第13話 1つ目の死亡フラグをへし折ります②
中に入ると何も見えないほどに暗かった。
「暗いな……このダンジョンは俺も5回位しか行った事ないから少し不安なんだよな。取り敢えず明かりを確保しないと。【フラッシュ】」
俺の手に光の球体が現れ、周りを照らす。
この魔法は最下級魔法だが、こう言う時には役に立つ。
追加で何個か浮かべれば、【気配感知】も使えば不意打ちを対処することもできるだろう。
「さて、とっとと終わらせてしまおう」
このダンジョンは全10階層で、浅い層から中層にはゴブリンやオーク、オーガなどの人型モンスターがいる。
正直オーガまでならこの世界の冒険者でも余裕だろう。
一方で深層には、キメラやグリフォンなどの猛獣型のモンスターがおり、中には数が少ないがレッサードラゴンなども生息している。
ここらへんのモンスターは、廃プレイヤーも死んでしまうことのある危険なモンスターばかりだ。
まぁ俺がここで死ぬことはほぼないと思うが。
だがこの世界での油断は禁物だ。
俺は【気配感知】と【第六感】を併用しながら進む。
途中でゴブリンやオークがいたが気にせず一振りで斬り伏せる。
だがやはりゴブリンやオークは数が多い。
「チッ……相手をするのが面倒だな……よし、無視して突っ切るか」
俺は【加速】を使用してみつかるよりも早く移動する。
【加速】は一時的に自身の全ての速度が上がり、目視できないほどの速度になるスキルだ。
体に負担がかかる為あまり使わないが、こう言う場面では大活躍する。
俺は敵を感知すると一瞬だけ使い、離れると止めると言うのを繰り返して2階層に降りる階段につく。
俺は【全力ダッシュ】を発動して一気に階段を降りる。
その後も【加速】を使用しながら出来る限り戦闘を避け、経験値が多くもらえるオーガなどを一撃で倒しながら進む。
3時間ほどで第5階層についた。
ふぅ……ここからが本番だ。
俺が一歩を踏み出した瞬間に、【気配感知】が頭上からの何かを感知する。
俺は咄嗟に【加速】を使ってその場から飛び退く。
すると俺がいた場所に何かが落ちてきた。
グリフォンだ。
落ちてきたのではなく俺を狩ろうとしていたのだろう。
「くそッ、初っ端からグリフォンに会うとはついてない……。【鑑定:1】」
俺は1番レベルの低い鑑定を発動させてステータスを見る。
______________
グリフォン
level:155
______________
うわぁ……強敵だなぁ……。
俺は少しゲンナリするが、まぁ丁度いい。
「あと少しで魔剣と聖剣が使えるlevelになるんだ。せいぜい俺の経験値となってくれ」
俺は【加速】を使って一瞬で接近して、火竜剣の専用スキルを発動する。
「【火竜の咆哮】ッッ!!」
そう言った瞬間に剣の刃から炎が噴き出して火竜姿になりグリフォンを喰らう。
グリフォンは燃えて灰になった。
《level UP》
おっ、やっと1つレベルが上がったか。
俺は確認する事なく【全力ダッシュ】でその場をさる。
ここに長居すると他のモンスターが出てくるからな。
しかし火竜剣の専用スキルは結構強い事がわかった。
本当は魔剣達が使えるまでの繋ぎの武器だったのだが、今後も愛用していこうと思う。
専用スキルめっちゃカッコいいし。
だって炎のドラゴンが出てくるんだよ?
男の子ならみんな大好きだろ?
俺はそんな事を考えながらも淡々とモンスターを倒しながら進んでいく。
時々グリフォン並みのモンスターが現れるが、その時は専用スキルでぶっ倒している。
「あーもう! 暗いしモンスター多いしみんな強いしで最悪だ! だから攻略されないんだよ! 現実になってもクソゲーはクソゲーのままだな!」
俺は愚痴を言いながらも愚直に走る。
ここで足を止めることはモンスターに襲ってくださいと言っているようなものだ。
そんなバカは自殺志願の者くらいしかいないだろう。
自殺なんてするもんじゃないが。
しかしこの階層は広いな……。
先程からずっと時速80km位で走っているんだが、中々階段にたどり着かない。
うん、面倒になってきたな。
俺は【加速】を発動させて一気に階段まで駆け抜ける。
後で体が痛くなるだろうがそんなこと知るか! もう疲れたんだよ!
俺は10階層のボス部屋まで【加速】を発動させ続けてほんの30分で着く。
今までの苦労は一体なんだったんだよ……。
こんなに楽に着くなら初めから使えばよかった……。
俺はもっと早く使えばよかったと後悔しながらも、【加速】を解除したのだが……。
「ぎゃああああああ!? いっったああああ!? これはやばいて! 死ぬ死ぬ死ぬ! やっぱり使わなかったらよかったあああああ!!」
俺は急いで魔法鞄から2級ポーションを飲む。
飲んだ瞬間に痛みが引いてきた。
流石2級だ、効き目が違う。
「はぁはぁはぁ……やばかった……やっぱり使い方を考えないとな……」
俺は心に決めて立ち上がる。
「ふぅ……よし、それじゃあボス戦といきますか!」
俺はボス部屋の扉を開けた。
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