勇者パーティー in オ-ディナル聖王国 36
地の部分が足りてないのがあるので後で大幅に変わることになるかもしれません
「これでセイラ様の聖女が決まったぞ!」
あたりが大きな歓声と手の内遭う音が響き渡った。選挙の方は終わっていないが、ほぼ、セイラが聖女になることが決まり、それが決定事項のように彼らはふるまっていた。
伝統的に闘技大会の優勝者が指名したものが、聖女になっている。
ようは闘技大会で優勝できるようなものを用意できるほどの力があるか、どうかの戦いに近いとも言える。
そして、今回はある記録が残っていた。
連続闘技大会優勝者がいっしょなのだ。その優勝者こそ、ガルドルその人だった。
このムードは選挙に出るはずの本人をほっておいて、どんどん盛り上がっている。ここにいるものたちが、これから彼女がとある使命を帯びて、旅に出るなんて思いもよらないだろう。
セイラ自身はその事は“聖女”になろうとなりまいと、すでに行くことを決めていた。
そもそも、“聖女”は伝統的に“聖女”として旅に出ることが多い。自分の名前と聖教会の偉大さを世界に知らしめるためにだ。
そうした思惑中の一つにかつて、英雄の子孫だったものたちを集め、パーティーを組んで旅に出るというものは人々にさらなる幻想を抱かせた。
勇者ではなく、聖女のパーティーが魔王を撃ち滅ぼす。そんなムードすらあった。
何せ、勇者はただの平民の出であり、貴族たちからは多くの不満があった。何故、貴族でないものに、血統の低いものに媚を売らなければならないのかと・・・
そんな人間が貴族社会には割と多くいて、セイラのパーティーを支援しようとする動きが、すでにこのパーティー会場の中にもあったのだ。
「ひどいものね」
セイラは呆れたように言った。それに対して、ネヴィルは肩を竦めた。
「まあ、俺らはお前の従者みたいなもんだからな」
「主役はネヴィル君のはずなんだけどね」
「世間的には仕方ない。それにこれもラプサムさんからの意見だ」
「お前らは貴族の力を借りろ。俺たちは民衆の力を借りるって、貴族共に何ができるというのかしらね」
「お前には聖女というブランドがあり、俺には、ただしくは俺たちには英雄の子供としての名声がある。不本意かもしれないが、これは仕方ないことだ」
「わかった。納得するからデートして」
「・・・・・・聖都でなければな」
「わかった」
そんなことで不平不満を飲み込んでしまうセイラだった。逆にこれでいいのかという気持ちが、ネヴィルには沸いたが、口にはしなかった。
「所で」
「何?」
「勇者パーティーの所にはいかなくていいのか?」
「それはこっちのセリフよ。私たちは完全に勇者勢力とは別の勢力になっているわ。それで円滑な協力関係ができるとは思えないけど?」
「そんなことはないさ。というか、俺たちが協力するような事態はないだろうな」
「そうなの?」
「圧倒的だろう。向こうの戦力は・・・あのガルドルさんとやりあう奴がいるんだぞ」
「ネヴィルもなかなかだと思うけどね」
「そんなことはないさ」
「そう?」
「そうさ」
ネヴィルはため息を付いた。ガルドルと勝負して、絶対的な差を感じた。それに決勝で見せたあの技を自分には使っていないのだ。
どうやったかわからないが、魔力を燃やして、自分の力にする。
そんな炎で焼かれてしまったら、ただでは済まない。しかも、かなりの威力のようで、あのドレクという竜騎士の力を一気に奪っていった。
どれほどの強さを持っているのか、よくわからなかった。そんなガルドルに勝った勇者の実力に底知れぬ何かを感じ取っていた。
一度、戦うところを見たが、容赦ないまでの苛烈な攻撃に加え、さらに鋭い攻撃の数々。戦闘のために生まれたとしか思えない動きだった。
あんなバケモノとやり合うなんて御免こうむりたい。
「勇者の評価高いんだね。おそろしく、綺麗な子だけど」
「それは男に向かって言うセリフではないな。・・・同意はするがな」
「でしょ」
勇者はかなり美形で有名だ。そして、強さもガルドルに勝利するなど、折り紙付きである。
今回のガルドルの優勝によって、勇者の株も自動的に上がっていた。実際はネヴィルが見たところ、かなりの腕前で間違いないし、剣を打ち合って、かなりの力の差を感じたのも事実だ。
「けど、実力もたいしたものだ」
「へえ、意外だね。ただの綺麗な子だと思っていたけど、そうじゃないんだ」
「ちなみに、その奥さんもかなり綺麗らしいぞ」
「美女美男のカップルってことね」
「そういうことだ」
「・・・・うーん。私たちはどうかな」
「お前は綺麗だが、俺は平凡だしな・・・」
「うう、そんなことはないよ。さり気に綺麗とか・・・もっと褒めて」
「綺麗だよ。セイラ。今日は特に・・・っていっておけばいいか」
「とってつけたようにいうな。最後の方がなければ、よかったのに・・・」
「今更だな」
「今更だよ。そういうことはちゃんと言わないといけないんだよ」
「だからいってやってんだろ?」
「ふざけないで!」
セイラがむくれて頬を膨らませたので、ネヴィルは苦笑いを浮かべながら、それを見つめていた。
「お前ほんと面白い顔できるな」
「ほっといて!」
セイラの拳がネヴィルの胸を叩いた。
ボンという音がした後、急に時が止まったように静寂が広がった。
その静寂の余韻を二人は味わうと、たまらなくなって二人は同時にクスクスと笑いあった。
かなり、仲のいい二人だった。




