第43話 聞き込み調査
エレノアに頼んだ次の日。
俺は今先輩方の校舎にいる。
取り敢えずエレノアの報告を待つとしても、流石に全部任せるのはちょっとな？
俺の事なのに丸投げはいけないと思ったんだよ。
だから、今俺は聞き込み調査をしていると言うわけだ。
廊下にいる男子生徒達に話しかける。
「すいません先輩方」
「ん？」
「なんだぁ？」
やばい……なんか怖そうな人達に話しかけたかもしれない。
「いえそれが、俺が生徒会長がどんな人なのか知らないって友達に言ったら、『そんな事は勿体無い！ 先輩方に聞いてこい！』と言われたので、聞き込みに来たと言うわけです」
本当はそんな事言われていないけど。
嘘はバレなきゃ真実なんだよ。
俺がそう言うと、驚いたような顔をされた。
やっぱりこの学院で生徒会長を知らない人は居ないみたいだ。
「なんだよお前、生徒会長のこと知らないのか？」
「は、はい」
「生徒会長はな、兎に角強いんだよ。学院に入ってたった1年で学院最強になったからな！」
「後、めちゃくちゃ美人なんだよな……。あんなに美人な人は中々いない」
「プライベートで何かあるとか聞いたことありますか？」
俺が聞くと、いきなりテンションを下がった。
「ど、どうしたんですか？」
「いやな、男子は全員多分会長のプライベートは知らないと思うぞ」
あ、そう言えばあの人男子に対しては冷徹な人だったな。
最近の俺への距離がバグってるからすっかり忘れてた。
「なるほど……ありがとうございました」
「おう！ 実際に自分で見たほうが聞くよりよく分かるから見てみな！」
「まぁ中々会えないけどな！」
「はい！ 本当にありがとうございました！」
俺はそう言って先輩方と別れる。
めちゃくちゃいい人達だったな。
見た目はヤンキーかと思うほど怖かったけど、あんなに親切な人だったとは……。
あんな人達がゲームに出てないなんて勿体無い。
人気ランキングにも上位にランクインしそうだな。
優しいヤンキー達って。
俺はそんなことを考えながら、次は女子の先輩に聞く。
「すいません、少しいいでしょうか？」
「ん？ あらどうしたの？ 校舎を間違えたの？」
「お姉さん達が連れてってあげようか？」
「いやそうではなくてですね、友達に生徒会長がどんな人か聞いてこいと言われまして……」
俺がそう言うと、2人の先輩が突然俺の肩を掴んで、顔を近づけてきた。
「君、名前は？」
「え、ソラですけど……」
「ソラ君ね。ソラ君はいじめられてるの？ もしそうならお姉さん達が助けてあげようか？」
「い、いえ！ いじめられているわけではないです！」
俺が慌ててそう言うと、急にニコニコし出した。
な、なんで急にニコニコし出したんだ？
俺なんか地雷でも踏み抜いたか？
俺はめちゃくちゃビクビクしていたが、全然違った。
「可愛いわ」
「うん。今まで年上がいいと思ったたけど、年下もありね」
「ねぇソラ君。教えてあげるから一緒に遊びに行かない？」
俺は突然遊びに誘われたことに驚くが、それで教えてもらえるならいいかと思い、笑顔で承諾した。
「はい、是非お願いします！」
俺がそう言うと、突如2人は後ろを向いて小声で話し始めた。
「どうしよう。めちゃくちゃ可愛くない！？」
「ほんとそれな！ 少しグラっときたもん！」
「これは狙い目なのでは？」
「これで成績も良かったら、私、ウィリアム君から乗り換えよっかな」
「私もウィリアムから乗り換えるわ。この子は天使よ」
2人は話し合いが終わったのか、此方を向いて、自己紹介をし始めた。
「これから遊びに行くわけだし、私達も自己紹介をするね。私はアメリアよ」
「私はレオナ。覚えておいて？」
「はい！ しっかり覚えておきます！」
俺がそう言うと、2人して胸を押さえ始めた。
ど、どうしたんだ！？ 俺なんかしたっけ？ やっぱり陰キャには聞き込みはキツかったかなぁ……。
俺がテンパっている一方でアメリア先輩とレオナ先輩は、
「やばい……あの笑顔はいけない……」
「私、ソラ君に乗り換えるわ」
「私も！ と言うか私年下好きになっちゃったかも……」
どうやら俺の笑顔にやられたようだが、俺は全く気づいていなかった。
2人はニコニコとしながら、俺の手を引いてこの学院にあるカフェへと向かった。
気づけば異世界転生/転移日間ファンタジーランキングで30位に入っていました！
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