第66話 ずるいぞフェンリル!!
エレノアが落ち着いたあと、ダンジョン攻略報酬を受け取った俺たちは、さっさと家に帰ってきた。
「ただいま~」
「ただいま帰りました」
俺たちがそう言うと、リビングからワン!と声が聞こえた。
あれ? フェンリルにはサラの護衛をやらせていた様な気がするのだが……。
もしかしてサボったのか、と思いリビングに行くと————
「わふぅ……」
「ふふっ、かわいい」
なんとフェンリルがサラの膝の上でもモフられていた。
そしてサラの表情が少し綻んでいる。
……よし、フェンリルよ、後でお前とは1対1で話し合わないといけないな。
そしてサラの膝に乗るなんてズルすぎる!
俺も膝枕なんてやってもらったことないのに!!
俺がフェンリルに嫉妬していると、サラが俺とエレノアの存在に気付き、笑顔から一転驚きと隣のエレノアを何故か睨んでいた。
これは……妬いてくれているのか!
機嫌が一気に良くなる俺とは反対に、サラの目がどんどん据わっていく。
「……誰?」
不機嫌を隠そうともせずに聞いてくるサラ。
俺が紹介しようとすると、エレノアが一歩前に出て自己紹介を始めた。
「私はエレノアと言い、貴女を暗殺しようとした元暗殺者です」
「は?」
「ちょっとまてぇぃ!」
サラを軽く睨むエレノアと、エレノアを殺気だった目で睨むサラ。
俺はこの空気は不味いと思い2人に割って入る。
「サラ! 君の思うことは当然だ。でもエレノアにも色々あったんだ!」
俺は1時間かけてサラにエレノアの身の丈を話して何とか説得をした。
そのお陰でサラはエレノアを許した様だ。
だが何故か2人はずっと睨み合っているが。
『主殿のせいだと我は思うぞ』
やっぱりそうだよね。
フェンリルに言われて俺も内心頷く。
多分サラは焼いてくれているんだと思う。
そしてエレノアは、唯一の家族が取られるかもしれないと思っているのかもしれない。(鈍感は時に無自覚に人を傷つけることがある)
しかしまず俺はフェンリルに聴かないといけないことがあるんだけど。
「ねぇフェンリル。なんで家にサラが来ているんだい? ん?」
『い、いや、こ、これはだな!』
その後色々と言い訳を聞いた感じ、フェンリルが俺のペットだと気づいたサラが、俺の家に行きたいとゴネたらしく、フェンリルが折れて連れてきた様だ。
「———フェンリル有罪」
『な、何故だ!?』
「当たり前だバカヤロー!」
もう有罪以外の何者でもない。
サラのゴネた姿を見るなんて言語道断!
俺だって見たことないのに……!
それに俺は先程の、サラの膝の上に乗っていた事を許していないからな。
俺がフェンリルとマジの喧嘩していると、サラが俺の服をちょこんと摘んで———
「ソラ?」
少し赤く染まった頬を緩ませて俺を上目遣いで見上げており、その姿は夢に出てきた女神なんて比にならないくらいの可愛さを持っていた。
「あっ……」
俺はあまりの可愛さと尊さに自らの意識が遠のいていくのを感じる。
しかし俺は少しでもサラの素晴らしい姿を目に焼き付けようと耐えるが、可愛さと尊さの前には無力だった。
「ん? ソラ? 大丈夫?」
「ソラ様!?」
『主殿!?』
俺は呆気なく気絶してしまった。
最後に見た光景は、不思議そうに俺を覗き込むサラと、物凄く慌てたエレノアとフェンリルだった。
☆☆☆
「……ん……? ここは……?」
俺が再び目を覚ますと、窓から太陽の光が入ってきていた。
そして周りを見渡すと、すぐ近くのソファーで寝ているエレノア以外人がいなかった。
時間を見ると朝の10時。
どうやらサラとフェンリルはだいぶ前に学院に行った様だ。
だが俺はいつ寝たんだろうか?
最後にめちゃくちゃいい光景を見た記憶があるのだが、いまいち思い出せない。
まぁそのうち思い出すだろ。
俺は洗面所で顔を洗い、意識を覚醒させる。
よし! これからが本番だ。流石に気合い入れて頑張らないとな。
俺は自分の頬を叩くと、エレノアを起こして準備をする。
「ソラ様。とうとう種族進化をなさるのですか?」
「ああ、お互いにlevelも200に到達したし、早めにやっていたほうがいいだろう」
じゃあないともしかしたらのことがあった時に対処ができないからな。
もし死亡フラグの順番が変わって敵が俺よりも強かったじゃあ洒落にならない。
どうやらエレノアは寝る前に準備を済ませていたらしく、もう既に準備万端だ。
「ソラ様、行きましょうか」
「ああ」
それじゃあ第2の難関、種族進化へと行くとしますか!
俺たちは家を出てあるところに向かった。
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