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第21話 サラとの出会い

 教室に向かう途中で俺は、ゲームの時と違うところがないか見ていたが、取り敢えず今の所ゲームと一緒だった。


 俺がこの学院に入ったこと以外は。


 ただ俺が学院に入学したくらいでそこまで影響はないだろう。


 俺はひとまず何も無かったことに安堵する。


「ソ~ラっ! もう着くぞ~」


「ん? あ、そうか、ありがとう」


 俺はシューマにお礼を言って教室に入る。


 教室は大学の講義をする場所に似ていた。


 まぁ俺は行ったことないからなんとなくだけど。


 そんなことを思いながら入った俺はクラスの面々を見てその場で固まる。


「あれっ? ソラ~? おーい、ソラ? どうして動かないんだぁ?」


 シューマが何かを言っている気がするが、今俺はそれどころではない。


 いた……見つけた……。


 俺はその姿を見て思わず目が潤む。


 教室の端っこに、無表情を貫きながらも綺麗な姿勢で座っている少女がいた。


 その少女の名前はサラ。


 俺がこの世界に転生して、片時も忘れたことのない少女だ。


 そして俺が必ず全ての死亡フラグから守ると誓った人。


 俺は駆け出したい気持ちをなんとか抑えてサラの近くの席に座る。


 流石にいきなり名前を呼んで話しかけたらヤバい奴と思われかねないからな。


 ただ近くに座る位はいいよね?


 俺はぼんやりとサラを見る。


 やはりめちゃくちゃ美少女だ。


 こんなに可愛くて、性格も良い彼女がなぜモブなのかが分からない。


 制作陣は見る目がないと思う。


 まぁでもそのお陰で、無自覚女たらしのアランとはあまり関わりがないから奪われたりはしないだろう。


「……何? なんでこっち見る?」


「あっ……えっとあの……き、綺麗だなぁと思いまして……はい」


 俺がテンパりながらしどろもどろに言うと、一瞬目を見開いた(ソラにしか分からない)かと思うと、すぐにいつもの無表情に戻る。


「ふーん」


 と言った。


 良かった……どうやら嫌われてはいないみたいだ……。


 彼女は嫌いな相手だと、まず話もしないし目も合わせない。


 そしてそれでもしつこい時は、極寒の目で相手を見る。


 その瞳を向けられて耐えられた人はいないとか。


 まぁ俺は勿論耐えられませんが?


 サラに嫌われたら俺は間違いなくまた不登校になるね。


 いつもは冷たい目ではなく、温かみのある優しい目をしている。


 まぁこれをプレイヤー友達の何人かに言ったら、『全然分からない』と言われたが。


 これだから、にわかは……。


 サラに関して俺は、親を抜いたら誰よりも知っていると自負している。


「ねぇ」


 因みにサラは親友と呼べる相手がいない。


 だから、俺が厳密に審査して親友になれそうな人を見つけたいと考えている。


 まぁ審査というよりは既に知っているのだが。


「……ねぇ」


「ッッ!? はいッ!」


 顔を向けると、俺の腕をツンツンしながら呼ぶサラがいた。


 か、可愛すぎる……!


 やばい……これが現実サラか……破壊力がやばすぎるんですけどッ!


 しかしその顔は相変わらず無表情だが、俺には少しムスッとなっているように見える。


 えっえっ、俺何かしたか?


 俺は先程から一転してパニックになりながら聞く。


「えっと……お、俺が何かしたかな?」


「……無視した」


「えっ!? 本当に!? ごめんなさい! 考え事してて……土下座したら許してくれますか!?」


 俺がそう言うと、少しだけ口角を上げる。


「ん。土下座はしなくていい。許す」


 や、優しい……。


 女神に見えてきた……。


 あの夢に出てきた女神よりもよっぽど女神に見える。


「あ、ありがとう! ところでどうして俺を呼んだの?」


 彼女は積極的に人と話す人じゃない。


 自分が話しかけるのは、気に入った人だけだ。


 てことは……俺って気に入られてるってことかッ!?


 俺は期待しながらサラの返事を待つ。


「……あなたの、名前を、聞こうとしただけ」


 サラは少し恥ずかしそうに薄く頬を染めながら言う。(ソラ以外は無表情にしか見えない)


 やばい……可愛すぎて死ぬ……もう死んでもいい……はっ! ダメだ、ここで俺が死んだら誰がサラを守るんだ! 耐えろ俺!


 俺は何とかキュン死にするのを抑えて答える。


「あっ、俺の名前はソラって言うんだ。貴女は?」


 俺は敢えて名前を聞く。


 だって会ったこともない人が自分の名前知ってたら不気味だろ?


「……サラ」


「サラって言うのか。よろしくねサラ」


「ん。よろしく、ソラ」


 あっ……サラが俺の名前を呼んでくれた……。


 やばい、死ぬ……。


 この後も俺は教師が来るまでサラと少しだけ話した。


 ちなみにシューマもサラに挨拶していたが、サラは俺が『俺の友達』と言うまでは目すら向けていなかった。

  

 その時は珍しくシューマの顔が引き攣って言葉が敬語になっていたため、思わず笑ってしまったのは俺だけの秘密だ。


 そんな人生で1番幸せな時間を過ごしていると教室に先生が入ってきた————


読者の皆様へ


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勿論、★☆☆☆☆でも良いので入れてくれると作者が喜びます。


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ではではまた次話で。

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