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第38話 1対500

 俺は今めちゃくちゃ絶好調だ。


 なんなら転生してから1番調子がいい。


 なぜならサラに本気を見せてと直々に言ってもらったからだ。


 俺は近付いてくるキングオーガを闇夜で切り刻む。


「はぁあああああ!!」


 そしてすぐに体を捻ってトロールを5体纏めて一刀両断する。


 俺は一瞬の隙をついて闇夜を空に投げ、落ちてくるまでに火竜剣を取り出して専用スキルを発動する。


「【火竜の咆哮】ッッ!!」


 炎の竜がオーガやキングゴブリンなどを燃やし尽くす。


 そして再び火竜剣を納めて闇夜を掴む。


 そして納刀せずに専用スキルを発動する。


「【白夜を切り裂く一閃】」


 いつもより少し小さい斬撃が飛んで、多くのモンスターを巻き込んで真っ二つにする。


 チッ少し威力が低いな……。


 【白夜を切り裂く一閃】と【闇夜を切り裂く一閃】は、納刀していない状況で発動すると少し威力は落ちてしまう。


 だが、雑魚狩りには使える。


 本当は《神剣夜明け》で全てを一気に消し飛ばしたいのだが、それをしたらこの後がキツくなってしまうので使わない。


 しかしいくら二刀流だとしても、この数だと流石に捌き斬れない。


 うーんしょうがないな……。


 【制限】を解除して戦うか。


 あまり時間をかけるわけには行かないからな。


 現在俺が制限しているのは敏捷性と力だ。


「【制限】解除」


 その瞬間体が物凄く軽くなり、力が溢れてきた。


 よし、これでダンジョンで練習した技が使える!


「【魔剣気】【聖剣気】【魔闘気】」


 一気に3つの気を発動させる。


 これで俺のステータスはさらに強化された。


 俺は2つの刀を鞘に収めて抜刀。


「オリジナル剣技【瞬閃光斬】」


 これはゲームには無かった技で、能力は単純。


 爆上がりしたステータスに【加速】を使用し、亜高速まで加速してただひたすらに斬るだけだ。


 これならすぐに終わるだろう。


 俺は一体一体確実に一撃で倒していった。






☆☆☆

(三人称)





 ヴェロニカは、目の前で起きている光景が信じられなかった。


 いくら戦力の半分は別の所に割いていて、とっておきの切り札もここに無いとしても、これで十分1つの都市を落とせるくらいの戦力がある。


 levelが100を超えているモンスターも半分以上いた。


 その筈なのに目の前の男は、全て一刀で斬り伏せている。


 そして今は姿すら見えない。


 ただソラの纏っていたオーラの残像が一瞬見えると、何体も死んでいると言うことしかわからないのだ。


 もはや人間の限界を余裕で超えている。


(どう言うことだ!? なぜまだ16程度の歳でこれ程までに強なっている!? これは長と同じくらい……いやそれ以上に強いじゃないか!?)


 こんな筈では無かった。


 さっさとシャーロットを殺し、この野外実習をめちゃくちゃにするだけの簡単なことだった。                             


(なのにどうしてここまで計画が狂っている!? 原因はなんだ!? ……アイツだ。あのいつも無表情のサラだ。アイツが邪魔したせいでこんなになってしまったんだ……。せめてアイツだけでも殺してやる!)


 ヴェロニカは一体のキングオーガを召喚し、自身も【身体強化】を発動してサラ達がいる所に向かう。


 近づいてきているヴェロニカに気がついたシャーロットが、魔法を放つ。


「【フルフレイム】【ストーム】」


 シャーロットの放った炎と竜巻が合わさって炎の竜巻が発生する。


 しかしキングオーガにダメージは与えたものの倒せず接近を許してしまう。


「やれオーガ! 結界を壊せ!」


 キングオーガが【鬼王の鉄拳】を発動して結界を叩く。


「きゃあああああ!!」


 シャーロットの張った結界が一発で割れる。


「あはははははは! これで終わりだ! 死ねぇええええ!!」


 ヴェロニカの短剣がサラに迫る。


 しかしサラは持ち前の魔眼で動きを見てギリギリで回避し、


「……ソラ」


「了解だよ、サラ」


 サラの後ろにいつの間にかいたソラにヴェロニカが殴られる。


「ぐはッッ!?!?」


 そのままキングオーガのところまで吹き飛び、キングオーガおも巻き込んでやっと止まった。






☆☆☆

(ソラ視点)





 俺はめちゃくちゃ焦っていた。


 あぶねぇ……あと少しで殺すとこだったよ……。


 俺はゆっくり近づいて行く。


 ヴェロニカは血を吐きながらも気を失っていなかった。


「お前またサラに手を出そうとしたな? 本当にぶっ殺すぞ?」


 俺は本気の殺気を浴びせる。


「ひぃぃぃぃ!!」


 ヴェロニカは顔を真っ青にしてガタガタ震えていた。


 何十万人もの命を奪った奴が情けない……。


 俺がそう思っていると、何故かヴェロニカが突如笑い出した。


「あははははははは!! もういい! アイツを使う! こい! 【キメラ】ッッ!! あはははははは!! これで終わりだあああああぁぁぁ」


 ヴェロニカがそう言った瞬間、森の方から何かが飛んできた。


「きゃああああああ!!」


 なんとエレノアだった。


「エレノアあああああ!?」


 俺はエレノアをキャッチする。


 するとエレノアは顔を真っ赤にして直ぐに降りた。


 ああ、恥ずかしかったのね……。


 しかし直ぐに落ち着いて報告を始めた。


「私達でほとんど全ての敵を殲滅しました。しかし一体だけ倒すことができませんでした。申し訳ありません……」

 

 そう言ってしゅんとなる。


 俺はエレノアの頭をぽんと撫でて言う。


「大丈夫だ。アイツは俺がやるから」


 俺はキメラに向き合う。


「さぁお前の相手は俺に交代だ」


 そう言って不敵に笑い、刀を構えた。


 さぁこれが最後の戦いだ。


 俺はある言葉を紡ぐ。




 ————(絶望)の訪れと共に夜明け(希望)を祈る———— 


 


 《魔剣闇夜》には暗い夜が、《聖剣白夜》には明るい夜が現れる。


「……こい、《魔神剣乙夜(いつや)》」


 2つが混じり合って、更に深い夜が生まれた。


読者の皆様へ


この作品が、面白かった!続きが気になる!などと思っていただけた方は、


下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしてくださると嬉しいです。


勿論、★☆☆☆☆でも良いので入れてくれると作者が喜びます。


またブックマーク登録やいいね、よろしくお願いします!


ではではまた次話で。

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