一人と二匹
山を抜けると、町が見えた。
虎鉄と会ってからは、何事もなく進む事ができた。
キビ団子はあと2つ、町で一度身支度を整えよう。
俺たちは、町へ向かった。
「なあ、旦那!」
突然、目の目に猿が現れた。
「頼む、その団子をくれ!頼む!あの子がお腹を空かせて死にそうなんだ。」
慌ただしいく、必死な様子だったので、団子を1つ渡した。
後をついていくと、そこは俺たちが目指した町だった。
俺らが思い描いた、華やかな町ではなく、荒廃していた。
食べ物をすがるもの、お金をすがる者、親を返せと泣き喚く子。
人も町の人々はやつれ、目はうつろになり、ぼろぼろの様子だった。
猿は、路地裏に入っていった。俺たちも必死に追いかける。
そこには、がりがりにやつれた少女が一人。年期が入ったござの上に横たわっていた。
「ああ。旦那。ついてきて来たのですか。」
猿は、悲しそうな顔をして話した。
この町では死に至る病が流行っていたようだった。
山のふもとの町だからと、お国は出入り口を封鎖し、閉じ込めたらしい。
病にかかった者は死を待つしかなく、働き手はほとんど死んでしまい、
現在は「飢餓」に苦しんでいるようだ。
いまは封鎖こそしていないようだが、悲惨すぎる。
少女も病にかかっていいる様子だが、懸命に生きている。
辛そうな笑顔で、俺に「ありがとう」「おいしい」といい、お団子を必死に食らっていた。
「すまない…」
俺は、自分の親がやったであろうことを謝ることしかできなかった。
「なあ、俺は鬼退治のために旅をしているんだが、もしかしたら、鬼ヶ島に治せる薬があるかもしれない。死ぬかもしれない旅だが、くるか?」
猿は黙り少女を見つめた。少女は笑顔で「私なら大丈夫。希望は捨てない。」と言った。
「俺、絶対薬を見つけてくるからな!」
猿が仲間に加わった。
猿の名前は「銀次」。
一人と二匹、旅に出る。