド確定だし。


 本当はそうなる前にお前たちを消滅させたいのだが、こちらは第2王子も抹殺しているので、無駄な殺傷は避けたい。


 それに多分こいつは第2王子よりは腐っていないはず……と信じたい。


「どうしてサラは連れてゆかれるのでしょうか?」


 ゲームでも結局最後まで理由が分からずじまいだったからなんとしても聞いておきたい。


 理由がわかればきっと全てがつながるはずなのだ。


「……はぁ。何度言っても分からない下民が……。よし、やれ」


 突如第3王子がため息を吐いて落ち着いたかと思うと、急に物騒なことを言ってきた。


 しかも躊躇いもなく周りの4人が俺たちに襲いかかってくる。


「そ、ソラ……」


「ソラ! やばいよ、攻撃されそうだよ! 早くやっつけようよ!」


 サラは俺の服を強く握り締め、シューマはテンパって俺に早く倒してくれとせがんでくる。


「…………チッ……」


 いや俺だって倒したいさ。


 それに本気になれば瞬きの間にこの学園にいるすべての人間を殺せるほどの力は持っている。


 しかしそれではダメなのだ。


 ああくそッ……取り敢えず2人には【結界・神】を貼っておいて、決して攻撃されないようにしておこう。


 これで俺が殺されない限り大丈夫なはずだ。


 すると気がつけば取り巻きたちが俺に襲いかかってきており、あと少しで剣が当たると言うところまで近づかれていた。


 俺はどうせこの攻撃は無傷で耐えれるため受けようとするが、その瞬間に俺と取り巻きの間に誰かが割り込んでくる。


 ガキンッ!


 取り巻きの剣が乱入者の剣に弾かれ後ろに飛んでいく。


「やめないか! 先程から話を聞いていたが余りにもおかしい事ばかりだぞ!…………大丈夫かい?」


 俺はこちらに手を差し伸べてくれる男を見て『へっ?』と情けない声が出る。


 それもしょうがないと思うのだ。


 本当に純粋に驚いてしまった。


「どうして助けてくれたんだ? ———勇者」


 目の前では勇者が剣を持ちながら俺の方にニカッと笑いかけてきた。


「安心してもう大丈夫だよ」


読者の皆様へ


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ではではまた次話で。

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[一言] なんで今更王族への反撃に戸惑うのか?謎
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