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第61話 この世界ではじめての土下座

 エレノアの全力の一撃(本当は2回攻撃)がフェニックスに叩き込まれ、フェニックスの体力が一気に0になる。


 そしてフェニックスが灰と炎に変わった。


「よしッ!」


「やったっ!!」


 俺とエレノアは思わず喜びの声をあげ、ハイタッチをする。


 それと同時に俺は安堵のため息を吐く。


 正直一撃で倒せるとは思っていなかったけど、思った以上にエレノアが強かったのが幸いしたな。


 俺はフェニックスだった炎と灰に近づく。


 そして俺は嫌々ながら灰を払い除ける。


 うーん見た感じは普通の炎と灰なんだけど……その灰が小刻みに動くのが気持ち悪いんだよな……。


 そのせいでゲームでは皆んなフェニックスを倒そうとしなかった。


 しかも現実だともっと気持ち悪い。


「ソラ様……この灰? みたいな物資、気持ち悪いです……これを触らないといけないのですか?」


 そう言って嫌悪感丸出しで顔を顰めるエレノア。


「いやこの灰はいらない。どうせ持っててもフェニックスになるだけだし」


「ええっ!? じゃあ大事な物じゃないですか!?」


 そう言って嫌な顔をしながら集めようとするエレノア。


 いやめちゃくちゃ嫌な顔してんじゃん……。


 そんなに嫌なら拾わなくてもいいのに……。


「いやいいいい。どうせ復活しても体が炎だから飼えないし」


「あっ、じゃあいらないですねっ」


 そう言って灰を思いっ切り吹き飛ばすエレノアは、一瞬サイコパスに見えた。


 ま、まあ幻覚だと思っておこう、うん。


「それじゃあエレノア。この炎に触れてくれ」


 俺がそう言うと、エレノアは少し戸惑いながらも炎を触れた。


 すると炎が一気にエレノアの掌から吸収されていく。


 そして少し経つとエレノアが虚空を見出し、笑顔になる。


「ソラ様っ! 【聖火】スキル手に入れましたっ!!」


 よしよし、上手くいってよかった。


 現実では手に入らないかもと思っていたりもしたが、大丈夫だったようだ。


 それなら俺も手に入れるとしますか!


「エレノア! このまま更に奥に行くぞ!」


「え? ……どうしてですか?」


 まぁそう言えばエレノアが聖火スキルを入手するのが今回の目的だと言っていたからな。


「この先にあるフェニックスの巣から聖火とフェニックスの羽を貰いにいくからだ!」


 俺がそう言うとエレノアがツッコむ。


「ならどうしてフェニックス倒したんですかッッ!! 初めからそこに行けばよかったじゃないですかッ! 私はバレないか怖かったんですからねっ!!」

 

 いやこれはツッコミじゃなくて説教だと思う。


 まぁ確かに今回はエレノアにとっては格上だったし……うん、俺が全面的に悪かったな。


 こうなったら元日本人としてやることは一つしかない!!


「申し訳……ございませんでしたあああああ!!」


 俺はそう言いながら全力で土下座をした。


 その後結局10分間土下座をすることになった。


 と言うか、すぐにエレノアはやめてと言っていたのだけれど、俺が辞めなかっただけだが。


 そんなこんなあったが、気を取り直してフェニックスの巣に行くことになった。

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