009 ワールドスキル【魔物使役】
ランクアップで開放された【魔物使役】
数ヶ月日の目をみることがなかったが、ようやく使うときがきた。
ワールドスキル【魔物使役】
自身と同等、もしくはそれ以下のランクの【魔物】を眷属として使役することができる。
スキルの発動には魔力を消費しない。
《発動条件》対象の魔物に直接触れていること。 対象の魔物に敵意があった場合、失敗することがある。
【鑑定】で【魔物使役】を調べたときは「マジ神スキルじゃねえか!」と喜んだものだ。
なんていったって、【魔物召喚】と違い魔力を消費することなく、配下の魔物を増やせるんだからね。
【魔物召喚】プラス【魔物使役】で配下の無限増殖じゃー!なんてひとり騒いでいたのが懐かしい。
なんで過去形かって?
今ぼくたちがいる魔群地帯シヴメースには、魔獣ばかりで魔物がほとんどいないってことが判明したからだ。
いやー、薄々は気づいていたよ?
だってこの世界にきて半年以上が経つのに、1匹も魔物を狩ってこないんだもん。
最近では牙ウサギだけでなく、デカイトカゲや昆虫の魔獣なんかも狩ってくるようになったのに、未だに魔物は1匹もみない。
変だなー、と思ってもう一度「ガイドブック」をしっかり読んでみると、こう書いてあった。
《魔群地帯シヴメースは別名『魔獣の楽園』と呼ばれている。 生息するモンスターのうち98%が魔獣で占められていることが、そう呼ばれる理由である》
いやまあ、食料には困らないからいいんだけどね?
ほら、ゴブリンとかオークとか、人型のモンスター食べるのってなんかイヤじゃない?
だから、『魔獣の楽園』でもいいんだけどね?
でもほら、さー。
せっかく開放されたワールドスキルが使えないのって、なんかフラストレーション溜まるじゃない。
「いいんだよ? いいんだけど・・・」みたいな、モヤモヤとした気持ち。
それだけ魔物の存在が希少なシヴメースでゴブリンの村を発見できたわけだが。
今回のこのゴブリン村の発見は、完全に運だ。
数日前までシヴメースの森を覆っていた濃い霧のせいで、狩猟班の1グループが道に迷ってしまった。
そのとき、偶然にも村に帰れず森を彷徨う「はぐれゴブリン」を発見。
ぼくにとって『有益な情報』になるはずだと考えたオークたちは、はぐれゴブリンに察知されぬよう静かに追跡。
そうして追跡すること数時間、彼らゴブリンの村を発見したというわけだ。
「アギギッアギッ(ホウイカンリョウシマシタ)」
「包囲完了ね。 よし、それじゃあお前ら。 ゴブリンたちの心をへし折りにいくぞ」
「「「アギギッアギャギャギャアアアッ(ウッヒャア! センソウダー!)」」」
ゴブリン村の包囲が完了したとの報告を受けたぼくは、後ろに控えるオークたち配下の魔物にゴーサインをだす。
これから攻めるゴブリン村は、40体のEランクモンスター【ゴブリン】と、1体のCランクモンスター【ゴブリンキング】で構成されている。
対してこちらは、80体のDランクモンスター【オーク】と5体のCランクモンスター【トロール】、5体のCランクモンスター【オークジェネラル】で構成されている。
まともに戦えばこちらが圧勝できるだけの戦力差がある。
わざわざ手間をかけて包囲させたのは、こちらとの戦力差をみたゴブリンたちが逃げ出さないようにするためだ。
せっかくみつけたゴブリンだ。
できれば一匹も逃さず【魔物使役】で配下に加えたいからな。
「さあいけ。 我が下僕たちよ! ゴブリンをボコボコにしてこい!」
「「「イアギャアアアッハッハアッ(イクゾ! ヤロウドモオオ!)」」」
戦うことが大好きで、イキモノを殺すことが大好きな醜悪な魔物の群れが。 その欲求を満たすチャンスを与えられたことに対し、歓びに震える。
「おい、殺すんじゃないからな? ボコボコにするだけだぞ」
ふふっ、かわいいやつらめ。
彼らの欲求を満たしてやるためにも、たまにはこうして発散させてやるとしよう。
読んでくださってありがとうございます!
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