泣き虫
小説とか全く書いたことない人間の処女作なもんで稚拙でございます。
諸事情で1話は短いけど2話以降は長めに書く(予定)なので2話くらいまで読んでそっ閉じしてください。
友達に連れられて信号を赤で渡ってしまった後、心臓を爪楊枝でチクチク刺されるかのごとくむず痒くなった。階段をのぼるのに時間がかかっているお婆さんを素通りしてしまった時、後悔してなにも考えられなくなった。
いつからか僕は帰りの会でさよならをし、誰かから声をかけられる前に急いで教室を出て下校するようになっていた。決して友達が悪いやつだったとかじゃない、僕が気にしすぎなんだ。
そうなってから1年ほど経ち、孤独には慣れてきたが通学路というものはすごくつまらない。
登校も下校もおんなじ道で何も景色は変わらず、何を考えてればいいのだろう。
寄り道はするなと先生がしつこく言っていたけど、その日の僕は先生にとある事で怒られて苛立っていたのでいつもと違うルートで下校することにした。心は少し気にしていた。
少し遠回りしていつもと違う景色を楽しんだ。河川敷の横を歩き、橋を渡ってまだほとんど行ったことのない川の向こう側の住宅をキョロキョロ見回した後、迷子になるのが怖くてすぐ引き返した。
次の日も、その次の日も遠回りをして帰った。気にする心は日に日になくなっていった。
そしていつものように遠回りをして下校していたある日、河川敷の橋の下にしゃがんでいる少年がいた。
彼を見るのは初めてじゃない。一番最初にここを通った時から毎日見かけている子だ。
ランドセルを背負っているので僕と歳は近いと思われるが、遠くで尚且つしゃがんでいるので少年だということしかわからなかった。いつも通り素通りしようと目を離すその瞬間、彼は右手で目を掻いた。
子供が泣いている時の動作だ。なぜ泣いてるのかを考える前に、助けられなかったお婆さんのことを思い出し、僕は河川敷に降りていた。泣いているのならただ事ではない、助けなきゃ。
近くへ来てみると彼の顔には見覚えがあった。しおかぜ学級の子だ。
「大丈夫?どうして泣いてるの?」
「・・・・・・・・・・・・むし」
「虫?」
彼はしゃくりあげることもなく静かに泣き、濡れた指で地面を指した。